戦闘の始まりですよ。異世界は情報伝達が遅いです!
今回は、前置きのスタンピートではありませんので先に報告しておきます。完全なイレギュラー戦闘です。
魔の森に面しているフィリアス領地は、要所ごとに砦を作り魔物に対応している。
魔の森に1番近い砦・・・現在では砦と言うより城塞都市となっているフィリアス第二の都市【エルドラド】がある。(第一は港街)
築上当初は魔物に対する備えとして稼働したが、魔の森に近い事もあり冒険者達がどんどんやってきて、宿を貸して欲しいと集まって来た事から、拡張していき都市まで大きくなった。冒険者ギルド【魔の森支部】があり、冒険者達が狩ってきた魔物を解体、魔石の売買など王都以上に盛況である。腕の良い冒険者も多く滞在して、腰を下ろして活躍している。魔の森はこの辺りでは1番レベルが高く、初心者はまず東南の都市国家群の国境近くにある【始まりの森】などで力を付けてから魔の森に来るのが通例になっている。
「ギルド長!フィリアス公爵様から伝令です。最低限の騎士団を残し全戦力をこの城塞都市に集結させるとの事です!直に公爵様自らやってくるそうです!」
「おおそうか!流石はフィリアス公爵様だな。普通の貴族どもなら我先に逃げ出しているぞ」
伝令の報告に満足に頷くギルドマスター
「森から出てきた魔物の数は?」
「はっ!ゴブリン150体、ヘルハウンド100体、オーク100体、スライムなど小型魔物300体ほどです!」
「既に戦闘が開始されて1時間は経つが戦況は?」
そうなのだ。携帯電話の無いこの世界で離れている地域に情報伝達するには時間が掛かるのだ。公爵家に魔物が大量に発生したと連絡が行ったのは早馬で1時間ほど掛かっている。
「数の差で苦戦していますが、都市防衛騎士団と冒険者が楯となり足留めし、後方支援で弓使いと魔導師が弓矢と魔法を浴びせているためこちらが優勢です。援軍を待たずに殲滅出来そうです!」
「魔物と違い、戦術を持って戦える人類側が有利か。ただ、無理をさせず前衛の交代を豆にして救護班も増援しろ!戦いはこの後が本番になるかも知れないからな」
伝令は理解出来ず聞き返した。
「この後が本番ですか?」
「公爵様も私と同意見みたいだぞ。魔物が組織だって出てくる訳でもないとすると、もっと大きな脅威から逃げ出して来たと考えるのが妥当だ」
「もっと大きな脅威・・・」
ゴクリと伝令は喉を鳴らす。
「前線の部隊には公爵家の全騎士団が応援に来ると伝えろ!そしてもっと強力な魔物がやってくる可能があるとも伝え、最後まで気を抜くなとな!?」
伝令は敬礼をし、急ぎ現場へ戻って行った。
「杞憂に終わってくれればいいが・・・最悪、カインのヤツは引きずってでも逃がさないとな」
ギルドマスターとカイン公爵とは同年代で、一緒に魔の森の魔物を倒し廻った仲である。貴族と冒険者との立場ではあったが、フィリアス公爵家は冒険者に偏見は無く、魔の森の魔物を間引いてくれる冒険者には感謝していた。
故に、万が一公爵の身に何かあって別の貴族が領主になりでもしたら、絶対に冒険者との関係が悪くなると確信していた。だからカインには長く領主になっていてもらわないと困るのだ。そう、せめて子供が成人するまでは・・・
最近はカインの子供達の噂を良く聞く。特に令嬢の方は、領民と一緒に畑を耕して、新しい穀物を栽培して領地を豊かにしていると言う。しかも光の精霊と契約しているらしい。変わり者みたいだが好感を持てる子供だ。次世代はしっかりと良い根が育って来ているのだ。
ここで踏ん張らないでどうする!
ギルドマスターは受付嬢に後を託し、自ら戦場へ行くのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シオン達は各騎士団と共に城塞都市に向かっていた。足の早い赤龍騎士団を先に向かわせ、重装騎士:土龍騎士団と一緒に進軍していた。シオンのアイデアで重たい楯と一部の剣は隊の中心にある荷車乗せ、都市近くで装備させる事で、疲れを減らし進軍スピードを上げる考えだった。
飛龍騎士団は食糧弾薬(弓矢)の輸送も兼ねていた。
「伝令のスピードから、既に戦闘は始まっているだろう」
お父様の言葉にえっ!?となった。そういえば携帯とか無いんだった。なんか作れないかな?無線っぽい機能を・・・そんな事を考えていた。
「都市エルドラドは大丈夫なのですか?」
「ゴブリンやオークの群れぐらいなら滞在している騎士団と冒険者達で何とかなるだろう・・・問題は強力な魔物が後からやってくる事だな」
なるほどファンタジー小説でなろうやアルファで良くあるSランクレベルの人物が無双しなくても対処出来るのか・・
凄いぞ!うちの騎士団!
愚者の声
((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
シオン
「何に対して怖がっているのかしら?」
愚者の声
「シオンさんがこわ・・」
シオン
「あら?」
ボキボキバキバキ!!!
シオン
「何を言いたいのかしら?」
愚者の声
「ナンデモナイヨ?」
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