別れとふたことの始まり。
※この作品は作者の事実に基づくものですが
多少の編集を加えています。
私、吉里 凜奈があの人と出会ったのは
入学して4日目にあった生物の授業だったと思う。
あの人というのは理科教師の
若濱 亮先生。
私から見た彼の第一印象というと
それは、かっこよくて
背が高くて
優しそうで...!!
なーんて、そんなにいい印象じゃなかった。
見た目はお世辞にも格好いいなんて言えないし、
背は男の人にしては低い。
(多分クラスで背が一番高いこよりも低かった)
見た感じでいくと優しそうというよりも
人生色々経験しましたー。
みたいな感じのあまり生徒に興味がなさそうな
女子高とはいえ、モテるには程遠い男の人。
「とある中学から来た若濱です。
宜しくお願いします。」
なんて簡素な挨拶で終わっちゃった若濱先生。
しかも、中学の名前は教えてくれなかった。
その後は、特に質問コーナーもなく
授業に移りチャイムが鳴り
そうして授業がおわった。
そんなのが初めての出会いで、
後後にプリキュアが好きだと知った以外には
特に印象に残った出来事はない。
普通に授業を受けたし、たまに話したりするくらい。
そんなこんなで一年過ぎて終業式の日。
今思えばこの日に何か変わっていたのかもしれない。
若濱先生は移動することになった。
正直授業は面白いし、いい先生だから
移動することは少しショックだった。
いなくならないでほしいとおもった。
ただ、この時は生徒として。
なんだかんだ人気があった若濱先生は
その後教務室で囲まれて移動を嘆かれていた。
机の上には大量の色紙と手紙。
でも、その時話しかけるほど
私自身仲良かったわけではなかったし
部活で忙しくて私はそれどころではなかった。
そうして、夜20時。
部活を終えて帰ろうとすると若濱先生が
ちょうど教務室から出てきた。
軽く会釈をして帰ろうとすると
「この紙に書いてあるアドレスに生野の
アドレス送ってもらえる?」
私の肩を叩いて先生はそういった。
「あ、いいですよ。
1年間お世話になりました。」
私は紙を受け取り会釈をして
いつも通りのバスに乗り
いつも通りの席に座り、
いつも通りスマホを
取り出したときさっき貰ったアドレスを
思い出してポケットから探し出す。
生物のプリントの隅っこにザザっと書いて
パパッと切ったみたいなロマンスの欠片もない紙。
にしても、なんで直接渡さなかったんだろう?
なんで、私が恋のキューピットみたいな役割?
もしかして、先生は生野さんが好きなのだろうか?
そうだとしたら、これは渡していいのか?
なんていつも通りじゃないことを
考えながら家に帰った。