オンステージ開幕!(挿絵あり
4月は仕事が忙しくなるため1週間に1度の更新となります。文字数を増やしたり連続投稿で調整します。
m(__)m
それからは大忙しでした。城塞都市に急いで戻り、軍や街の人々に説明に追われた。古龍はひかりさんに会いに来たと言って、100年ぶりの鎮魂歌を唄う事になったと説明した。
古龍のお爺さんにはなるべくプレッシャーを押させてもらい静かに城壁の側まで来てもらった。セフィリト国王様が気を利かせて酒樽を、古龍と赤龍に20樽ほど置き振る舞われた。
龍達にはコップで飲む様な感じになったが既に5樽ほど空にしている。
「ほほう、ここ100年ほどで酒の質が上がったのか?旨い!」
古龍の賛美に、セフィリト国王が話し掛けた。
「100年前は魔族との戦いで手の込んだ物を作る事が出来なかったと聞きます。平和になってからこの分野の質は上がりました。もし宜しければ毎年数十樽ほど貢げさせて頂ければと思います」
「ふむ……ここまで美味であれば頂きたいのう」
少し後ろを見ると赤龍もグビグビとやっていた。
「御方様、確かに美味しいです!」
元々、赤い顔もっと赤くして嬉しそうに答える。
「光の精霊王様の歌の前に酔いつぶれないで下さいね」
セフィリト国王も苦笑いをするのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
準備が整いひかりさんが城壁の上に立った。今、城塞都市にはかつて無いほどの人々で溢れていた。辺境から援軍に来た帝国軍、隣国からきたセフィリト軍、帝都からきた近衛騎士団、城塞都市にいた冒険者達……実に多様な人々で溢れていた。唄っているひかりさんを空に映像として映す魔法をお兄様が準備して、私は城塞都市中にひかりさんの声が響き渡る様に風の魔法を発動した。人々が押し掛けないよう場所の整備誘導などてんやわんやで準備をしたのだった。そして─
光の精霊王:ひかりさんの唄が始まった。
ひかりさんの唄は歌詞がなく、ラララー調の歌声ではあったが確かにメロディーがあり、ひかりさんの美声が良く透き通り響いていた。聞いていて心が安らぐ歌声で、耳を傾けたくなる唄だった。
そして時間にして5分ほどだろうか、歌い終わった後の少しの静寂……
「「「わっーーーーーーー!!!!!!!!」」」
一斉に歓声が上がった。
「感動しました!」
「最高です!!!」
「涙が止まらない……」
「生きてて良かった!」
街の人々の大歓声のから少し外れて、城塞都市の外で聞いていた古龍:アイトワラスも満足そうな笑みを浮かべてひかりさんを見つめていた。
「100年経っても変わらんものじゃな………心が安らぐのう」
誰にいうでもなく呟いた。
「皆様、ご静聴ありがとうございました。この後は、私の契約者であるシオン・フィリアスの唄をお楽しみ下さい♪」
はっ!?
シオンは何を言われたのかわからなくポカーンと口を開けて呆けてしまった。えっと……ちょっと待って!?聞いてないよう!
このひかりさんの後に唄うのは難易度高すぎ!!!?
じゃなくて、唄った事なんてないのに!!!
恨みながらひかりさんを見ると、いたずらっ子みたいに私を見つめ返してきた。にゃろうめ!
そうこうしているうちにいつの間にかリーネちゃんに連れられ劇使われる可愛らしい服装に着替えさせられ、城壁へと連れて来られた。気分はドナドナされる動物の気分デス……はい。
なんかAK○みたいな服装にびっくりしながらこの姿を大勢に見られる事に快感……じゃなくて恥ずかしさで顔が赤くなった。一緒に付いてきたリーネちゃんやエミリア、サクラが頑張れー!と少し離れた場所から応援してくれている。お兄様が、「こんな可愛らしい姿のシオンに男は近付けさせられん!」と言って女性陣ばかり集められた。だったら唄わない方向で話しを進めて欲しかった。グスンッ
ひかりさんの歌声から15分ほど経ち、人々の興奮も収まってきた時、私の唄う番になった。こうなったらもうやけよ!女は度胸!やってやるわ!気分的にマイクを土魔法で作り、先ほどと同じく風魔法で声を乗せる。前世の記憶は余り無いけど、心に残った歌があるんだ。それをここで唄うよ!この世界(異世界)で伝わるかわからないけど!
【夢の翼】
作詞
by:naturalsoft
「夢が夢から 目覚めはじめる
いつも不安を抱えていた あの頃の僕たち
幼い日々の経験が 未来と可能性を打ち砕いていく
それでも希望を夢見て 僕らは進み続ける
仲間と共に 心が一つになるよ
さよならは言わない 一緒に歩んでいこう
夢の翼広げて どこまでも
夢を夢で終らせない 今から始まる
いつも上手くいかず 落ち込む心
失敗と言う経験が 進むべき道を暗くする
それでも可能性を信じて 僕らは歩み続ける
仲間と共に 心が一つになるよ
言葉などいらない みんなと一緒にいこう
夢の翼広げて 大空に飛び立とう
仲間といつまでも_ どこまでも」
私は器用に風と土の魔法で【音】を作りだし声と一緒に乗せて唄った。(風で石と石をぶつけて音を出す感じ)これでリズムを取った。鉄鋼石を使いキンキン、カンカンと音にアクセント付ける事も忘れない。
ひかりさんとは別の意味で斬新なメロディーの歌声だった。この世界の歌とは吟遊詩人が、神や英雄を讃える歌が主流でメロディーもハーブなどが多い。貴族のパーティーではオーケストラが普通なので一人で歌い、演奏をこなす者などいないのだ。何より仲間を讃える歌なんて殆んど無かった。今回のスタンピードで城塞都市の人々が1つになり、他国の軍や冒険者達が一緒に戦った……これほど相応しい歌詞も無いだろう。
唄が終わり、ひかりさんの時以上に静寂が流れた。私は失敗したか!?背筋に冷や汗をかいた。周囲を見ると、みんな泣いていた。どうやら人々に伝わったようでよかった。
「仲間と共に……か。闇の化身との決戦前にこの唄を聞いていればどれだけの勇気が奮い立っただろうかのう……」
「御方様!!?」
赤龍は慌てた。古龍が泣いていたのだ!
「よい、心配するな。シオン嬢の歌声に心打たれただけじゃ」
『本当に良いもの聴かせてもらったわい』
城塞都市の人々もセフィリト軍や帝国軍も先ほど以上に肩を組んで打ち解けていみたいだ。
「はー、良かった……」
シオンは側にきたひかりさんに文句を言おうと近付いたが急に抱き締められ、むぎゅーとされ何も言えなくなった。
「シオン……ありがとう。感動したわ!」
ひかりさん苦しいよ!そしてズルい!文句が言えないじゃんか!
城塞都市は間違いなく、光の精霊王とシオンの歌声で1つになったのだった。
愚者の声
今回の歌詞は、私の別作品「私は復讐の為に唄い続ける」からの抜粋です!こちらもよろしく!
シオン
「なんですの!作品紹介ではありませんか!……でも、まぁ歌は良かったですわね♪」
愚者の声
「いやー、これをやりたいが為にシオンに唄って貰おうとしてたのに、中々出せず苦労しました」
シオン
「ちなみに、ファンタジーに似合わないAK○の様な服装は?」
愚者の声
「無論、趣味です!!!!」
『力説』
シオン
「この変態がーーーーー!!!」
ドッカーーーーン!!!!!
(o゜∀゜)=○)´3`)∴
愚者の声
ギャーーーーーーー!!!!
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