頼もしい援軍です!
「まさか対の土龍が殺られるとわのぅ!?しかし、まだ形勢は変わらんぞえぃ!散りじりになった魔物達が城塞都市を襲うのじゃ!」
流石に目の前で街が襲われていれば焦るだろう。そしてそこに隙が生まれるのだ。しかもタクシャカにはまだ余裕があった。もうすぐ同族が援軍に来るのだ。スイレンに倒されたのは一部に過ぎない。更に【魔の森からまだまだ魔物がやって来る】予定なのだ。
「私はタクシャカを集中攻撃します!無理に攻撃しなくて良いので、土龍の動きを止めて下さい!」
ひかりさんが魔力を練る。
「はぁはぁ、いくぜ!」
リーゼンが土龍を斬り掛かる。
ザッシュ!
グオォォォォォォオオ!!!
痛みに土龍が吠える!
暴れる土龍から距離を取りながらリーゼンはニヤリッと笑う
「これだけ鱗が剥がれていれば斬り放題だぜ!今なら格安でやってやる!」
リーゼンの言葉に、逆襲が開始した。そもそも土龍は強固な身体でのおかげで攻撃を避けると言う事をしない。だから─
「ほらほら、こっちだよ!」
エミリアが左側から攻撃をし、土龍が左を向けば逆サイドの右からサクラが攻撃を開始する。
土龍が混乱しクルクルと廻る。
「っく、落ち着かんか!」
タクシャカも魔法で応戦するが、土龍に足場を取られ狙いが定まらない。そこへひかりさんの魔法が炸裂する。
【ホーリー・ブラスター】
先程は土龍の頭に当たったが、今度はタクシャカに直撃した。無論、結界に防がれたが、かなり結界の力は削がれただろう。
「ちっ、光の精霊王ーーーー!!!!」
「諦めなさい!タクシャカーーーー!!!!」
叫び合う二人に魔法の応酬が始まる。
「妾の魔法がフレイム・ボムだけだと思わぬ事じゃ!」
「あら奇遇ね?私も光線系の光魔法だけではないのよ?」
不敵に笑い合う二人、どちらともフフフと笑い合い魔力を高める。すると、遂にタクシャカが土龍の背から降りた。
!?
「土龍に動かれては邪魔じゃからのぅ?さぁ、死合うぞぇ!100年前の決着をつけようぞ!」
「全く、蛇の様にしつこいわね!」
「クックックッ、蛇じゃからのう!」
この二人の間に入ろうとはフィリアス騎士団の者達は思わなかった。今は兎に角、土龍を倒す事に集中したのだ。
「お前達!ひかりさんの戦いを邪魔をするなよ!」
「わかってるわよ!」
「貴様こそ邪魔するなよリーゼン!」
みんな連携して土龍相手に有利に事を進めていた。そこに、ラミア達が合流したのだ。
ドッカーーーン!!!
ドーーーーン!!!
「なっ!?」
「がっは……」
土龍に集中していたため後方からの魔法攻撃に気付かなかった。サクラとリーゼンの側に火炎弾が着弾し吹き飛ばされた。
「いかん!」
シールが大盾でフォローに入る。大盾に火炎弾がぶつかる!
ドン!ドン!
赤龍の素材から使った大盾でも衝撃はある。しかもサクラとリーゼンが動けない今、土龍の相手はエミリアだけで対処しなければならない。
「ちょっとまずいのじゃ。どうにかしなければ!」
シールも護りながら考えていた。二人がダメージから復活するか、後1人戦える者が居ればと………
「シール、すまない……もう少し耐えてくれ」
火傷は無いが、地面に叩き付けられたダメージがなかなか抜けない。
ラミア達も業を煮やして複合魔法を準備した。
「くっ!いかん!城門すら破壊した魔法じゃ!防ぎきれん!」
シールが大盾から前を覗き、危機を募らせる。
「待たせたね!」
突然の声にびっくりするが、一部のラミア達が風の刃で倒された。
「レイン様!」
「坊っちゃん!」
「レインの旦那!」
「……いい加減、呼び名を統一してくれると嬉しいんだけどね」
苦い笑しながらシール達の所に駆け足で集まる。
「レイン坊っちゃん、まだラミア達が残ってます!リーゼン達が動けないのですじゃ!」
これでは的になると言いかけた所で、向こうを見ると全てのラミア達が倒されていた。そう、マチスが殺ったのだ。ラミア達からすれば、いきなり何人もの同胞が殺られたのだ。その人物が仲間の所に向かえば嫌でも視線と意識はレインに向くだろう。そして、魔法で姿を消していたマチスが次々にラミアを屠っていったのだ。これも【ミスディレクション】の一種である。
「すみません!助かりました!」
「大丈夫か?それより土龍を倒すぞ!」
土龍相手にエミリアが1人で戦っていたが、レインとマチスが加わったことで形勢は逆転した。ただ土龍の視界を奪ったことで簡単にダメージを与えていた。
「前も思ったけど、私達が苦労した相手をレイン様が来ると簡単に倒せるのが不思議ですね?」
「そうじゃな………先程の苦労がバカみたいじゃ」
既に軽口を叩けるほどになっていた。
「サクラ!決めてくれ!」
既に満身創痍の土龍の首をサクラが斬り落とす!
「斬ッ!!!!」
土龍の巨体が落ちる。遂にあれだけ苦しめた土龍を倒したのだった。
シオン
( ; ゜Д゜)………
愚者の声
『ぶるぶる』
シオン
「ここは私が援軍にいく所では?」
愚者の声
『ぶるぶる』
シオン
「私の出番は?活躍は?」
愚者の声
『言えない!シオン抜きで終了するなんて言えない!」
『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』