王様との謁見でキレました!
まだ続きますー!
なんだかんだで、王様の謁見の間に入りました。すると前回とは違い左右に大勢の人達が整列して待っていた。それぞれ服装は違うが、右側が文官や大臣で、左側が武官と上級騎士達かな?鎧を着てるしね。
謁見の間に入ると、扉の前にいた騎士が「フィリアス公爵家当主カイン・フィリアス様、及びフィリアス公爵夫人シルビア・フィリアス様、嫡男レイン・フィリアス様、ご息女シオン・フィリアス様がいらっしゃいました!」
部屋にいる全ての人に聞こえるよう大声が響き渡る。一斉に、扉から入ってきた私達に視線が向けられる。うん、ちょっとおっかないよ!
お兄様と繋いでいる手に力がこもる。私は顔や態度には出さないが、内心びくびくしながら広間に入って行った。
広間には扉から赤い絨毯が王様の玉座まで続いていて、私達は広間の中央で止まる。
他の人達は左右の壁側にいるので、私達は注目の的だよ。嫌な視線に、私は前にいるお父様、お母様に顔を向けると隣にいるお兄様が大丈夫だよ。と言ってくれた。
お父様とお母様が膝を付き、国王様に挨拶をする。私達はそれに習う。
「フィリアス公爵家一同、国王の命により参上致しました」
前回のおちゃらけた挨拶ではなく、しっかり敬意を払った言葉だった。目の前の階段を登った上にいる玉座には若き国王と王妃様、隣には王子と王女様に近衛騎士団長のローランドさんが控えている。
「カイン!・・・いや、カイン公爵よ無事で良かった。あの龍襲撃の事件から半年以上経った。本来ならすぐにでも元気な顔を見せに来て欲しかったが、厳戒体制を引いて魔の森の監視強化をしていると、報告を受けていたからな。遅くなってすまなかった。我が近衛騎士団及び、アイオス、イーリスから詳しく聞いている。城塞都市エルドラドを魔物の大群から護り、その後の土龍襲撃には落とし穴に落として串刺しして屠り、更に赤龍の空襲には光の精霊王と契約して撃退した!素晴らしい戦果である!!!」
ゼイン国王様、お父様を飛び捨てにしようとしたね!でも、その一言で本当に無事で良かったと思っている気持ちが伝わってくるよ♪
ほら、お父様も嬉しいそう・・私は二人の通じ合う心にほっこりする。
「カイン・フィリアス公爵の功績は文句の付けようのないものである。よって、セフィリト王国勲章・セフィリト大綬章を授けるものとする!」
辺りがざわめく。【セフィリト大綬章】とは、建国当初から続く由緒ある勲章であり、国家、公共の危機に対し顕著な功績を挙げた者に授けられる最高位の勲章である。ここ100年は平和が続いたため授けられた者はいない。
「勿体無い、大変名誉な事です。慎んで拝命致します!」
お父様が王様に感謝を述べる・・・が!
「お待ち下さい!それは流石に過剰評価ではありませんか!」
文官の方から待ったの声が入る。
「そもそも、たかだか龍の1~2匹を倒したからと言って表彰すること自体やりすぎと言わせて貰います」
「そうですぞ!第一こういった事が起きた時の為に騎士団の保有を認められているのです!」
「当たり前の事をして、誉められるのは如何なものかなと?」
文官、大臣達から次々に非難の声が響く。
しかし逆の軍関係者の方からは─
「ふざけるな!腰抜けの文官どもめ!」
「龍と戦う恐怖を知らぬ愚者とはお前たちの事だ!」
「たかだかだと?本来、龍が襲って来た時は国を上げて迎撃するのだぞ!それをフィリアス騎士団のみで対応したのは十分以上に表彰されるべきだろう!」
と、擁護する声が!なんだこれ!?なんだこれ!?派閥とかじゃ無く、完全に文官と武官で対立してるじゃないか!
「シオンびっくりしたかい?うちの国はいつからか、文官と武官の仲が悪くてな。私達、フィリアス公爵家は王宮に仕える文官や大臣と繋がりもあるし、唯一大規模な騎士団の保有を認められているため、双方の対立の緩衝を担っているのだ」
ふむふむ、でもどうして文官達はお父様を非難するのかな?かな?
お父様は私の考えを読んだみたいに続ける
「国家の危機に対して、武力で街を護った勇者みたいな名誉の授章を受けると、騎士団の力が強くなるから、もう少し低い授章に持っていきたいんじゃ無いかな?」
お父様がこっそり言ってくる。
色々あるんだなー、流石は伏魔殿の王宮ですね!と、感心してしまったよ。ってか、私達を中心に左右から野次を飛ばさないで欲しい!
「静まれい!!!」
王様の側にいた近衛騎士団長ローランドさんが、大声で叫ぶ!ローランドさんの大音量の掛け声に辺りが静まりかえる。
「国王様、どうぞ」
ローランドさんが国王様の発言の状況を作ったのか・・・
「私は、先程述べたはずだ。フィリアス公爵の功績は文句の付けようのないものであると!これは決定事項ある。大臣や文官達の発言は却下する!」
国王様の声には明らかに、怒りが混じっていた。それでも食い下がるのは、位の高い大臣や文官達だった。
「しかし!お言葉ですが、たかだか城塞都市1つ襲われただけではないですか!?」
・・・なんだと?
「そうですよ!100人も死者が出て無いのです。たいした事の無い龍だったのでは?いや逆に街の人々に犠牲者が出たのです。逆に失態ではないですかな?」
「そうだそうだ!騎士団も戦死者が少なく、補充もすぐに出来るのだろう?補償金だけで十分だ!」
「光の精霊はわかるが、光の精霊王などという伝説上の精霊が本当に存在するかも疑わしい!どうせ、自分たちの失態を隠す為に騎士団が倒したのを、光の精霊王が倒したと民の意識を反らしただけでしょう?」
・・・ふざけるな!ふざけるな!!ふざけるな!!!騎士達がどんな気持ちで死んで逝ったか!理不尽に赤龍に喰われた人々の恐怖がどれだけのものだったか!!!!!!!!
ブッチ!!!?
私は大臣、文官達の言葉にキレた。言って良い事、悪い事の区別を間違えたな!
私はユラリと立ち上がると身体に魔力を込めたのだった。
愚者の声
「野次って嫌だよね・・」
シオン
「あら、そんな嘘を言わなくても?恥ずかし屋さん?」
愚者の声
「嘘じゃないよ!嫌だよ!本当に!?」
シオン
「黙れ!このグズが!この世の中の底辺のゴミ虫が!身の程を知れ!」
愚者の声
ゾクゾクッ!
「う、うそじゃないもん・・・たぶんorz」
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