古龍とひかりさんの再会
4月は仕事が忙しくなるため1週間に1度の更新となります。文字数を増やしたり連続投稿で調整します。
m(__)m
魔の森の入口で赤龍との戦いを城塞都市の城壁から見ていた人々は驚愕していた。シオン達の魔法と赤龍のブレスの威力に。
戦っているのは主に少年少女という年代の者達だ。誰もが加勢に行かなければ!と思ったが、邪魔になるのは明白で見つめる事しか出来なかった。そして、城塞都市にも届く物凄いプレッシャーが伝わってきた。古龍の登場である。
「……おいおいおいおい!!!!ヤバいだろう!あれは!!!」
プレッシャーから古龍の強さがわかり、スタンピード以上に青くなる兵士や冒険者達だった。そんな時、城塞都市に戻ってくる人物がいた。遠目で確認し城門をから迎い入れる準備をして到着を待った。
リーゼンが転がる様に入ってきた。そして叫ぶ!
「はぁはぁ!ひ、ひかりさんを!光の精霊王を連れて来てくれ!寝ていたら背負ってでも連れていく!」
突然のリーゼンの叫びに目を丸くする。
「はぁはぁ!バカリーゼン!それではわからないだろう!」
少し遅れてサクラが到着し、息を整えながら事情を説明する。
「ひ、光の精霊王様がいらっしゃるのですか!?」
1番に反応したのは精霊オタクの第1王子アーレストだった。そして取り敢えずは戦闘は回避されたが、今後の展開では帝都が火の海になる事を伝えるとアーレストも一緒に行くと言い出した。
「正気ですか!?あんな怪物の目の前に行くなんて死にに行くようなものですぞ!」
「大将シャーマン殿、そんな怪物の前に成人もしていない子供達が立ち向かっているのですよ?上に立つ者が行動を示さずにどうするにですか!」
アーレストの言葉に押し黙るシャーマンだった。
「アーレスト殿、私の子供達を頼んでもよろしいかな?」
「私に出来る事は限られますが、善処します!」
ちょうどそこへ、ひかりさんを背に乗せたリーゼンが入口に戻ってきた。
「余り時間がないのでこのまま行きます!馬は恐がって動けないので徒歩で行きます」
「リーゼン殿だったかな?私は帝国第1王子アーレストだ。光の精霊王様は私が背負っていこう。戦える者は手ぶらの方が良いだろう!」
状況を理解出来て無いリーゼンだったが、向かいながら話す事でまとまった。因みに、アーレストは光の精霊王に触れたいが為に言った方便である。こうして戸惑いながらもリーゼンとサクラはアーレストと共にシオンの元へ向かうのだった。
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「では古龍様、その様にお願い致します」
「フッフッフッ、長生きはするものじゃ……まさかこんな茶番に付き合わされるとはのう。いやはや、面白いものじゃ」
「フフフッ、古龍様もまんざらではない御様子で安心しました」
「退屈しのぎにはちょうど良い!シオン嬢もまだ幼子でありながら良い性格をしているのう?」
「いえいえ、私なんてまだまだですわ♪」
「「わっはっはっは!!!」」
……なんか物凄く気があって打ち解けたようであった。
ちなみに、周りの人々は古龍と話すだけでもプレッシャー押し潰されそうな状態で、古龍と悪巧みの話し合いをしているシオンにドン引きしていた。そしてそんな中、リーゼン達が到着した。
「「えっと……どういう状況???」」
説明中~
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お互いの状況を確認しあい、ジークは遠慮がちに話し掛けた
「アーレストお兄さん?」
苦笑いしながらアーレストもジークを見据えて言い返す。
「ああ、そうだよ。初めましてかな?実は君が赤ちゃんの時に会っているのだけどね。同じ母親から産まれた弟として紹介されたよ」
「そうだったんですね……」
『ジーク!アーレストは味方だから安心してね♪弱いけど精霊眼を持っているんだ!』
土の精霊王のアースが横から話し掛けた。
「ジークが正式に契約したからかな?私にもジークの隣にいる精霊が見えるよ。……夢に出てきた精霊と同じだ」
アーレストは感動したように胸に手をおきを目を瞑る。
『今なら僕の声が聴こえるよね?今までジークの為に無能を演じて敵対勢力の目を反らしてくれてありがとう!君には凄く感謝しているよ。手を出してくれない?』
アーレストが手を出すと薄茶色の透明なガラス玉みたいな物が乗った。
「これは……?」
『まだ僕の力は弱い。これが精一杯のお礼なんだ。これは【土精霊の宝珠】といって持っていると精霊が集まってくる宝珠なんだ。まぁ、持っていれば精霊の友達だと思われて精霊の警戒心が弱まって近づいてくるって感じかな♪ジークの兄だけあって土の精霊がより集まり易いだろうね』
まさにアーレストには何事にも変えられない至高の宝といえた。この時のアーレストの喜びはなんとも言いがたいものだった。心の中では裸踊りで舞い上がっていたが、帝王学を学んでいた成果か、顔には出さずにただただ宝珠を見つめていた。
「土の精霊から聞きました。僕を護って頂いてありがとうございました!アーレストお兄さん!」
ここで少し変化があった。第2、第3王子からは言われた事のない純粋な感謝に心を打たれた。精霊の次に弟って良いかも知れないと思うアーレストだった。
ジークレストとアーレストが兄弟仲を深めている時、まだ眠っているひかりさんにシオンが魔力を流し込み、ひかりさんの覚醒を促していた。
「う~ん……あと5分…………」
ピキッ!
ちょっとイラッときたシオンはひかりさんの頬をシュパパパパッ!と往復ビンタをかました。
ガバッ!!!?
「痛い!何事!?」
おお!ひかりさんが目覚めたよ!
「おはよう!ひかりさん。知り合いが訪ねて来たから叩き起こしたの!」
「へ~そうなの?私にビンタを喰らわしたのはシオンなのね♪」
え゛っ!!
私はひかりさんに笑顔でアイアン・クローを受けてジタバタするハメなった。
「イダダダダダッ!!!!」
ジタバタ!ジタバタ!
「ひ、ひかりさん!し、知り合いが来ているのよーーーー!!!!」
ようやくひかりさんは周囲を見渡し、古龍に気付いた。
「あら……?【古龍:アイトワラス】!?どうしたのいったい?」
古龍のじっちゃん名前持ちだったのかー
「あ、あ、アイトワラスって100年前に精霊王様と一緒に魔族と戦った唯一の【盟友の古龍】じゃないか!!!!」
「まさか、ただの古龍では無かったのか……」
へぇ~有名人なんだ!
「古龍のお爺さん有名人なんだね!」
「「ちょっ!?シオンお嬢様!!!」」
シオンの物言いに焦る周囲の人々であった。
「フッフッフッ、本当に面白い契約者ではないか光の精霊王よ」
「でしょー?シオンは面白いのよ♪」
……なんかバカにされているのは気のせいでしょうか?
(その通りです)
ギロッ
ササッ……
「昔と比べて目付きも優しくなったのう?昔は光の精霊王の癖に、氷の女王と呼ばれておったのに……平和な時代になったものじゃな」
「なに!それ!?聞きたい!」
「あらあら?人の秘密は聞かない方が良いのよ?」
またまたひかりさんにアイアン・クローを喰らいジタバタするハメに……解せぬ!
「あの時は、光の精霊王に睨まれるだけでゾクゾクしたのんじゃがのー」
「こら!しゃべるなっていってるでしょ!」
イダダダダダッ!!!!ギブ!ギブ!私は関係ないよーーーー!!!!
ようやくひかりさんから解放され肩で息をしているシオンだった。
「……光の精霊王よ。100年前にワシを助けてくれたこと感謝する!闇の化身との最終決戦を前に、ワシは魔族の罠にハマり重症を負った。光の精霊王は魔力を温存しなければならない時に、ワシの治療に力を使い……そして相討ちとなった。ずっと礼を言いたくて生きてきたもんじゃ」
「良いのよ。私が勝手にやった事なんだから!それに、産まれ変わって良いこともあったしね♪」
「……良き契約者と巡り合ったのじゃな」
「ええ、そうね!」
暫くお互いに無言になり、再会を噛みしめていた。
「光の精霊王よ、ワシはこの国の者達に力を貸すと約束した。1つだけワシの頼みも聞いてくれんか?」
「あら?私に出来る事ならなんでもするわよ♪」
「では……また歌を聴かせてくれんか?あの透き通った歌声が聞きたいのじゃ」
おおっ!!!ひかりさんは歌が上手かったのか!私も聞いてみたいな!!!?
「懐かしいわね~あの頃は士気を高める時や夜営をしてる時に良く唄ったわね~」
「100年ぶりに美声を聴けるとは嬉しいものじゃ」
古龍は前屈みになるように姿勢を低くした。聴く気満々だよ!そこで私は悪ノリしてバカな提案をしてしまったのだ。のちに、物凄く恥ずかしい目に合うなんて思ってもみなかった。
「古龍のお爺さん!ひかりさん!良かったら城塞都市で歌わない?城壁の上から古龍の目線で唄うの!風の魔法を使えば城塞都市中にひかりさんの声が届いてスタンピードのせいで落ち込んでる人々を元気付けられると思うの!」
「ほほう?光の精霊王の美声が大音量で聴けるのならより嬉しいわい!」
古龍のお爺さんてミーハーなのかな?ノリ良いよね♪
「ちょっと恥ずかしいけど、久々に歌いますか!」
こうして、城塞都市主催の光の精霊王のオン・ステージライブの開催が決まったのだった。
そして、何故か私も歌うハメになるのは次回にお伝えします。
愚者の声
「なんでか話が脱線して進まない……orz」
シオン
「帝国編はもう少しで終わりですのよね?」
愚者の声
「そうなんだけど……ネタをばらすと、最初のプロットではシオンの歌声でスタンピードを静めて森に返す予定だったのよ?でも、話がどんどんズレて行って結局出せなかったので最後の修正に入った訳なんです」
シオン
「マク○スのパクりですわね」
愚者の声
「違うよ!どうしてもシオンに唄わせたい物があったの!」
シオン
「変なもの用意したら半殺しですわよ♪」
愚者の声
「え゛っ!?」
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