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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第三章 battle study・紅
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禹歩

 両足を揃えた状態から、僅かに、左足を前に出す。

 一泊置いて、右足を左足よりも前に出す。

 また一泊置いて、左足を引きつけ、右足と同じ位置に揃える。

 一呼吸置いて、次は右足から。動きは最初と同じだ。

 本来ならば殆ど動く必要のない皿洗い場で、そのような動きを繰り返している弓徒。

 既に皿を洗う速度で負けているのに、無駄を増やしてどうするのか——などと、見ている側は思わない。

 何故か?

 答えは、弓徒の奇妙な足捌きよりも皿に目がいっているからである。


「おぉ……」


 客席から、溜息が漏れている。

 明らかに、綺麗なのである。

 普通の皿を知っている者が見て「皿ってこんなに綺麗だったっけ?」と思うほどに。

 美しく洗われている。

 紅虎子の皿よりも。


「なるほど。そうきたか」


 歩法と皿。二つを見比べて唐馬は驚きのため息を漏らした。


「どういう事ですか?」


 喜一が尋ねた。

 彼にはわからない。

 二つの要素の関連性が。


「なんか不思議やねぇ」


 当麻にもわかっていない。


「わからなくとも無理はない。あれは禹歩だよ」


「禹歩……あれが……」


「ウホ?」


「兎歩だよ。それも、特別なね」


 二人に向けて、唐馬が説明を始めた。


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