対策を練るのです!
出発前にレインに魔法を掛けてもらう。
「私の魔法で周囲に姿を同化させる。でも音と匂いは消せないので鼻の良い魔物には注意して欲しい。それと完全に見えない訳では無いのでそちらも気を付けて欲しい」
「ありがとうございます!土龍が近付く前に、城塞都市に到達する時間など確認してきます!」
リーゼンは馬上から敬礼する。時間が惜しいので急ぎ偵察に抜擢されたのは馬の扱いの上手い、リーゼンとサクラ、エミリアの3人に帝国軍偵察隊の2名が合わさり計5名で向かう事になった。馬は三頭で二人乗りで向かう。ここまでの集合に5分しか経っていない。
リーゼンは挨拶をすると先頭を切り、魔の森へ向かって行った。残った軍の者達は対策に追われた。
「レイン殿、シオンお嬢さん、フィリアス領での土龍襲撃の時はどう対処したのですかな?」
大将シャーマンはフィリアス領の時の対策を確認した。既に土龍を退治したことのあるレイン達に期待していた。
「フィリアス領では魔の森から出てきた土龍を落とし穴に誘導して、落として退治しました」
「落とし穴……?そんな物で土龍を倒せるのですかな?」
「落とし穴は、土属性の魔法を使える者達総出で穴を掘り、穴の底には、針の様な尖った岩を作っておき土龍の重みで串刺しになるようにしました。そして大量の火炎魔石や油を入れて置き、爆炎の熱と煙で止めを刺したのです!」
「信じられん!それだけで倒せるとは!?」
「では、同じ戦法が使えるのか!?」
「何とかなるんだな?」
辺りが勝てると喜びの声を上げる。しかし─
「お兄様、大事な事を言い忘れていますわ。皆様、これはそんなに単純な話ではないのです!」
「それはどういう事ですか?」
シャーマンの問い掛けに答えるシオン
「落とし穴はお兄様の幻影魔法で見えなくした上で、土龍にも視界を奪う魔法をお兄様が掛けました。シャーマンさんはそれだけで倒せると仰られましたが、落とし穴に誘導する為にフィリアス騎士団は玉砕覚悟で土龍の正面から攻撃をして進行方向を落とし穴に誘導したのです!……何人の騎士が散っていったか……」
俯くシオンにシャーマン初め、周りの高位官僚や冒険者達も身震いする。
「あ、あの巨体の前に出て攻撃したのか!」
「そんなバカな!?」
「死んでしまうではないか!?」
口々にあり得ないと口にするが、お兄様の土龍戦を魔法で見せられては何も言えなかった。
「フィリアス騎士団は精強と龍を倒してから、今まで以上に広まったが……納得だな。力だけでは無く民を救う為に己の命を掛ける事の出来る真の騎士と言うことですな!」
シャーマンは顎の髭を触りながらレイン達の話が本当だと確信し、驚きと共に敬意すら払うようになっていた。
「しかし、闇属性とは便利な物ですな!幻影魔法は姿を隠すだけだと思っていたが、映像を多くの人々に見せる事が出来るとは!?闇属性の待遇が変わりますな」
シャーマン初め、この場にいた全ての人々が同じ事を思っていた。今まで、光属性と同じく激レア属性ではあるが利用性の面から他の属性と比べ余り重宝されていなかった。それが、書面での報告と映像で同じ情報を見て共有するのでは全く意味が違っていた。この活用法を王宮に報告するだけでも表彰ものだろう。
「城壁上に、投石機を増設します。落とし穴も城門前からギリギリだとアレなので、少し手前にある荒れ地に設置し、前回と違い落とし穴は城壁から少し距離を取り、何個か作りましょう!」
「次いでに投石機の他に少し別の兵器を考えました。バジスタと言う大型の弓矢です!石と違い、一点集中の攻撃力はバジスタの方が上です。土属性の魔法使いに確認した所、石で矢じりを作れると言うことでしたので、合わせて作ります」
シャーマンはシオンの言葉に賛同し、すぐに城壁の兵に手配した。そして街の人々から土属性の魔法を使える者を集い、夜が明けてきてそらが明るくなってきた時、帝国軍500人護衛に周辺の魔物を駆逐して、落とし穴の設置に取り掛かった。
愚者の声
(´ω` )zzZ
シオン
「何を寝てますの!?」
ハリセンでスパンッ!
愚者の声
「はっ!?」
シオン
「寝てないで働きなさい!」
愚者の声
「働いているよ!頑張ってネタ考えてるじゃん!」
シオン
「ダメダメですわ!私が活躍してませんもの!」
愚者の声
o(__*)Zzz
シオン
「聞きなさーーーーーい!!!!」
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