まだ・・まだ落ちぬ!
皆様、今年もよろしくお願い致します。
こっそりひかりさん画像公開~
プロローグ前にあります。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
魔物達の猛攻を防いだ帝国軍、冒険者だったがさすがに疲労困憊であった。イルベルト副官の捨て身の大魔術で魔物達も本能的に距離を取り、後続からまだまだやって来る下級魔物を待っている状態だった。
「マジかよ・・・」
「まだまだ増えるのか・・」
「石や矢がもう余り残って無いのに・・」
今はまだギリギリ持っているが、遠距離攻撃出来る物資が尽きそうだった。魔力は休めば回復するが、矢や石は放てば無くなるのだ。そして魔物はどんどん増えているのだ。
「ヤバいな・・・このままでは攻撃手段が無くなる。討って出るしかないのか」
攻撃出来なければ、黙って城門を壊されるのを待ってるだけである。
「しかし逆に城門を開ける方が危険では!?」
そうなのだ、こちらから城門を開く方が危険が大きいのも事実なのだ。
「主だった者を集めてくれ!イルベルト副官が倒れている以上、一人では決められん!」
魔物が待機して攻撃が止んでいる間に、ギルド長は発言力ある者達を集めた。
「ギルド長さんよ。魔物が止まっている間に少しでも休みたいのだが?」
高位冒険者が軽口を叩く。
「すまない!しかし皆も気付いているだろうが、遠距離攻撃の手段が尽きようとしている。その後の対応を今のうち話し合っておきたい」
「城門を黙って破られるの待つか、討って出るか・・・だよな?」
重い空気が流れる。
「私は城門を閉じ、破られるまで街の中で待つべきだと考える」
そう切り出したのは、スタンピードをいち早く察知した【堅実の森】パーティーだった。
「それはどうしてだ?」
「既に、城門前にはバリケードを張り開閉出来なくしてます。これを退かすのは無駄な労力です。逆に、城門が破られても時間が稼げます!」
堅実の森の言い分には納得出来るものだった。既に、城門裏には多くの荷物を積んで補強してあるのだ。城壁から縄を降ろして外に出る方法もあるが、戻ってくるのは不可能だろう。心の拠り所である城門が破られるのは心情としては、ショックだが討って出る方がリスクが高いのも事実であった。
「俺も堅実の森に賛成だ。街の市民には悪いが、援軍が来るまで少しでも時間を稼ぐ事が第一だろう」
帝国軍の関係者も同意する。
「1つ案があります。空中からの敵については数少ない弓や石で応戦し、城門が破られた事を考えて、入口付近にも二重三重のバリケードを構築しましょう!」
この案には皆が賛成し、市民にも協力してもらい、人海戦術で対応することになった。幸いにも魔物達はまだ動かなかった。しかし、魔物の数は増えているのだ。安易には喜べない。
現時点では真夜中で視界が悪い。篝火を要所に焚いて視界を確保している状態である。城壁には遠くを見ることが出来るスキルや索敵スキルを持つ者が交代で見張っている。魔物が動き出せばすぐにわかる!
まだまだ夜は長い・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その頃─
シオン達はジークの瞳に付いて首を傾げていた。するとジークの育ての親であるアルフさんが席を立ちやって来た。
「失礼!君はジークの瞳が碧眼に見えるのかい?」
リーゼンと飲んでいたので顔は少し赤かったが、はっきりした口調で尋ねてきた。私は戸惑いながら答える。
「え、ええ!私にはそう見えますが?」
アルフさんは少し厳しい目付きになった。それに伴い、私達の各騎士団長達もピタリッと飲むのをやめ笑い声が無くなり、急に静かになる。エミリアとさくらさんは音もたてずに私の側に近寄りアルフさんを取り囲む。
アルフさんは両手を挙げて敵意は無いとポーズを取る。
「白けさせて申し訳ない。敵意は無い!ただ、ジークの碧眼を視れる人物は少ないので、警戒してしまった」
アルフさんの言葉に、少し場の空気が軽くなるが警戒は解いてない。アルフさんは手を挙げたまま続ける。
「少し話し合って君達が敵でないと感じた。それと同時に君達も何かただ者ではないとも感じている。どうだろう?御互いに少し話し合わないか?」
アルフさんの提案に、お兄様が了承する。
「私もジークが悪い奴とは思えない。そしてジークをまっすぐに育てている親のあなたも」
アルフさんは苦笑いをして、そのまま中央の席に座る。
「ジークは・・・いや、ジーク様は帝国の王位継承権第一位の位を持つ御方です」
!?
「それはおかしいです!今の帝国は第一、第二、第三の王子達が、王位継承権を争って帝国内が乱れているのでしょう?」
「さすがに信じられないが・・・?」
アルフさんの言葉は突拍子のない事だった。そもそも帝国の王子様がこんな街中に居るわけないでしょう?
「その反応で君達が、貴族でありながら帝国の貴族では無い言う証拠だな・・何者なんだ?」
えっ?どういう事なの?
そんな私達にリーネちゃんが答えてくれた。
「なるほど!そう言う事でしたの。ようやく理解しましたわ!ジーク様、アルフ様、わたくしはエルタシア侯爵家長女リーネ・エルタシアですわ。以後お見知り下さい」
「なんと!古くから帝国に仕える名家ではありませんか!?そういえば、貴族の娘が盗賊に拐われたような話を聞きましたが・・・あなたが?」
リーネちゃんは頷くと、私達に言った。
「市民には知られてませんが、帝国の王族には必ず皇帝になれる特殊な条件があるのです。産まれた順番など関係なく、皇帝になれる条件が・・」
へぇ~なんか変わった風習があるんだね。
「シオン・・この流れで気付いて無いのかい?」
お兄様の言葉にはっとする!
「御名答!この碧眼こそ王族に稀に出現する次期皇帝の証です。我々は精霊眼と呼んでます」
「精霊眼・・・?」
「そうです。世界を司る精霊を視ることができ、精霊と交信・・意思疎通が出来ると云われています」
ジークの眼の秘密に驚きを隠せないシオン達であった。
まだまだ夜は長い・・・
愚者の声
「カッコいいなぁ!精霊眼!」
シオン
「あら?あなたも精霊眼になれますわよ?カッコ悪いですが」
愚者の声
「なに!?これで私も中二病患者か!?」
シオン
「はいっ!カラコンですわ♪」
愚者の声
「・・・・」
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