クックック、帝国の未来が決まったわ!
3月、4月は仕事が忙しくなるため1週間に1度の更新となります。連続投稿で調整します。
m(__)m
古龍との会話は有意義なものだった。いつの間にか言葉使いも砕けた感じになり会話を楽しんでいた。シオンは古龍の後ろに座っている赤龍に近寄りお詫びをする。
「突然の事とはいえ、問答無用で攻撃をして申し訳ありませんでした。お詫びではありませんが傷の手当てをさせて下さい」
赤龍は古龍に目を配り了承を得て頷いた。
「彼の者の傷を癒せ!ハイ・ヒール!」
淡い光が赤龍の全身を包んだと思ったら、全身の傷が綺麗に治っていた。それを見て古龍は………
「ほう………?この赤龍の巨体の傷を瞬時に全て癒すとは今代の#星乙女__ほしのおとめ__#は歴代最高の力を持っているやも知れんな」
また星乙女って言われた。まぁ良いけどね。
「人間よ、礼を言う」
赤龍がお礼を言ってきたのでこちらもお辞儀をして言い返す。少しは警戒が解けたかな?
「少し前に、我々の棲家を荒らした人間とは違う様だな。人間にも色々いると言う事を私は知ったぞ」
赤龍の言葉にピキリッと笑顔が固まった。
「そ、それで前に棲家を荒らした者はどうなりました?」
「直接の寝床を荒らされた若い赤龍が報復に人間達の所に向かった。頭に血が上っていたのだろう。戻って来ない所を見ると引き際を間違え殺られたのだろう」
「淡々してますね。仲間を殺されて怒らないのですか?」
「この世は弱肉強食だ。多少の情はあるが、そこまでは怒らんさ」
古龍が首を傾げて尋ねた。
「何か知っているのかのう?」
シオンは再度、頭を下げ古龍にお詫びした。
「昨年、赤龍を屠ったのは私です。赤龍が私の街に降り立ち、街の人々を襲ったので……」
「そうか、しかし若い赤龍も人間を殺したのじゃ。痛み分けでこれ以上はワシからは報復などせんので安心せい」
「いいえ、いいえ!私は許しません!街の人々を目の前で喰われ、護ろうとした騎士はブレスで焼かれ、私や私の大事な家族ももう少しで死ぬ所でした!光の精霊王が居なかったら全滅でした!」
シオンは涙を浮かべ古龍に叫ぶ様に噛みつく。
「しかし、人間が先に私達の棲家を荒らしたのが原因だ。逆に怒鳴られても困る。やっぱり人間とは皆同じだな」
赤龍は少し落胆した感じでシオンを見つめた。
「貴方は何もわかってない!利用された事すら知らないからそういえるのよ!」
声を上げるシオンをレインが止める。
「やめるんだ!古龍や赤龍を怒らせてどうする!冷静になれ!」
赤龍と古龍を両方敵にすればこちらが全滅するだろう。それでも言わずにはいられない。
「貴方は人間が全て同じだと思っているの?赤龍の棲家を荒らしたのは帝国よ!私達の王国に逃げて貴方達に襲わせたのよ!」
!?
「ほう………北の国は随分と偉くなったものだ。自分達の手を汚さず我々を使うか……クックックッ!確かに南の国にはすまない事をした!」
「御方様!?」
赤龍が古龍の機嫌が悪くなった事を敏感に感じ取り焦った。
「ふむ………光の精霊王の借りもあるし、お詫びも兼ねて手を貸してやろう」
「手を貸して頂けるのですか?」
「ワシらを良いように使ったのであろう?誇り高き龍族を安易に使おうと、思い上がった人間に思い知らせてやるわい!」
この瞬間に帝国が火の海になる事が決まった。………が、そんな事は望んでいないので、もう少し穏便に済ます事を提案し話し合った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一方その頃
城塞都市に同時刻ちょっとした問題が発生していた。
「大変です!北の方から軍隊が進軍してきます!」
報告に来た兵に大将シャーマンが怒鳴る!
「何だと!?どこの軍だ!まさか神国側の第2王子の軍か!?」
第2王子ならここにいるセフィリト国王を捕まえるくらいの事はするだろう。何があっても止めなければ!しかし報告に来た兵からは意外な人物の名が上がった。
「いえ、軍旗で確認したところ、近衛騎士団を率いて第1王子が来ているようです!」
「何だと?凡庸と言われている第1王子だと!?どういう事だ?」
第1、第2、第3王子達の王位継承争いは有名である。順当なら第1王子が王位を継ぐが、第1王子は【良い噂】も無ければ、【悪い噂】も無い。いわゆる凡庸、平凡である。全てが普通であった。おべっかりをする王宮の貴族達も褒める所が無く苦労するほどに実績がなかった。王位に就けば堅実的な施政を行うだろう。失敗もしないし、成功もしない。良い意味での現状維持。しかし、優秀な弟が居れば話が変わる。因みに【正室】の子供である。
第2王子は武勇に優れ、王族と言う特別枠から外れた実力で軍の将軍まで登り詰めた実力の伴う騎士であった。主に魔物退治より隣国の神国との戦争に勝つなど功績を納めている。但し、野心家でありそれを隠そうとせずに次期皇帝は自分だと吹聴し、若い軍の官僚を味方に付け、地盤を整えているのは誰でも知ってる事だった。全てではないが帝国軍の1部を掌握し動かせるくらいには……もし、兄を敬い力を貸せばより良い帝国の未来を築けただろう。因みに【側室】の子供である。
第3王子は知性に優れ、帝国の学校を首席で卒業に文官となり大臣又は宰相候補として国政に携わっている。様々な政策を打ち出し国に貢献している為、一部の国民や王宮貴族に人気がある。第3王子は裏で手を廻すタイプであり、これまた野心家であった。表向きは良人で通っているが裏では政策資金をピンはねして私腹を肥やしている。その軍資金で王宮貴族を味方に付け、次期皇帝の座を虎視眈々と狙っているのだ。第2王子の行動を止める名目上、最近は表立って動く様になってきたので1~3王子の王位継承争いは国民に知れる事になる。こちらも【第2王子とは母親の違う側室】の子供である。
今まで録に聞こえて来なかった第1王子が自ら近衛騎士団を率いてやって来た事で、どう対応して良いのか判断が付かなかった。しかも赤龍との戦いの前に、後方でトラブルを起こしては前線で戦っているシオン達にも影響を及ぼす可能性があったからだ。悩むシャーマンにセフィリト国王が助言する。
「シャーマン殿、私の事は大丈夫ですのでどうか城塞都市に入れて下さい。北側であれば前線にいる息子達にはわからないでしょう」
「……よろしいのですか?危険ですぞ?」
「子供達が戦っているのに大人ある私達も命を掛けないでどうしますか!少しはこちらも良いところを見せないとね」
不敵に笑うセフィリト国王にシャーマンも口元をつり上げる。
「確かにそうですな!それに、こちらの情報は帝都に送っているのでセフィリトの援軍の事も知っているはず。情報が届いてから軍を率いて来たには速すぎるので、その前から援軍に来るつもりで動いていた可能性が高いですしな」
落ち着いたシャーマンも冷静に分析出来る様になったみたいだ。北側の城門を開き第1王子を招き入れる。
ここにもう1つの戦い(話し合い)が始まろうとしていた。
愚者の声
(‐人‐)南無
シオン
「古龍のお爺様、話がわかるわね♪」
愚者の声
「哀れな……」
シオン
「私達にケンカを売ったのですもの!当然ですわ!」
愚者の声
「最後は古龍に良いところ取られたね」
( ̄ー ̄)
シオン
ブチッ!
「ふざけるなーーーー!!!出番増やせーーーー!!!!」
(o゜∀゜)=○)´3`)∴
ガッハッ!
ガクッ………
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