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認めた時が
「不味いな……」
「……はい」
「え? なんかやばいん?」
唐馬と喜一、二人の反応に当麻は驚いて顔を上げた。
「結構いい勝負してる感じやけど?」
「いい勝負だ。それは間違いない。しかし……」
「弓徒が乱れてきている」
「マジで?」
「本当だ」
言って、喜一が二人を指し示した。
「僅かにだが、皿を洗う速度が落ちている。差が付き始めている」
「マジで……って、マジやん。今、紅虎さんが二個鍋置いたけど、弓徒のやつはまだ一個目……皿が綺麗だから気付かんかったけど、明らかに遅れとる……」
「限界だ」
「いやでも何か秘策が……修行したんやろ?」
「修行の結果が今の状態だ」
「いやいやでもこれって負けを認めたら負けのルールやろ? 本人がやれるうちは負けないんやろ?」
「そうだ。だから、後は弓徒が気付くかどうかだ」
「……何に?」
「己の敗北に」
当麻は言葉を失い唐馬を見た。
唐馬ならば何か違う事を言ってくれるだろうと期待しての視線。だが、無情にも彼も首を左右に振った。
「後は弓徒君次第だ」




