食事がいまいちでした・・
日が落ちかけ空がオレンジ色に染められた頃に帝国側にある魔の森近くの城塞都市にたどり着いた。
私達が着いたのは、東の森の真上にある街で強い魔物が出ない事もあり、そんなに大きくない城塞都市だった。
都市の入口で門番さんに呼び止められる。
「商人には見えないな。旅の者か?」
マチスさんがみんなを代表して交渉してくれる。
「そうです。ある貴族のお子様を護衛して来ました。途中、馬車が魔物に襲われて歩いてきた次第です」
マチスさんは懐から何かの証明書のカードを提示する
「それは災難でしたね。確かに、貴族に仕えている身分証ですね。どうぞお通り下さい」
おお、なんか凄いぞ!私達はぞろぞろと門を通った。すると、後ろから門番に呼び止められた。
「申し訳ない。ちょっとだけよろしいか?」
ドキリッとしたの!
でもマチスさんは平然と振り向き対応した。
「何でしょうか?」
「魔物に襲われた場所はわかりますか?ご存知でしょうが、王国との小競り合いのため兵を出兵しているので、砦を守る兵が少ないのです。よろしければ事前に調査して対応したいと思います」
まじめな門番さんだな─
「わかりました。では、お伝えしておきます。それとー」
少しマチスさんが話し合ってようやく入れました!本当にマチスさんがいて良かったよ♪
ちなみに、魔法で私達の気配を消して、更に光魔法で姿を微妙に変えているので、余り目立ちません。そうしないと、ひかりさんやサクラさん、エミリアなど超美人さんばかりで目立ってしまうからね!
「取り合えず、宿屋に行きましょう。ここには何度も来ているので良い宿屋を知ってます」
マチスさんのオススメの宿に着いた私達は女性と男性に別れて部屋に入りました。人数が多いので2部屋ずつ取りました。私達が泊まるのはそれなりの高級宿でした。
部屋に入ると私はベットにダイブした
「はぁー、疲れたー!」
「シオン。行儀が悪いですよ!」
お姉様モードのひかりさんが注意してくる。
「だって疲れたんだもん!わたし7歳だよ!子供だよー」
「こんな時だけ子供の振りをするのは許しません!」
ちぇっ!もうひかりさんのケチ!渋々、ベットから起き上がる。
「さぁ!夕飯よ!帝国の料理がいかほどか楽しみね!」
・・・ひかりさんや、それが狙いだったのか!?
でも、私もちょっと楽しみなんだよね!
少しワクワクしながら一階の食堂に行きました。丸い大きなテーブルを2つ使ってみんなでお食事です!
この世の全ての食材に感謝を込めて
「「いただきます!」」
宿屋で出てきた食事はフィリアス領で内政改革を始める前に食べていた物と良く似ていました。野菜を長時間煮込んで作ったスープに塩で味付けをして、少量のお肉の唐揚げモドキに柔らかいパンとサラダでした。
まぁ、不味くはないんだけど、素朴な味わいと言いますか・・・ぶっちゃけフィリアス領内の料理(私が広めた)に舌が慣れてしまった方々にはいまいちなんだよねー!
高級宿でこの料理だと普通の宿屋や食事所の料理はどうなんだろうと思ってしまいます。はぁ~旅行の楽しみである料理が期待出来ないと楽しさ半減ですよ。orz
私達の反応から何かを察したのか、従事の方が遠慮がちに聞いてきた。
「何かご不満がありましたでしょうか?」
みんなどう答えて良いのか悩んだ。
「ここの食事ってこれが普通なんですか?」
ここは子供の私が聞くのが1番だろう。すると従事の方が申し訳なさそうに話してくれた。
「大変申し訳ありません。王国との小競り合いで、安い食材が入って来なくなりまして・・現在これが精一杯なんですよ。当店の宿はマシな方でして、安宿屋は食事の提供も止めた所も出て来ております」
な、なんてこったい!食事が不味くなったのは私達のせいじゃんか!?
どうすれば・・・
ピコーン!
「もしよろしければ今、安く手に入る食材を教えてくれますか?」
従事の方は少し戸惑いながら答えてくれた。
「小麦粉は備蓄分があり、暫くは大丈夫です。帝国でも生産してますので、後はネギ類と・・一部の穀物、食用油などの調味料ですかね?」
私は考えるの!唸れ私の脳内エナジー!美味しい食事のために!!!
あっ!あるじゃん!イケるかも!?
「少し厨房をお借りしてもよろしいでしょうか?食材やその分の料金はお支払致します」
従事の方は確認してきますと奥へと戻っていったよ。
「シオン?もしかして料理を作るの?」
私は頷くと、ひかりさんの顔が喜びでハートマークに!?
周りを見ても、皆さんが期待の眼差しを!?
そこまで大したもの作れないけど皆さんのために一肌脱ぎますか!
愚者の声
「はてさて、無事に帰れるのでしょうかねー」
シオン
「もぐもぐムシャムシャ」
愚者の声
「ちょっとシオンさん聞いてる?」
シオン
「あらこれもなかなか・・もぐもぐ」
愚者の声
「おーい!」
がぶりっ
シオン
「不味いですわ!」
ギャー!手がーー!!!!
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