大切な方は助けましょう!
私以外の皆さんが神獣いう言葉を知っていた。私は気まずそうに手を挙げる。
「あの~、神獣ってなんですか?」
ひかりさんが私に答えてくれる。
「神獣とは、別名霊獣とも呼ばれ高い智能を持った獣の事を呼ぶの。一部の地域では、食糧を分け与える事でその場所を護り、崇められた事で、神核を得て神獣になった例もあるわ。まぁ大抵は私達、精霊に気に入られて一緒にいた獣が精霊の魔力に感化され神獣化するのが一般的かしら?故に、神獣は精霊の使いと言われているわ。しかも、100年前の闇の化身との戦いで、協力してくれた神獣も多くいたのよ。だから・・もし東の森に逃げ込んだ魔物が神獣なら保護したいの・・」
ひかりさんの話に私は迷う事なく返事をした。
「助けましょう!私、行きます!」
お父様やお母様、お兄様は仕方ないなぁ~みたいな顔で私を見るが、ギルド長さんだけは驚いた顔で私を見た。
「本気ですか!?いくら光の精霊王様が付いているとはいえ、上位の魔物が数多くいる場所に行くなど正気とは思いませんぞ!」
ギルド長さんの言う事はもっともだ。でも!
「ギルド長さんの言う事はわかります。でも、過去にひかりさんを護るために戦ったかも知れない盟友とも呼べる神獣を放っておくなんて出来ません!」
私の言葉にギルド長さんは言葉を失う。
「シオンは頑固だからな」
「シオンは優しいから」
「シオンは言ったら聞かないしね」
家族がそれぞれ言い合う
「カイン公爵様も良いのですか!大切な娘さんを危険に晒しても!」
お父様は真剣な顔でギルド長を見据える
「父親として、いい気はしない。しかし、光の精霊王様のお願いを無下にすることは出来ない!私達、フィリアス家の命の恩人であり、大切な家族の一員であると思っているからな!」
きゃー!お父様素敵です!カッコいい!結婚して!?無理だけど!
って、そこ!ひかりさん!うちのお父様に顔を赤くすんなー!泥々の昼メロはいかんぞ!?お母様が許しませんよ!・・・文字通りね!
「決まりですわね。少数精鋭となると各騎士団長を護衛に付けましょう」
「そうですね。後はマチスさんかな?斥候としては騎士団長より頼りになるでしょう」
「父上!今回は兄である私も同行します!シオン1人、危険な目に会わせれません。私の闇の魔法なら隠密行動に最適なはずです!」
お兄様も一緒に付いて来ると言ってくれる。
「確かに、闇魔法は今回の作戦には最適だな。しかし・・」
「そうね、子供達のみ危険な目に合わせるのは気が引けるわね」
万が一、何かあった場合が心配だよね。お父様は戦えるから付いて来よう思えば来れるけど、領地経営の業務が忙しいし、現当主を危険な目に合わせる事は出来ないよね・・
しかも、お母様が一番の煽りを食ってしまうし。余り知られていないが、お母様が一番ハードな生活をしているのですよ?貴族の嗜みとして、それなりの格式の方からのお誘いは参加しなくてはいけないので、お茶会や夜会には業務に忙しいお父様に代わって、殆どお母様が行っているのです。なので1番家に居ないのがお母様だったりする。最近は物騒なので必ず騎士団の1部隊を護衛に付けて、今まで警護しにくかった場所に青薔薇騎士団を同行させる事でカバー出来るようになったのだ。
ぶっちゃけ面倒くさい事をお母様が代わりに受けてくれている。最近は、ひかりさんの食べ物を魔力変換する技術を得たため、お肌がスベスベになりました。お茶会に参加すると、食べ物とかに手を付けないと周りが煩く噂するのですよ。あるお茶会で手を付けなかったら、その貴族のお茶がお気に召さなかったのですわ~などと悪口を言いふらす・・・バカか!と言ってやりたい!
ごほん!
話を戻します。
ギルド長さんの心配はわかりますが、フィリアス家は家族を、家族の誰かの大切な人を必ず護ります!
「言っても無駄のようですな・・冒険者ギルドの方で露払いをしましょう。東の森は人気のある狩場、採集ポイントなので地理に詳しい者を同行させます」
ギルド長さんの申し出は有りがたかった。さすがに右も左も分からない所に行くのは不安だったからね。
「ひかりさん行こう!神獣を助けに!私達が一緒に行きます!」
「シオン・・・ありがとう!」
ひかりさん目にうっすら涙が浮かんでいたのは黙っていました。
こうして、戦争よりも神獣を救援する部隊が結成されたのだった。
シオン
「さぁ!やってやりますわ!」
愚者の声
「ヤル気満々ですね」
シオン
「無論ですわ!」
愚者の声
「でっ?どうしてそんなにやる気あるの?」
シオン
「遂に、もふもふ天国がくるのですわ!」
愚者の声
「自分のためかよ!?」
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