雑魚の末路・・
ちょっとだけ殺伐としたシーンがあります。ご注意下さい。
貴族達と傭兵のやり取りは、少し距離があったが、高い丘の上のため城塞都市から見えていた。
と、言うことは魔物達からも見えているという事でー
「ふふふ!素晴らしい結界魔法じゃのぅ?あれを破壊するには妾にも骨が折れそうじゃて・・ふむ、どうするかのぅ?」
ちょうどナーガも思案していた所に、貴族の私設軍勢がやって来たのだ。
「ほほぅー!良いタイミングじゃのぅ!?アレを駆逐すれば、結界魔法を張った者も街から出てくるかも知れんのぅ!」
ナーガはすぐに配下のラミアに指示を出した。
「お前達に命令を下す。ラミア数体は下級魔物を引き連れ、あの丘の上の援軍を駆逐してくるのじゃ!残りの者はチャームを使い、牛と豚、蜥蜴達を上手く丘の方に誘導してくるのじゃ」
上位魔物のナーガは、ミノタウロスや、オーク、リザードマンを比喩する言葉で伝え、ラミアに命令を下す。リザードマンは兎も角、ミノタウロスやオークは基本的に性欲が強い事で知られている。女性の天敵なのだ!故にラミアの外見で誘惑して良いようにあしらえているのだが・・・
「ふふふっ!面白くなってきたのぅ!」
ナーガは丘の上の人間達の末路を思い浮かべて嗤うのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
帝国貴族Side
僅かな時間で軍の人数が半減した貴族達は居なくなった傭兵達を罵っていた。
「クソッ!役に立たない奴等め!」
「だから傭兵など信用できんのだ!」
「無駄金を使わせおって!」
魔物の軍勢が目の前にいるにも関わらず、軍の隊列も直さず罵りあっていた。私設軍の者達も後ろを向き、逃げていった傭兵団達を見る者や、愚かな主である貴族達をなだめるのに忙しく、接近してくる魔物達に気付かなかった。高い丘から城塞都市の魔物の大群は見えていたが、その丘の下から近付いてくる軍勢に気付かなかったのだ。
そしてー
「ひいぃぃぃぃいいい!!!!」
最前列にいた私設軍の一人がふと下を見るとすぐそこまで迫ってきた魔物の軍勢に気付いたのだ。その叫び声に恐怖は伝染する。
「なっ!?もうすぐそこまで!」
「どうして気付かなかった!」
「た、隊列を整えろ!」
「ダメだ!もうそこまで来ているぞ!」
慌ただしく色めき立つ軍隊に、指揮する筈の貴族達も何が起こっているのか、わかっておらずただ茫然自失していた。
「ぎゃーーー!!!!」
「この!がっは!?」
「助けて・・ぎゃっ!」
魔物に命乞いが通用するはずも無く、混乱し動揺して腰の引けている私設軍ではオークすら相手に出来ず、次々に討ち取られていった。そして恐怖が最大限まで高まった所で、逃走が始まった。
「殺される!?俺は逃げるぞ!」
「死にたくない!」
「嫌だーーー!!!!」
我先にとドミノ倒しの様に、前線から後ろに逃げようと後ろの者にぶつかり倒れる。そこを魔物が屠っていく。
「ま、待て!私を置いていくな!クビにするぞ!!!!」
「私を守れ!給金を倍出す!」
「逃げるな!私の楯とならんか!」
この期に及んで、なお自分の立場を理解していない帝国貴族達・・そして遂に自分の番が廻って来たのだった。
「「えっ!?」」
ぎゃぴっとオークの棍棒で頭を砕かれる貴族達。今更、命乞いをする者もいたが意味の無い行為でしか無かった。何の抵抗もしない者に魔物は群がり、殺した後は魔物達の餌となった。
この光景を城塞都市の城壁から見ていた冒険者や帝国軍・・・
「そんな・・・」
「せっかく来た援軍が・・」
「俺達もああなるのか・・」
そんな【絶望】が蔓延していた所に、イルベルトが鼓舞する
「みんな!悲観するな!あれは傭兵と貴族の私設軍だ!手柄を得るために急いできた先遣隊に過ぎない!本体は王国国境に3千前後の人数がいる!この後に精強な本当の帝国軍がやって来る
!【希望】を捨てるな!」
絶望が蔓延し始めた空気に、イルベルトの言葉は【絶望を打ち砕く希望の弾丸】なって人々を繋ぎ止めたのだ。
「そ、そうだな!俺達がここまで戦えているんだ!本体の援軍だって弱くないさ!」
「丘の上に来たのは精々200~300人だった!まだまだ援軍がくるんだ!」
「丘の方に半分ぐらいの魔物が流れていったぞ!状況は少し良くなったと考えれる!」
まだまだ城塞都市付近には多くの魔物がいたが、半分ほどの魔物が丘の方に移動していたのだ。
城塞都市の攻撃の手が緩み、大勢の視線は丘の方へ向いたのだった。丘の向こうから現れるであろう援軍を心待ちにして。
シオン
「ああなると憐れですわね」
愚者の声
「そうだねー」
シオン
「この後はどうなるのかしら?」
愚者の声
「ネタバレは禁止です!」
シオン
「ケチねー!」
愚者の声
次回予告
「スタンピードに襲われた城塞都市を救うため軍隊が出動したが、壊滅してしまう!城門も破壊され、いよいよ最後と誰もが思った時に、颯爽と現れる美少女仮面!魔物達を千切っては投げ、千切っては投げと遂に駆逐に成功する。この美少女仮面の正体とは!?」
次回、【美少女仮面現る!そしてその正体とは!?】
・・・ふふふ、綺麗な薔薇には棘があるのよ?
ご期待ください!
・・・・って、次回予告入れてみました。
(*・x・)ノ
※本編と関係ありません
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