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5~7


 く、なにをされた?

 目つぶしをされて躱したところで額に何かが刺さるのを感じた。

 あれは私の目を潰すためのものでは無く攻撃を隠すためのものだったようだ。

 体が痺れ、落馬しても受け身も取れずしばらく気を失っていたようだ。


「あら?目が覚めました?」

 揺れる馬車の中まだ混乱しているのか二人のはずなのに三人に見える侍女に囲まれていまだ動けずに居る。


「姫様があなたのことを好きにして良いって仰ったの。」「せいぜいがんばって期待に応えて欲しいです。」


 こいつら何をする気?!

 ここで初めて私が全ての鎧をはぎ取られた上服や下着すら着けていないのに気付いた。

 変な装飾のある壺を取り出し中の液体を体に振りかけられた。








「あれから苦労しましたのよ。」

 身を固くしてお仕着せの執事服を着せられた小十郎は余りの強い存在感に引き攣っていた。


「何度生まれ変わってもあなたはどこにも居ないし、死に神や天使に聞いても知らないっていうし。」

 頬をすり寄せてくる乙女に理性が負けそうになるが、昔の姿を思い出し湧き出す神々しさに背筋が凍る想いを感じていた。


「だから私思いましたの。わたしが神様になったらすぐにでも見つけ出せるし、誰も邪魔しないんじゃ無いかって。」



「は?いまなんと?」


「ですから、小十郎様と結ばれるためには私が神様になるしか無いと。頑張って修行しました。」


 そこまで思い詰めていたのか。どうせ死んだら終わりだと思っていたのだがまさか本当に生まれ変わっても思われていたとは。



「あの世界の神様をいろいろ訪ね歩いていろんな修行をしましたわ。崑崙の西王母様から初めて天竺の御仏の方々、羅馬の方々の横暴さは少しはなに着きましたが修行のためと我慢しましたもの。あの世界が終わるときには何とか異世界でも名が知られるほどの実力を得られましたわ。彌勒様や大神の方の中に移住される方が居たのでこちらに付いてきましたの。そうそうその時に師匠の石猿の仏様に手向けとしていただいたのがこれですわ。」


 耳たぶに着けていた金属製の飾りを手の上で転がすと三尺ほどの杵へと変わった。

 その胴には〈如意金箍錘〉と金の刻印があった。裏側にはなにやら数字が沢山並べて掻いてあった。

「地の属性繋がりでとてもよくしてくださいましたが、世界と共に滅びることを選ばれましたの。私はまだ力が弱かったのでこちらの世界でしばらく修行を続けてようやく此度の召喚に至ることが出来ましたのよ。」


 閉じられた目に涙が浮かぶ。

「この目はお見苦しいかも知れませんが、この地を手に入れるためこの世界の宗主に献上して二度と私に手を出さないよう呪を掛けましたの。こちらに来てからいつも付きまとってきたので、私の何処が良いのか聞いたらその綺麗な目が気に入ったと言ったの。その場でえぐり出して呪いと一緒に渡したらあっさり下僕に落ちてしまいましたわ。直接あなたを見ることが出来なくなりましたがこうして手で頬で体であなたを感じることは出来ますもの大したことはありませんわ。」


 涙を流す少女?を突き放すことも出来ず忍びとしての能力とは関係ないところで試されている気がするが、ただ抱き留めて宥めるしか無い小十郎であった。










 

「姫様今日はこの村で宿泊となります。」


 四人目(・・・)の侍女にして新たに加わった天使の姿に皆がひれ伏す。



「お前、小雪だったのか?」

「はい、あなたと巡り会える日を姫様とともにお待ちしておりました。これからは深雪(みゆき)とお呼びください。」

 襲撃者だった女騎士は妻であったくノ一の小雪の生まれ変わりだった。


「彼女とは幾度となく生まれ変わった先で巡り会えてその都度、私の妻や夫とした方です。私の使いとして力を蓄えて、今回の邂逅で私の覚醒を促すことが出来ました。小十郎の妾として認めた唯一の方ですわ。ですからほかの方を囲うときはきちんと私達の許しを得てくださいね。」 


 末席に傅く襲撃者達の寝返り組(新たに帰依した)は信者として付き従うことになった。なかには不要として放逐された者も居たがすごすごと国へ帰っていった。


 

 その晩は二人に襲われる形で限界まで、いや限界を何度も超えるほど搾り取られた。

 どんな状態になっても一瞬で完全な状態に戻されてまた繰り返される。どんな修行よりも辛く、気持ちいい拷問のような一夜であった。



 やはり何らかの修行だったのか翌朝には姫様や深雪に気圧されない程度の耐性が付いていた。


 従者としての知識やこの世界についてもいつの間にか頭に入っておりこの世界でも困らないようになっていた。





 俺は天使としての階段を上ることになったがあくまで影の存在である。

 表の派手なことは深雪に任せ裏方として世界を見させてもらう。

 姫様の腕に抱かれそう話すと笑顔とともに了承された。

 





 俺の名は小十郎。

 姫様の、この世界の大地全てを統べる女神様の忍びだ。



 





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