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BRAVER  作者: 高槻
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特にこのお話で何かを伝えたいというわけではありません。

頭を空っぽにして、暇な時に読んでいただけたら幸いです。

あとあらすじは真に受けない方がいいです。

閑散とした森。

しかしそこは、魔獣の闊歩する危険地帯だ。

だが、命知らずの狩人達はそこに躊躇なく足を踏み入れる。

今日の為、明日の為に。


「ジン!デカイのがそっちに行ったよ!」


真紅の防具に身を包んだ少女は、凛とした声で仲間に危険を促す。


「了解、雑魚は任せたぞ、カトレア!」


ジンと呼ばれた少年は青と白のコートを翻し、大物を引き付けるために森の奥へと吸い込まれていく。


「分かった!バレットチャージ、イグニッション……」


カトレアと呼ばれた少女は魔法の 引き金(トリガー)を唱え、精神を集中する。


「こんのぉぉぉぉぉぉ!!」


右腕に炎を纏った少女は、襲いかかる大小の魔獣を片っ端から燃やし尽くす。


「ほらほら、こっちだ!ついて来いよ!」


ジンは次々と木々を飛び移り、魔獣を挑発する。


「―――――――!!!!!」


耳を劈く魔獣の咆哮。

しかしジンは怯むこと無く、澄んだ瞳で魔獣を見据える。


「そろそろ大丈夫か……迸れ、雷!」


カトレアから十分に離れたことを確認し、彼は引き金を唱える。

手にした両手剣に青白い光が灯り、彼の体を雷が包み込む。


「――――――――!!!!!!!」


魔獣の爪が、牙が、眼光が、殺意に満ちている。

殺意というものが物理的な力を持っていたなら、辺りの木々はへし折れてしまっていただろう。


「必殺……」


ジンは両手剣を振りかぶり、必殺の言葉を紡ぐ。


「スーパーグレートプラズマブレードライトニングカスタム!」

「でぇぇぇぇああぁぁぁぁぁぁ!!!」


刹那、一筋の光条が魔獣を捉え、巨体を真っ二つに両断した。


「―――――――!!!!!????」


両断されバランスを失った魔獣は、呆気無く地に伏した。


「……なんとか勝てたか。あー、怖かった」


魔獣の息がない事を恐る恐る確認し、ジンは剣を背中の鞘に納める。


「お疲れ様。怪我はない?」


丁度良い事に、先ほど雑魚の群れを相手取っていた少女が追いついてきた。


「俺はスーパーグレートプラズマブレードライトニングカスタムの反動で、多少両手が焦げたくらい。カトレアは巻き添え食わなかったか?」


ジンは自分の技で焼け焦げた周囲を見渡し、少し心配そうな顔で問う。


「うん、大丈夫だよ。……あのさ、ずっと前から言おうと思ってたんだけど、ジンの引き金って無駄に長くない?あと、物凄くダサい」


少女は苦笑いしながらジンの手に応急処置を施す。

ジンは一瞬だけ癇に障ったような顔になり、カトレアに非難するような視線を向けた。


「無駄なんかじゃないよ、ちゃんと意味があるんだ。あとダサいとか言うなよ超頑張って考えたんだから」


が、そう呟きながら、ジンは大切なものを抱えているような、愛する人を抱きしめているような、優しい顔をしていた。


「何だっけ、スーパーグレートプラ……やっぱり長くない?」


舌を噛んでしまったカトレアは、苦い顔で問う。


「いいんだよ、結構気に入ってるし。というか、カトレアには関係ないだろ」


ジンは耳まで真っ赤に染め、恥ずかしそうな顔をしてそっぽを向いた。

その瞬間、二人の頭の中に快活な少女の声が響く。


『討伐完了、二人共お疲れ様ですー!お怪我はありませんか?』


別働隊からの 念話(テレパシー)

後方で観測に当たっていたメンバーからの連絡だった。


「俺は両手に焦げ目。カトレアは?」

「あたしは右腕とお腹に打撲」

『了解です!すぐ治療に向かうので、二十秒程待ってて下さいです!』


二人の怪我の具合を聞くと、すぐさま少女は念話を切った。


「しかし、俺もまだまだ未熟だな。自分の技で怪我するなんて」


彼は自らの魔法で焦げた両手を悔しげに見つめる。


「多分、力み過ぎなんだよ。もう少し出力絞れば、怪我なんてしないと思うよ」


カトレアは拳に炎を灯す。

彼女の拳は全くの無傷。焼け焦げる事も無ければ、熱がる素振りすら見せない。

そんな彼女を、ジンは分かってないなこいつ、という目で一瞥する。


「俺はそんな器用な真似は出来ません。というか必殺技なんだから、全力を込めないとダメだろ?」


そう語るジンの瞳は、少年のように澄んでいる。


「男の子って、よく分かんないなぁ……」


そんなジンが理解できないカトレアは、呆れたような顔で空を仰ぎ見る。


「お待たせですー!」


丁度カトレアが見上げた先に、先ほど念話を交わしていた少女が現れた。

飛竜に乗って飛んできた少女は、心配そうな表情で地上に降り立つ。


「お二人とも、おまたせしたです!私が来たからには、もう安心ですよー!」

しかしそんな表情は一瞬で、頼れる表情に変わった。


「あ、アリス。ごめんね、世話かけちゃって」


カトレアは申し訳なさそうな笑顔を浮かべるが、傷の痛みがぶり返してきたのか、笑顔は痛々しい表情に塗りつぶされてしまった。


「いえいえ、私には後方支援しか出来ないですから。それに、お二人に助けてもらった恩はこれくらいでは……」


アリスは幸せそうな、申し訳なさそうな表情を浮かべるが、


「そういうのやめろって言っただろ。俺達は見返りが欲しくてお前を助けたわけじゃない」

「そうだよ、あたし達もう仲間なんだから。負い目なんて感じる必要ないよ」


ジンとカトレアは厳しい顔でアリスを諭す。事実、二人は彼女の能力目当てで助けたわけではなく、本当に成り行きで助けただけなのだから。


「ありがとうです。……よーし、今日は張り切っちゃいますよー!」


アリスは心底幸せそうな、満面の笑みを浮かべる。


「精霊召喚!来たれ、ピクシー!」


アリスが引き金を唱えると、背中に羽の生えた小さな妖精が現出した。

彼女は 召喚士(サモナー)

異界から 精霊(ともだち)を呼び出す稀有なスキルを保有している魔導師なのだ。

召喚された妖精がひとたび腕を振るうと、瞬く間に二人の傷が完治した。


「ありがとね、アリス」


カトレアは、まるでガラス細工を扱うように優しく、アリスの頭を撫でた。


「えへへ、このくらいお安い御用なのですよ~」


アリスは気持ちよさそうに頬を緩める。


「アリスは可愛いなぁ……いい匂いするし、ぷにぷにだし」


そんなアリスを見てニヤニヤと嫌な笑みを浮かべはじめたカトレアは、彼女の小さな体に抱きつき、頬ずりし始めた。


「か、カトレアさ……くすぐったいですよぅ」


口では嫌がりながらも本気で抵抗しないアリスは、されるがままカトレアの玩具になっていた。


「ほーれほれ、いい匂いだぞーぅ、ふへへへへ……」

「やぁぁ……」


カトレアはアリスが無抵抗なのをいい事に、彼女の腰や太ももに手を這わせようとしている。

鼻息も荒く顔も紅潮していて、さながら酔っている痴漢のようだ。


「……とりあえず、帰って飯にしないか?魔力使いすぎて腹減ったし」


―――このままではアリスの貞操が危ない。

そう思ったジンは、話の軌道を修正する。


「そうだね、一回街まで戻ろうか。シャワーも浴びたいし」


「なら、イブ君を呼ぶですよ!精霊召喚、来たれ、ワイバーン!」


アリスが引き金を唱えると、ジン達の数倍はあろうかという竜が召喚された。


「それじゃ、甘えちゃおうかな」

「いつもいつも足代わりにして悪いな、イブ」


二人は申し訳なさそうにイブの頭を撫でる。


「ガゥ……」


イブは寛容な笑顔のようなものを浮かべ、皆が乗りやすいように身を屈める。

精霊との意思疎通など朝飯前なアリスは、そんなイブを見て頬を緩ませる。


「気にするな、って言ってるです。それじゃ、街までひとっ飛びです!はいよー!」


アリスは手綱を握り、イブを空へ飛翔させる。

羽撃いた竜は、風を切って青空を駆ける。

ジン達はイブの背中に身を任せ、静かに安らかな休息を楽しむのであった。

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