船旅はサプライズだらけです!
「ふあぁぁぁぁーーー!」
揺れる船での仮眠に馴れず、寝不足なシオンは大きな欠伸をした。
「もう!シオン、はしたないですよ!」
軽くひかりさんに注意されたの………でも眠い………
「シオンお嬢様、お顔をお洗い下さい」
侍女のAさんからタライに入った水で顔を洗うと……!?
「しょっぱい!!!?」
はい、海水でした。
「シオンお嬢様、海水はしょっぱいものですよ?」
いやいやいや!!!なんで海水を渡すねんって話だよ!
うぅぅ、ベタベタする~
「目が覚めましたか?」
水魔法で顔を洗い直すとAさんが尋ねてきた。
「むすー、目が覚めましたよ!誰かさんのおかげでね!」
「それはようございました。もっと感謝してくれて良いのですよ?」
……………おい、誰だよ!この不遜な態度のメイド………侍女を雇ったのは!?もっと敬えよ!って言いたいよ!
『いつも私の為にありがとう。Aさん!貴女のおかげでいつも助かっていますわ。今度、私の全てをあげちゃう!大好き!』
…………と、お嬢様はおっしゃったのでした。(まる)
(いけませんわ!お嬢様。そんな!クネクネ)
いやいやいや!!!言って無いよ!!!捏造するな!
「言ってないから……」
私は脱力感に見舞われましたよ。しかも─
「し、シオン!!!Aさんとそんな仲だったなんて!?シオンも大人になったのね」ホロリッ
ひかりさん!!!!!悪ノリすんなーーーーー!!!!!
よし、その喧嘩買ってやんよ!買い叩いてやるから!?
「うがあぁぁぁ!!!いい加減にしやがれやーーーー!!!!」
私は寝不足のためイライラしていてキレたのよ!
「「「きゃーーー!!!!」」(棒読み)
もう嫌だ!この二人!!!
またまた脱力してしまったの。もう二人を無視して部屋を出ました。甲板に出ると、昨日と同じく強い潮風が心地よく吹いていた。
「はぁー、朝からなんか疲れました」
甲板の手すりに寄りかかりながら、ため息をついたよ。
「潮風が気持ちいいなー」
風になびかれながら地平線をぼーと見つめていると、地平線から黒い【点】が見えてきた。それはどんどん大きくなっていき、途中から大型の船だと理解した。ただ、船首とマットの帆に大きなドクロのマークが目に付いた。…………んっ?ドクロ…………?
「「「海賊船だーーーーー!!!!」」」
私と同時に、船員さん達も叫んだ!!!!
「シオン!ここに居たのか!」
お父様がやって来ました。
「ここは危険だ!船内に戻りなさい!」
「いいえ、お父様!私も戦いますわ!」
「ダメだ!船内に戻りなさい!」
「嫌でっ………むぎゅ」
お父様が私の口を手で塞いだのです!
ジタバタ、ジタバタ
コソッ
「大人しくしなさい。お母さんが居るから………」
ピタッ
私はお父様の一言で、抵抗するのを止めました。だって怖いんですもの…………
お父様に抱き抱えながら甲板を見渡すと、海賊船がすぐ側までやってきおり乗り込んで来る所であった。普通は船の接舷はかなりの時間が掛かるが、向こうの船にも何かの魔法が掛けれているみたいだ。波に逆らって海賊船を接舷してきた。
「ヒャッハー!!!!お前達、死にたくなかったら船の積み荷を置いてけや!!!」
結構な人数がいるようで次々に乗り込んで来た。そこに、なんと!お母様が船の代表者の様に1人で前に出た。
「あらあら、教養と躾がなってないわね。この船がフィリアス家の所有物と知っての狼藉かしら?」
お母様はフィリアス家の紋様が目に付かないの?と言うように我が家の船のマストを指差した。
「へっ!知るかよ!そんなもん!ただの金持ち貴族ってだけだろう?俺達には関係ねーよ!」
乗り込んだ海賊達はゲラゲラと笑った。
(こいつら死んだ………)
「そうですか、では仕方ないですね。調教………教育的指導をせねばなりません」
「はっ!【年増】は引っ込んでいろや!何が指導だ!笑わせるな!!!」
(ガタガタッ………楽に死ねるといいね。永遠の苦しみを味会わされるかも)
「ふっ………ガキどもが♪」
ニッコリ♪
お母様!言動と発音が合っておりません!みなさん!お母様の後ろへ退避です!!!!
お母様の、とても・・・そう、地獄の底から聞こえてくるような、とても低い声で問い掛けてきたのだ。ブルブルッ!
「もーいーちーどーいーっーてーみーなーさーい?」
すでに海賊達は聞こえていない。何故なら、お母様の【魔眼】で氷漬けになっていたからだ。寒かったのは比喩ではなく、甲板から海賊船まで氷ってしまっている。
えっ!?お母様に魔眼なんてあったの!!?
コッソリ
『シオン、お母様も私達の精霊や神獣の影響で魔力が増しているの!お父様や他のフィリアス家にいる人々が影響を受けているのよ?お母様は魔眼という特殊能力に目覚めたのね~』
へぇ~そうだったのね~
って、お母様をこれから怒らせたら氷漬けですか!?
嫌だーーーー!!!!
私はお母様を怒らせないようにと誓うのでした。
こうして2日目も過ぎていきました。
愚者の声
「お母様はお若く、美しい女性だと思います!」
シオン
「そうですわ!私の憧れですもの!永遠の20代なんて羨ましいですわ!」
『ほーんーとーにーおーもーてーいーる?』
愚者の声&シオン
コクコクコクコクッ!!!
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