精霊オタクでした!(誰が?)
3月、4月は仕事が忙しくなるため1週間に1度の更新となります。連続投稿で調整します。
m(__)m
帝国編ももう少しで終わりです。
次はエロフ……エルフ編にしようと考え中~
※予定は未定
城塞都市は第1王子の援軍を迎い入れた。
「此度の援軍、感謝致します!」
帝国軍の代表はシャーマンが務め、城塞都市の責任者としてイルベルト副官が隣に控えた。相手は帝国の第1王子である。しかも正室の………不敬は出来ないのだ。
「まさか、我々が到着する前にスタンピードを終結させるとは思って居なかったよ。しかも、隣国の援軍の方が速いとは良いお笑いのネタにされてしまうな?」
第1王子のジョークにならない言葉に、どう返答して良いのか困ってしまうシャーマンであった。
「セフィリトの国王様ですね?私は帝国第1王子のアーレストと申します。この度の援軍、感謝致します」
アーレストは片膝を付いて挨拶をする。相手は隣の国の国王で自分は王子に過ぎないのだから当然の挨拶ではあるが、帝国の王子が隣国の国王に最敬礼をするシーンに驚きを隠さないシャーマンであった。
「こちらこそ、援軍が遅くなり申し訳無かった。ただ、まだ危機は去ってはいない!赤龍が攻めて来るのだ!ここは危険だぞ?」
「ふふふっ、私には頼りになる弟がいるから大丈夫ですよ。私はいずれ王位継承権を辞退して旅にでも出よう考えていますので………」
!?
「なんという事をおっしゃるのですか!貴方はこの国の第1王子ですぞ!?」
シャーマンがつい言葉を荒げる。今まで3人の王子で王位継承争いをやっていた人物とは思えない。この人物は誰だ?本当に噂の第1王子なのか?噂と目の前の実物が一致しない。どうなっている!?
「だから言ったでしょう?頼りになる弟が【いる】と!」
「ほぅ……噂とはあてにならないものだな。凡庸と聞いていたがどうして……とんだ喰わせものではないか!面白い!事情を聞いてもよろしいかな?」
第1王子アーレストは頷くと指示を出した。
「大将シャーマン殿!赤龍が攻めて来るのでしょう?私の連れてきた近衛騎士団を警備にお使いください。出来れば城壁に登りたいのでそこで話をさせて頂きたい」
第1王子アーレストの言葉に即座に頷くと、騎士団の配置に付いてイルベルト副官と指示を出した。歩きながらイルベルト副官にアーレストは尋ねた。
「イルベルト殿はアルフ元近衛騎士団長を知っていますね?アルフ殿の息子はどうですか?」
突然の問い掛けに戸惑うイルベルトだったが、気を取り直して答える。第1王子の意図を考えながら……
「アーレスト様はご存知なのですか?」
イルベルトの短い言葉にアーレストの目付きが変わる。
「イルベルト殿こそご存知なのですかな?」
質問を質問で返した問い掛けにイルベルトは城塞都市で光の精霊王がジークの精霊眼の事を市民に伝え、スタンピードの激戦の中、土の精霊王と正式に契約を交わした事を伝えた。
流石の第1王子のアーレストも驚いた顔をしたが、すぐに安心した顔付きに変わった。
「ようやく私の役目が終わるのか……」
誰にも聞こえない声で呟いたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
城壁に登ると、アーレストはすぐに本題に入った。
「アルフ殿!お久しぶりです!」
「アーレ殿もお元気そうで何よりです」
二人は知り合いで、アーレストが幼少の頃に剣術の指南をしていたそうだ。そして、このアーレストの目的が明らかになる!
「まず、何から話して良いのか悩みますが私には精霊眼があるのです。もっとも、力が弱く精霊をうっすらと見るぐらいですが………」
「それは凄い!精霊眼は先天的な物で後からは手に入らないのでしょう?力が弱くとも、その事実を公開すれば王位継承権争いも収まったのでは?」
「初めはそう思う事もありましたが、精霊から言われたのです。今後、産まれてくる弟が正式な精霊眼を持っていると。だから力を貸して欲しいと言われました」
「それで納得したのですか!?自分は王位に就けないと言われているものですよ?悔しくないのですか!?自分が王になろうと思わなかったのですか!」
既に決めている想いがあるように達観した顔付きでアーレストは答えた。
「……少しはそう言う想いもありましたが、お願いされましたから。精霊に」
土の精霊は夢でアーレストに懇願したのだ。今後、闇の化身が復活する可能性あり、また精霊眼を持つ者の力が必要だということを。力が弱まった精霊達の回復の為に契約者が必要という事を………
流石に、毎晩では無かったが1ヶ月に1度は夢を見るのだった。そしてアーレストはいつしか精霊に惚れてしまった。異性に惚れるのとは少し違い、精霊と言う存在に惚れてもっとも見たい!もっと声を聞きたいと【精霊マニア】【精霊オタク】となって日々、精霊の為に尽くすようになっていった。
精霊眼の力を強めるには魔力を上げれば良いと知れば、魔力アップのトレーニングをしたり、精霊の好きな色が茶色と聞けば部屋を茶色に染めたりと、周りに知られないよう細心の注意を払いながら、凡庸、平凡を演じてきたのだ。
ここまで聞けば目の前の皆さんもある人物を思い出すだろう。
そう、無駄にハイスペックなのに重度のシスコンせいで台無しにしているレインを……
この第1王子アーレストも、実はハイスペックでその実力をここまで隠して来たにも関わらず、精霊の研究に忙しい残念な性格だったのだ。弟のジークレストに王位を譲り、自分は思う存分に精霊の研究をしたいという変人でもあった。
(なんでこの小説にまともな人物がでて来ないのだろう?)
【失敬な!!!】
ん?何か聞こえたような……うん、気のせいですね。
そんなアーレストの思惑を知らずに、アルフやシャーマンは感動していた。自分の地位よりも大切な者を守る為に行動するアーレストに……
(こうして誤解は誤解を生んでいくのです)
「立派な心意気です。ジークレスト殿が王位を正式に就けばフィリアス領に寄ってみると良いですね。光の精霊王様以外の精霊も沢山いるみたいですから」
!?
「本当ですか!?」
何気ないセフィリト国王の発言に、食い付くアーレストだった。
「え、ええ……100年前に力を失った精霊達が次々に産まれ変わってまた多くの者に目撃されるようになったと報告を受けています。力の強い光の精霊王様の元に集まって来てるのかも知れませんね」
そうですか……とアーレストは呟いき、頭の中はどう理由を付けてフィリアス領に行こうかと頭が一杯になっていた。
そう、今までは凡庸を演じてきたのだが、ジークがアルフ殿と一緒にこの城塞都市にいる事はわかっていた。正式な精霊眼を持つジークを死なす訳にはいかないと、騎士団を引き連れてやってきたのだ。ある意味ジークの1番の味方にだと言えるだろう。
………だったのだが、精霊の事で頭が一杯になって忘れてしまった残念な人である。
そんな時、赤龍が魔の森から現れて戦闘が始まったのだった。
愚者の声
「新しいキャラ……帝国の王子って大丈夫かいな?」
シオン
「精霊大好きっ子って素敵ではないですか。年齢は20歳ですって。ジークと10歳ほど離れている見たい」
愚者の声
「シオンの浮気者ーーーー!!!!」
シオン
「まぁ!心外ですわ!精霊大好きな同士が増えたのは喜ばしいことじゃないですか!」
愚者の声
「………また新しい精霊出さないとヤバいかも」
『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』