04
「そろっと寝る時間だから、今日はもう寝るね」
「あー…そっか。もうそんな時間か早いな…」
「あはは、ごめんね。早寝早起きの人間で。兎月くんと生活リズム違うからな…」
「いいよ。俺のわがままに付き合ってくれてありがとう」
「わたしも兎月くんと話すのは楽しいからね」
「そっか。次に話せるのはいつ?」
「わたしは今週も土日休みだけど、歌ってみたの投稿したいからどちらかがいいかな」
「俺はどっちでもいいよ。Kちゃんの好きな方にして」
「え~…るりちゃんはどう思う?」
「よかった、私の存在忘れられてるかと思った。ったく、二人で甘い空気だしやがってよお!コーヒーブラックでがぶ飲みしたわ!あと私は土曜は予定あるから日曜日が良いです!」
「ええ…甘い空気なんて…恥ずかしいな…」
「照れてるKちゃん、ぐうかわ」
「兎月…あんたほんとに隠さなくなったわね…」
呆れてため息をついているるりちゃんと、楽しそうな兎月くんと、今日も仲良く通話している。
兎月くんと友達になってから、三人でよく通話をするようになった。兎月くんの得意なゲームを一緒にしたり、るりちゃんの好きなホラーゲームをなぜかわたしがやって悲鳴を上げているのを二人はにやにやしながらみていたりと、たのしくやっている。
もちろん、兎月くんと二人だけで通話することもある。そういうとき、兎月くんはわたしの話を聞きたがって、わたしばかりしゃべってる。べつにしゃべるのは楽しいからいいけど、ちょっと不思議な感覚だった。
「おやすみなさい~」
「はーい、おやすみー」
「おやすみKちゃん、いいゆめを」
通話から落ちて、椅子にもたれかかる。目をつむるとるりちゃんと兎月くんのアイコンが頭に浮かぶ。はあ、と吐き出したため息は自分が思っている以上に重たい。瞼をあげて天井を見つめる。
「わたしは、ふたりに報いることができてるのだろうか」
一人の時間は嫌いだ。妄想が頭の中をぐるぐると駆け巡るから。るりちゃんと兎月くんといるのは楽しい。キラキラと輝いていて、胸の奥にしまい込んでしまいたいたくさんの思い出が私の手のひらの上で瞬いている。だけど、その光が強ければ強いほど、わたしの後ろに伸びる影は濃くなる。わたしに価値なんてない。あるのはこの声だけ。
じぶんののどに手を伸ばす。指先が触れる。そのままなぞって、指をはなす。指先を見つめた。
あるのはこの声だけ。
ベッドに体を沈めて、眠りに落ちる。眠り、時間を潰す。悪夢を見るそのときまで。




