光の精霊王が降臨した!(挿絵あり
ひかりさんのイラストをストーリーに出すの初めてですね!
他のイメージイラストはプロローグ前にあります。まだ見てない方はご覧下さい。
私達は城門前に来ていた。そこの脇には野戦病院の様に、大勢の兵士、冒険者が傷付き包帯を巻いて倒れていた。
「みんな!聞いてくれ!頼もしい援軍が到着した!今から【ある御方】が傷付いた者達の治療を行う!痛いのはもう少しの辛抱だ!」
辺りがざわめきだす。
「ジークレスト様!アルフ殿!よろしくお願いします!」
アルフさんと、ジークを見て何人かは声を上げる。
「あれ、アルフさんじゃないか?」
「息子のジークもいるぞ!」
「アルフさんが戻ったなら100人力だぜ!」
「元近衛騎士団長だしな!」
地元だけあって結構な人気ぶりである。
「静まれ!!!!今から大事な話がある!この城塞都市の命運を掛ける大事な話だ!」
イルベルトさんが風魔法使いつつ、大声で叫ぶ。
「みんな!この大事に留守にしていてすまん!だが、そのお陰で皆を救う事の出来る人物に出逢えた!そして、その人物を紹介する前に俺の息子ジークの秘密に付いて話しておきたい!」
周りのみんなが静かに話を聞いている。外ではまだまだ魔物が城門を破壊しようと動いている中、それとは別の緊張感がこの場を支配する。
「ジークは俺の血の通った本当の子供ではない!現皇帝と王妃様の実子である王位継承権第一位のジークレスト・グラント様である!これが証拠だ!」
お兄様が皇帝の印鑑が押してある証明書を空間拡大表示し、この場にいる皆に見せた。
「マジかよ!」
「冗談・・じゃないよな?」
「ジークが次期皇帝!?」
「でも、今は第一王子から第三王子までいるよな?」
アルフさんが皆さんの疑問に答える
「ジークには皆も知っている通り、【精霊眼】の持ち主である!年齢、産まれた順番に関係なく王位継承権第一位となる。ただそれ故に命を狙われる危険があった。だから俺は秘密裏に王妃様からジークを預り、近衛騎士団を辞めてこの城塞都市でジークを実の子供として育てていたんだ!」
アルフさんの言葉に兵士達だけではなく、遠巻きに見ている城塞都市の市民の皆さんも驚いた。
「そしてジークの精霊眼が旅をしていたある精霊を捉え、助力を申し込んだ。そしてジークの願いが聞き届けられたのだ!」
精霊・・・
この場にいる人々が思い浮かべた。結界魔法が発動した時の手紙の文章を・・・
「皆さん!僕にはまだ何の力もありません!ただ精霊が視れると言うだけです!でも、みんなを守りたいという気持ちだけは負けてません!僕も命を掛けて戦います!」
城塞都市に住む、ジークを知る知り合い達も頼もしく感じていた。そこに─
『ふふふ・・・こんな子供がまだ希望を持ち、まだ諦めていないのに、戦いのプロである兵士や冒険者はどうなのかしら?こんな子供が決死の覚悟を決めているのに恥ずかしくないのかしら?』
城塞都市全土に不思議な声が響いた。無論、賢明な読者の皆さんはお気付きでしょう。そう、ひかりさんである。ジークを次期皇帝に相応しと思われるようなシチュエーションを作ったのである。城塞都市の上空に小さな光が立ち込め、人々の視線を釘付けにする。そして光が人形を作りだし、人の姿をしたひかりさんが顕現する!
「皆さん初めまして!心清らかなジークの願いを聞き届けて私、光の精霊王である【ひかり】が皆さんの力になりましょう!」
!?
「「「光の精霊王様!!!!?」」」
城塞都市の全ての人々がひかりさんの姿に釘付けになる。
「さぁ!立ち上がりなさい!この城塞都市はあなた達の住む場所です!力は貸しますが、あなた達自身で立ち上がるのです!」
ざわざわ・ざわざわ!
「クソッ!どうして俺はこんな時に動けないんだ!」
「ま、まだ俺だって戦える!」
「ぐっ、まだまだ・・」
光の精霊王であるひかりさんの鼓舞に、怪我をして動けない帝国兵や冒険者が無理して動こうとしていた。
「まずは、勇敢に戦い名誉の負傷をしている勇者達の傷を癒しましょう!」
【エクストラ・オール・ハイヒール!】
ひかりさんの最上級回復魔法の光が城塞都市を包み込んだ。すると今まで痛みで動けなかった者達が次々に起き上がり、自分の身体を不思議そうに見つめる。
「あれ?痛みが引いた?」
「奇跡だ!失った手足が戻った!」
「マジかよ!俺もだ!」
「さっきまで動けなかったのに動けるだと!?」
怪我人達は喜びに歓喜している。これで戦えると・・・
「これで戦える!」
「あんな子供に負けられるかよ!」
「光の精霊王様に感謝とこれからの戦いで、お礼するぞ!」
「ジークの清らかな心が精霊王を動かしたんだ!」
人々の歓声が響き渡る。ちなみに余談だが、光魔法は病気にも効く。後になって病気の人々も回復したとちょっとした奇跡の話題になるのだった。
さぁ!戦力は回復したわ!これからが反撃の狼煙を上げるのよ!




