古龍のお爺さん大暴れ!
4月は仕事が忙しくなるため1週間に1度の更新となります。文字数を増やしたり連続投稿で調整します。
m(__)m
演奏が終わった後は宴会でした。
お酒は古龍に振る舞われて少なかったが、セフィリト国王様が1週間以内に復旧支援の為、食料やお酒を格安で送ると言ってくれたので軍の食料なども使い料理が多く作られた。無論、スタンピードで倒したオークやミノタウロスなど食べられる魔物の肉の解体なども総出で行われ、街の人々や冒険者で干し肉や燻製肉を作り食料事情は改善した。
古龍も酒を20樽ほど全て飲みほしてから約束を果たそう!と言って飛び立っていった。
多分、大丈夫だろう………うん、信じよう!
シオンは知らなかった。光の精霊王とシオンの歌声に感動した古龍のお爺さんが張り切っていた事に……
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グランド帝国:帝都
帝国の首都ともあって、街並みは人通りが多く活気があった。食料の高騰も帝都では余り深刻では無かった。そんな喧騒の賑わう中、【それ】は王城の中庭に降り立った。殺気は無かったが、物凄いプレッシャーを放ちながら……そして突然、降り立った古龍に唖然としている城内の兵士や官僚、侍女達が気絶したり呆けている時に古龍は口を開き、帝都中に響き渡る大音量で怒鳴った!
「我らをコケにした人間どもに告げる!5分以内にこの国の第3王子とその側近達を我の前に連れて来るのだーーーーーーー!!!!!!」
グオゥォォォォォォォォオオオオ!!!!!!!!!
帝都にいた全ての人々が耳をふさぎその場で膝を付いたり、座り込んだりした。
「聞くが良い!人間達よ!我が名は古龍:アイトワラスである。昨年、魔の森にある我らの棲みかを荒らした者がいた。それに付いては責めはせぬ。我らの財宝や素材を狙う者は後を絶たぬのでな。しかし、我らに襲われる事を想定し、南にある国の街を我らに襲わせた者がここにいる!自らの罪を他人に擦り付け、我らを駒の様に扱った。しかも大恩ある光の精霊王の契約者を知らなかったとはいえ我らに襲わせた罪、万死に値いする!!!その首謀者である第3王子を早く連れて来るのだ!!!でなければこの城、街を火の海に変えるぞ!!!」
古龍の言葉に帝都中が騒然となった。
本当なのか!?
セフィリト王国から食料を止められても仕方がないじゃないか!
ふざけるな!早く第3王子を連れて来い!
古龍の恐怖より、王族が罪を犯した事による批判が多かった。民の暮らしが苦しくなった批判と鬱憤の矛先を見つけたからだ。そして古龍のプレッシャーの中、訳も分からずに近衛騎士に連れて来られた第3王子と側近達がいた。
「古龍:アイトワラス様!怒りをお静め下さい!!!」
中年の、体格の良い人物が豪華なマントを靡かせて懇願した。この国の王であった。皇帝と言う立場でありながら鍛え抜かれた体格は武術を嗜む者としっかりとわかるものだった。
「うぬがこの国の王であるか?息子の育て方を間違えたな!100年前に魔族との戦に力を貸したと言うのにこの裏切りは許しがたし!」
「ち、違うのです!何かの間違いなのです!!!私はそんな事はしておりません!」
王と古龍の会話の間に、死にたくは無いが為に声を上げて言い訳する第3王子がいた。
「古龍の棲みかを荒らしたのは第2王子です!私は関係ありません!あいつが軍と冒険者を使ってやったのです!」
「ほう……では、何故お前がその事を知っている?知っていたのに止めなかったのは同罪だ。安心しろ、すでにワシの側近が第2王子も罰を与えに向かっている。貴様も逝くがよい!」
「なっ!?」
「古龍様!本当に我が愚息が古龍様の棲みかを荒らしたのですか!?」
これでも父親である現皇帝は古龍に問い掛ける。
「すでに、光の精霊王より確認が取れている。南の国の国王がそこにいる者が襲わせた証拠も持っているぞ?」
古龍の言葉に皇帝も固まる。それはそうだろう?こちらから仕掛けた戦争の火種の証拠も捕まれているのだ。古龍が暴れれば帝国軍とて古龍には勝てない。そもそも伝説の人間の味方である古龍を怒らせたのはこちらなのだ。軍の者とて戦いを放棄し逃げ出すか、矛先を王族に向けるだろう。そしてボロボロになった帝国をフィリアス王国が大義名分の下、攻めて来るのだ。どうしようもない状態である。
固まって何も言えなくなった皇帝に古龍は続けた。
「本来であればこの国を焦土とする所だが、貴様は1つだけ良いことをしたのでな……そこにいる第3王子と第2王子の命で許してやろう」
「私が何をしたのですか!?」
「精霊眼を持つ年の離れた第4王子を下町に逃がしたであろう?彼の者はスタンピードの起こった城塞都市で覚醒し、土の精霊王と契約を交わしたぞ?この第4王子を次期皇帝にする事が今回の騒動を許す事の条件じゃ!」
!?
「……ジークレストが!?」
「第4王子だと!?バカな!」
今まで第4王子の存在を知らなかった大勢の人々は驚いた。そして帝国でも精霊王と契約をした者が現れた事に喜んだ。
「さて、覚悟はよいか?」
第3王子は泣きながら首をブンブンと振り助けを乞うが……虚しくも古龍の軽いブレスに灰も残さず消え去った。ちなみに、側にいた取り巻き達も一緒にだ。国王も国を守る為、こちらに非がある為に静かに涙を飲んだ。
愚者の声とシオンの!
『いきなりマメ知識』
シオン
「皆様、古龍:アイトワラスの名前の由来はご存知でしょうか?」
愚者の声
「私が思い付きで作った名前じゃないよ?」
シオン
「ここからはグーグル先生の抜粋ですわ♪」
※アイトワラスは場所によって姿を変える。たとえば屋内では【黒猫】や【雄鶏】、屋外では空飛ぶドラゴンや尾が燃えている蛇といった具合である。
アイトワラスが一旦家に入ると追い出すのは困難だとされるが、その家を裕福にしてくれる。アイトワラスを悪魔から買うという方法で入手することもできるが、その対価は人の魂となる。アイトワラスは隣家から牛乳や穀物や金品を盗むといった方法でその家を豊かにする。盗みの対価は【オムレツ】のみだと言われている。
シオン
「おわかりでしょうか?つまり今後も出て来ると言うことですわ♪美味しいオムレツ作らなきゃ!」
余り聞いたことのない名前の龍ですが、この面白い特徴を絡めていきたいと思います!
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