第四話 魔物初討伐
まずは自分の強さがどのくらいなのか測るとしよう。
ここは最弱エリアみたいだしいきなり強敵に出くわすこともないだろう。
意気揚々と森の中を散策していると、青っぽい変な液体がうぞうぞと蠢いていた。
とりあえず鑑定。
リトルスライム Lv.1
お、魔物は鑑定出来るみたいだな。
あんまり意味がない気がするけど。
正直かなり不気味なので触りたくない。
そこら辺の木の枝でつつく。
おりゃおりゃ。
木の枝が絡め取られた。
今度は蹴ってみる。
そりゃ。
うおおおおお!!
靴に引っ付いた!?
気持ち悪っ!
パニック気味に足をバタつかせるがリトルスライムはどんどん足を這い上がって来る。
「ええい、ままよ!」
覚悟を決めてリトルスライムを掴み取る。
あ、思ったよりしっかりとした感触。
わらび餅くらいの硬さだ。
なんかもう慣れてきた。
リトルスライムをよく見ると、体の中心辺りに核が見える。
手を突っ込んで核を掴み、力を込める。
ピキッ、と音がして核にヒビが入った。
そしてリトルスライムはぐったりとして動かなくなった。
魔物初討伐だな。
イリーナ先生曰くこの核が食えるらしい。
周りのウヌルベッとした所は食えるけど不衛生だからやめた方がいい。
折角なので、実食!
パクッ。ギリッガリリッゴリンッギッギリッ...。
おおう...。噛む度に不快な音が頭に響く。
味はなんというか...若干甘い。
うーん、美味しくはないな。
ふと、手に持ったままのわらび餅に目を向ける。
これはやばいか?イリーナ先生もやめろって言ってたし...。
でも、うーん...。
いやあ、好奇心って怖いね。
その後も森をウロウロと歩き回る。
「わんわんッ」
「ん?」
不意に背後から鳴き声が聞こえたので振り返ると、そこには灰色の子犬が3匹いた。
「くぅーん」
「おーよしよし、どうしてこんなとこにいるんだ?」
子犬の頭を撫でながら子犬に話しかける。
ああ、癒される...。
「よーしよしよし」
ガブッ
「がぶっ?」
「ぐるるるる」
「痛い痛い痛い痛い!?」
噛まれた!なんで!?
「がるるる」
「痛てぇ!」
傍にいた2匹の子犬も俺に噛み付く。
お前らそんなに俺が嫌いか!
「ちょ、マジやめ...」
「がぅッ」
「アーッ!」
思わず立ち上がると子犬の1匹が股ぐらに噛み付いて来る。
「ぐっ...許せん!」
子犬は確かに可愛いが武士の魂を狙われたとあっては許すことは出来ない!
「天誅!」
股に噛み付いていた子犬をぶん投げて腕に噛み付いていた残りの子犬を振り払う。
安全確認!
...どうやら噛まれたのは内ももの模様。
ズボンも無事だな、流石邪神様が作ったズボン!
さて、こいつらをどうしてくれようか。
逃げる気配はないしこちらから逃げるにしても、慣れない森で振り切れる自信はない。
適当に攻撃したら逃げてくれないだろうか。
「がうがうっ」
1匹の子犬がこちらに突撃し、残りの2匹はこちらの背後に回り込む。
目の前の子犬を蹴っ飛ばす。
躱された。
「いっ...つー」
またしても脛に噛み付かれる。
そして後ろから迫る2匹も俺の両足に後ろから噛み付く。
今度はどんなに足を振っても離れる気配はない。
「それならっ!」
「ぎゃうっ」
足に噛み付かせたまま近くの木に足を叩きつける。
脛に噛み付いていた1匹は
堪らず口を開ける。
そのままぐったりとして...。
心が痛い。
「ぐるるる」
仲間が殺されたのに他の2匹は構わず噛み付いたままだ。
仇討ちのつもりかもしれんが普通は逃げるもんじゃないのか?
よく考えたらこの体格差で襲って来るのも疑問だ。
一応子犬を鑑定してみる。
リトルウルフ Lv.2
魔物じゃねーか!
なに?冒険者を志す若者は子犬いじめてレベル上げしなきゃなんないの?
心中で突っ込みを入れつつリトルウルフ(どう見ても子犬)を2匹同様に後ろ回し蹴りで木に叩きつける。
リトルウルフに勝利した俺は日も傾いて来たので一旦小屋に戻ることにした。
しばらく歩いて小屋まで後少しの所で俺は突如として激痛に襲われた。
そしてそのまま意識を失った...。