やっちゃいました!殺ってはないですよ?
後1話続きます。どうしても描きたい事が書けなかった・・・
身体に魔力をみなぎらせ、お父様に尋ねる。
「お父様、すみません。限界なんで殺っちゃってもいいデスか?」
お父様の顔も険しいものになっていた。
「ああ・・私も限界だった。私達の事をいくらでも罵るのはかわないが、命を掛けて散っていった騎士達を侮辱する事は許さない!シオン、責任は私が取るから存分に殺りなさい」
物騒な事を言っていた私達にお母様が口を挟む
「あらあら、流石に殺ってはダメよ?」
お母様!そんな!?
「私達を命懸けで護ってくれた大切な騎士達を侮辱したのですもの・・・一度で終わる苦しみなんて生ぬるいわ・・・生き地獄を味わって貰うためにシオン、存分にやりなさい・・・・・。間違っても殺ってはダメよ♪」
ぶるぶる!?お母様が1番怖いデスデス・・・
私は身体にみなぎらせた魔力を解放した。
辺りが私を中心に解放した魔力で凄い衝撃が走った。私の家族と王様のいる玉座周辺には防御結界を張って護っている。
ビュウウウウウーーーー!
魔力の衝撃波で出来た風が広い謁見の間を暴れ廻る。
「ぎゃぁあああ!」
「誰だ!」
「何が起きている!」
「助けてくれー!?」
武官達の方も強い風が襲っているが、ほとんどの者が動じずに手で目を庇って堪えている程度だ。まぁ、文官達の方が強い風が襲っているんだけどね!
時間にしたら1~2分程度の短い間だったが、大臣、文官達は全て床に這いつくばっているか、柱にしがみついているかの状態だった。
魔力の風が止むと、皆の視線が私に集中する。それはそうだろう!魔力の発生源は私で、フィリアス家を中心に風が吹いていて、私自身がうっすらとひかり輝きているのだから。髪も魔力で、浮いている状態だ。
「はぁはぁ、き、貴様の仕業か!」
「フィリアス公爵の子供が!」
「何を考えている!」
「子供とは言え、我々にこんな事をしてただで住むと思うな!」
「国王や我々に危害を与えたのだ!処刑されても文句は言わせんぞ!」
大臣、文官達はこぞって私を非難し始めた。頭にきているのは私の・・私達の方なんだが!
「黙りなさい」
お母様直伝の、聞くもの全てを黙らせる低い声で私は文官達に話し掛ける。魔力の籠った声は決して大きな声ではなかったが、広い謁見の間にいる者全てに聞こえた。
「大臣や文官達が私達の功績を妬み、嫉妬と自分達の発言力を失うのが恐くて難癖を付けている事は子供の私でもわかりました」
!?
「な、何を言うか小娘が!」
「自分が何をしたのかわかっているのか!?」
「たかだか龍を倒したからと言っていい気になるなよ!」
「くだらない言いがかりだ!」
それもこちらの言い分なんだけれど・・・
「別に、お父様も言っておりましたが私達に難癖を付けるのは構いません。でも、命を懸けて仲間や民を護った騎士達の誇りを汚し、侮辱した発言は許さない!」
自分で言うのもアレだが、私は子供でありながら絶対的なカリスマ性でこの場にいる者達を釘付けにしていた。子供の私に気圧され、言葉も録に話せなくなる文官達
「っく、黙れ!魔物を追い払っただけで民に犠牲者も出したのはお前達の失態だろう!」
「そ、そうだ!私達がその場に居れば優れた知識を活用してもっと簡単に倒せたのだ!」
「龍を倒しただけで王国最高位勲章を貰うのがおかしいのだ!フィリアス公爵だって騎士団の後ろに隠れて指揮を取っていただけだろう!」
『『ブッチ!』』
んっ?
アレ?私も再度、頭に来たがさっきキレてしまったのにまた誰かキレたぞ?
私は周りを見渡すと、凄まじい殺気が発生した。殺気は大臣、文官達の方に向かい気の弱い者は失禁してしまった。
ガタガタッ
「こ、国王様のいる前で私達に何かすればお前達も死刑だぞ!しかも連座で家族もだ!」
必死に虚勢を張る文官達に殺気を放った人物達は言う。
「こんな者達が国の政治に携わっていると思うと虫酸が走る!」
「我が主君を愚弄するとは、国を敵に廻しても許さん!」
「ちょっと調子に乗り過ぎたね。我慢の限界はとうに超えている・・」
「本当に自分達が生きて帰れると思っているのか?」
後ろに控えていた各団長達だった。そして後2人・・・
「たかだか龍・・・ね。そんなに見たいなら見せて上げるよ!あの激闘を!」
お兄様が闇魔法で幻影を作り出す。まずは土龍戦から。お兄様自身が見た光景が広場で再現される。謁見の間は天井も高いので丁度よく空中に立体映像が映し出される。
そこには、自身を囮にして必死に落とし穴へ誘導する騎士や、横から玉砕覚悟で突然し、土龍の動きを止めようとする騎士団達の戦いが映し出されていた。
「こ、これが龍・・・」
「こんな化物に勝てる訳がない!」
「なんで逃げないのだ!」
「こんな化物を相手にしていたとは!?」
「自分なら向かって行けるだろうか?」
「凄すぎる・・」
「仲間と民のため・・・か」
文官達と武官達が呟く
そして─
赤龍の襲来、民が喰われる瞬間。私達に赤龍の火炎弾が襲い、私を庇うお母様、全身傷だらけで片腕を吹き飛ばされても剣を構え、お兄様の前に立ち護ろうとしているお父様・・・
この光景を見て何を言えるというのだろうか?
「こ、これは・・・」
ブルブル!
「お兄様、ありがとう!」
お兄様にお礼を言うと私は大臣、文官達に問い掛ける。
「さて、たかだか龍とおっしゃいましたが今の光景を見ても言えますか?お父様が騎士団の後ろに隠れていたと言えますか?オマエタチハリュウカラニゲズニタタカエルノデスカ!?」
大臣、文官達は何も言えなくなった。反面、武官達の視線が、憧れや英雄を見る目に変わっていた。王様もお父様が大怪我をした事は知らず、先程の場面を思い返しているようだ。
「・・・まさか、城塞都市戦を目で見る事が出来るとは。紙での報告とまるで違うな。今、改めて闇属性の重要性を知ったよ」
王様が呟く様に言うと近衛騎士団に命令を下した。
「命を掛けて戦った者に報いず、下らない言い分で罵った罪は重いと判断し、ここにいる大臣、文官達は降格及び減給とし、一部の財産を没収の上、被害者や街の復旧に充てるものとする!」
王様が立ち上がり、高らかに宣言する!
殆どの文官達は座り込み何も言えずに呆けている。
「そして、武官達にも沙汰を下す!明確な反論もせずに相手を罵るには誰にでも出来る。もっと建設的な話が出来る様に己を律せよ!フィリアス公爵家は自分達の事は何を言われても我慢し、命を掛けて戦った騎士達の為に怒り、誇りを守った。それに比べお前たちは何を言った?何をしたか?本当に命を掛けて戦い、散っていった騎士の事を思ったか?」
これには武官や上級騎士達も俯く
「武官、騎士達にも減給を言い渡す!そしてフィリアス騎士団の訓練を学び、更なる力を付ける事を命ずる!無論、力だけでは無く民を護り友を護り、どんな強大な敵が現れても逃げずに戦う心を学べ!」
武官、騎士達は背筋を伸ばし最敬礼をする。
「「「慎んで拝命致します!」」」
「カイン公爵よ!あれから半年以上経ったが、魔の森の監視強化には人手がいるだろう?この王都及び各貴族が保有する騎士や守衛達を募り、フィリアス領へしばらく訓練に行かせて貰いたい。ここで訓練するより実戦で鍛えた方が良いだろう?詳しい話は後から煮詰めるとして、約1年を目処に、ローテーションで騎士達の訓練の受け入れを許可してくれないか?」
国王様の提案にお父様は頷く
「はっ!その命、了承致しました!」
こうして、後日各地から騎士や守衛達が次々にフィリアス領を訪れて大いに賑わうのだった
シオン
「我慢・・・我慢よ!」
愚者の声
「そうだぞシオン!我慢は大切だ!」
シオン
『うっわ!殴りたいですわ!?』
愚者の声
( ̄ー ̄)にやにや
シオン
「ストレスは発散した方が身体に良いですわね♪」
愚者の声
Σ( ̄□ ̄;)えっ!
ちゅどーーーん!
ぎゃぁぁぁぁぁあああ!!!!
『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』




