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私は運ばれて保健室のベットの上にいた

「ネリィ、相変わらず真っ白な足だ…」

「変態みたいですわ王子殿下」

「王子じゃない、クライヴだろう?」

確かに昔はそう呼んでいたけれど今の私たちはそんな気安く呼び合えるほどの身分じゃない。

「…それよりどうしてあそこにいましたの?」

私は疑問を投げかける。シナリオ通りならクライヴはあの場面にはいないはずだ。

「うーんそれは秘密かな」

「…未来の妻に隠し事をするのですね」

少しすねてしまう。

クライヴはゲームではアルマが攻略する少女たちの一人に恋をして主人公のライバルとして登場してくるのだが最終的にはアルマと腹心の友となるのだ。

この人は隠し事が多いし本当の心は読めない。いつも作り笑いばっかりだ、だから怖い。

「…あっ!」

クライヴの手が私のスカートの中に入り込んでくる

「だ、ダメです王子殿下!そんな破廉恥なことっ…!」

「クライヴ、だよ」

彼の手は止まらない。

必死にどけようとペチペチ叩くがどけてはくれないらしい。

「君の素肌を感じたいしそろそろ汚れたストッキングを着替えさせてあげようと思ってね」

「そんなの自分でやりますからっ!」

「いや、僕がやるよ。献身的な夫だからね」

夫もなにもあなた違う女に恋をするんでしょ!

「うーん、一回スカートも脱がないと脱がせられないかな〜」

「ぁ、本当にやめてください!」

「やだよネリィ」

後ろの編み上げのリボンをシュルシュルと解かれていく。

ホント王子様なのになんでこんなことに慣れてるのかしら!そういう恋人でもいるんじゃないの。

私はそれでも抵抗しようとがんばるが非力な引きこもり令嬢では彼の手は止められない。

「クライヴ、脱がさないでっ…!」

もう留め具も外されスカートを落とされればその下が見えてしまう。

私は最後の抵抗として必死に押さえるがそれも虚しく抗えない。

「…絶景ってところかな」

涙目になって私はクライヴを睨む。

きっと彼の目の前にはストッキングに包まれた私の足とお尻とその下の下着というあまりに恥ずかしくってマヌケな格好が写ってるだろう

「ほら、お着替えしようね」

「…ぅ…」

私は泣きそうになりながら彼の手を感じている。いつもクライヴには最後には逆らえなかった。

するするとストッキングが脱がされてく

「クライヴは、本当に変態よ…」

「君になら変態でもいいけどね」

あははははと笑う変態王子を一発殴ってやりたい。

「メナ、替えのものを」

彼が保健室の外に話しかけると彼の侍女であるメナが替えの靴下と靴を持ってくる。

私はとんでもなく恥ずかしい格好でいるのに彼女は何事もないように冷淡な表情だ。

実は王子だけはこの侍女を連れてくるのを禁止されてる学園で侍女持ち込みOKな人間である。

つまりは王族の特権だ。

「ネリィに似合うかと思って持ってきてたんだ。どうかな?」

そうして差し出されたのはレースがついた白いニーハイソックスに青色のハイヒール。

どれも最高品質であるとわかるけどこんな形で渡されるなんてちっとも嬉しくないし死にたい気分だ。

「…早く着せてくださいまし」

「僕としはもう少しこうしていたいけど…しょうがないか」

チュ、そんな音を聞いたときには遅かった

私の太ももにははっきりとしたいわゆるキスマークがついている。

「クライヴ、なにして…!」

「愛の印だよ。僕以外の前で脱いじゃダメだからね奥さん」

ニッコリ、まさに王子スマイルでそういうクライヴが憎い。

「…ほんと、変態王子」

「だからクライヴだって」

そんな顔に騙されないんだから!


          


そのあとは無事に時間が過ぎていき下校時間になった。

私は公爵家の馬車にゆられ家に入ろうとしてたが――

「―お嬢様、門の前に不審者がいるようです」


「だーかーら、俺はここのお嬢様に届けモノしたいだけだって!」

「お前みたいな不審な奴がお嬢様の知り合いなわけあるかっ!さっさと失せろ小僧!」


私の家の門番はしっかり働いてくれてるようである。

「お嬢様、学園の制服を着てるようですがどうなさいますか?」

「あんな野蛮な人知らないわ。強行突破でいきましょ」


私がそう言うと馬車はあの男、アルマを撥ねる勢いで門をくぐっていく。

驚き急いでどいたアルマが馬車の窓から見える。

ふーん運動神経はいいのね。


「ちょ、あぶねぇな!」


「せいぜい気を付けなさいっ、貧乏男!」


「お嬢様!」


いきなり窓から乗り出して叫ぶ私を侍女が落ちないように支える。


ポカンとしてるアルマに精一杯の悪役スマイルを送る

ニッコリではなくニヤリ、だ。


そうして私の一日は終わった。

ちなみに家に帰って靴下を脱いだとたんキスマークを見たリーナに冷たくも生暖かい視線を向けられたのは忘れたい。


                       ▽


はじめは怒られてる女の子がかわいそうで助けたがあまりにも顔を真っ赤にして起こる女の子の方に興味が沸いてきた。

『なに、貴方がこの靴をまた手に入れてくれるのかしら?そんなことは出来ないでしょうね!だって貧乏臭い香りがぷんぷんするものっ!』

その一言で俺はなんだか悔しくてあの女がびっくりするようなものをプレゼントしてやりたいと思ったのだ。

転入初日だったが学園を抜け出し王都中を回って探した。

そしてローゼナート公爵家に向かったが…

誤算だったのがそのプレゼントを渡すにもどうにも会えないのだ。

門番の男は頑固で会えなくてもいいから渡してくれって言っても相手にすらしてくれない。

そんなこんなで言い合ってるうちに豪華な馬車が門に近づいてきた。

そして――


「せいぜい気を付けなさいっ、貧乏男!」


ニヤリと音がしそうな意地悪な笑み

落ちるんじゃねぇか心配になるぐらい身を乗り出してあの女は言った。

夕暮れに照らされて金色の風に揺れる長い髪と大きなリボンが赤く染まってる。

そしてぱっちりとした意地悪そうな光を込めた瞳。

それを思い出しただけで――


「ははははははははっっ!!」


「お、おい大丈夫か」


門番がいきなり笑いだした俺を心配するのもわかる。

だって俺だって自分がわからない。

なんであの女がこんなに気になるのか、確かに綺麗な女だが意地悪だ。

だけど…面白い。


「あー、学校なんてくそだるいと思ってたがそうでもねぇな」


あの女をもっと見ていたい。





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