・・・シオンはもう、なんでやっちゃうかなー?
遂に城門が破壊された。ラミアは不思議な事に、魔法を放った後は引き返していった。しかし、城門が破壊されたことでオーガやミノタウロスが下級魔物を引き連れ城門に押し掛けて来たのだ。
「魔物がやってくるぞ!バリケードは生きている!勢いが止まった所を狙うぞ!」
帝国軍の兵達が魔物の動きに合わせて城門入口で隊列を組んで構える!
そして遂に、魔物が城門を潜って入ろうとした瞬間にそれは起こった。突然、魔物が弾け飛び城門の外に吹き飛ばされたのだ。別の魔物も入ろうとすると弾け飛ぶ現象が続いた。
すると壊された城門の入口に大きな魔方陣が浮かび上がり、淡く光ながら魔物の侵入を防いでいるようだった。
これには魔物より、帝国軍及び冒険者達の方が驚いた。
「何が起きているんだ!?」
「誰が結界魔法?防御魔法?を使っているんだ!」
「こんな結界魔法なんて見たことないぞ!魔方陣がでかすぎる!」
「宮廷魔導師でも援軍にきたのか!?」
そんな兵士達の思いとは別に、魔方陣の裏側・・つまり城門の内側の方に文字が浮かび上がったのだ。
64話テンプレの冒頭にあった【おまじない】の効果であった。シオン達は万が一に備えて、城門が壊されても魔物が入って来れないよう、門が壊された時に自動的に発動する結界魔法を仕掛けていたのだ。街の市民に被害が及ばないように、こっそり仕掛けて街が無事であるようにしたのだった。
「あれを見ろ!何か文字が浮かんできたぞ!」
入口付近にいた者達は浮かんできた文字を食い入る様に眺める。
【親愛なる皆様へ】
『私は旅の者ですが、近々魔物が攻めてくる可能性があるため、城門が破られた時のために、結界魔法を掛けておきました。急ぐ旅のため魔物が攻めてきた時には居ませんが、援軍が来るまでは持つと思います。去年、【帝国の上層部】がフィリアス領に【龍をけしかけて】大勢の城塞都市の市民が犠牲になりました。私は正直な所、助けたくはありませんでしたが関係のない市民には罪はないと、【光の精霊王】様が仰られるので仕方なく助ける事にしました。でも次は無いと思って下さい。自らが皇帝に成りたいがために他国に犠牲を強いる者を、私は許しません!たまたま泊まった宿の女将さん達が良い人で、お世話になったので結界魔法を掛けました。御礼を言うなら自分の生活が苦しいにも関わらず、赤の他人である旅の者に優しくしてくれた女将さんにしてください』
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「「「なんだとーーーーー!!!!!」」」
全てを読み終わった者は一斉にお声を上げた。光の精霊王がやって来た事、龍の襲撃が帝国の仕業の事、にわかには信じられない事だったがこれだけの結界魔法を使える者はそうそういないのも事実であり、嘘か本当か証拠は無く、証明は出来ないのだ。
「これマジなのかよ・・・」
「信じられない!」
「王宮の連中は本当にこんな事をしたのか!?」
「食糧を止められても仕方がないじゃないか!」
「マジでありえねぇーだろうが!」
「光の精霊王がここにきたのか?」
色々な混乱はあったが少しずつ収まっていった。そして今も結界魔法は魔物達を塞き止めていた。会った事もない無能な王宮の貴族より、会った事はないが、魔物を防ぐ結界を張ってくれた者の方が信じられたのだ。
「静まれーー!!!!!」
そこに、魔力を使い果たして倒れたイルベルト副官が目を覚ましやって来たのだ。
「この結界魔法を張った者の事は取り合えず置いておけ!ここを凌ぎ切ったら探せばいい!今は魔物を倒す事に集中しろ!」
イルベルト副官の言葉に皆がはっとなり、魔物に集中した。
「お言葉ですがイルベルト副官!この結界魔法のおかげで魔物の侵入は防げていますが?」
「どんなに強固な結界魔法でも、ミノタウロスやオーガの強力な打撃攻撃をずっと受けていては何れ壊される!ギルド長より確認したが、この結界魔法は魔物のみ通さない。我々は自由に出入り出来るそうだ。だからー」
イルベルトの意味を把握した高位冒険者が続ける。
「そうか!結界魔法を背にして戦うんだな!怪我人はすぐに下がらせて、ヤバくなってもすぐに後ろに逃げればいい!」
冒険者の言葉にイルベルトは頷く。
「昼間の間は俺達のターンだ!やってやるぞ!」
「冒険者に遅れはとらん!帝国軍の戦いを見せてやる!」
「やってやるぞ!」
すぐに、隊列を組ませ結界を壊そうとしている魔物達に帝国軍、冒険者が怒濤の勢いで襲い掛かったのだった。
城塞都市を守る戦いは中盤戦差し掛かったのだ。
愚者の声
「ドヤ顔のシオンが目に浮かぶ」
シオン
「なんなのですか!全く!ひかりさんの株を上げてあげただけですわ!」
ぷんすか!
愚者の声
「本当に気付いてないの?メッセージに光の精霊王様に言われて・・書いたでしょう?」
シオン
「それが何か?」
愚者の声
「つまり結界張ったのは光の精霊王ではなく契約者となりますが?」
!?
シオン
「そ、そそっそんな事はありませんわ!」
。。。。゛(ノ‥)ノ逃げ
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