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「ストリーマー頂上決戦」二日目。

私とるりちゃんはホテルをでて会場につく。関係者席に案内されて、イベントが始まる。

昨日の今日で自覚した気持ちを押し殺して、舞台に集中した。


「次の種目は、『ディアブロ・ガーデン』!」


あ、と思って頭が冴えてくる。

るりちゃんと一緒にやったことのあるマルチゲームだ。その後、実はハマっちゃって1人でコツコツ続けていた。

一対六で鬼ごっこをする非対称対戦ゲームで、ホラー要素が強い。


「まずはAチームに鬼をしてもらいます!選抜選手はもっちり大福!」


なんだかかわいい名前の配信者だな。

このゲームには似合わないかも。

ギャップにちょっとだけ笑ってると、選手のスタンバイができたみたいだ。


「ゲームスタートです!」


え、と声が漏れる。

だって、もっちり大福さんが選んだキャラクターは作中屈指の操作難易度を誇る「堕天使」だった。

テレポート能力をもつそのキャラクターは天使のリングに力を溜めてワープするのだが、力を溜めた分だけ飛距離が伸びる。しかし、その匙加減がとても難しく、使いこなすのは至難の業。

わたしは練習したが、あまりに難しすぎて涙が出たほどだった。

それなのに、


「もっちり大福、逃走者を2ダウンさせたー!強いー!」


この人は完璧に使いこなしている。


「もっちり大福、次のターゲットを見つけた!索敵能力も抜群だー!」


それだけじゃない、鬼としての地の強さがしっかりしている。カラスの羽ばたきすら見逃さない、索敵能力。逃走者の逃走ルートの推測能力。そこから導く、自身のルートどり。

どこを切り取っても、レベルが高い。


「逃走者全滅ー!」


すごい。


「もっちり大福、圧巻の勝利ー!」


すごすぎる。

世の中にはこんな人がいるんだ。




それから私の意識はもっちり大福さんのことでいっぱいだった。

もっちり大福さんの出番は最後の種目にもう一回あった。

バトルロワイヤルに出場した彼の動きを見るととても立ち回りが上手い。チームのサポートを買ってでて、痒い所に手が届く名サポーターだった。

エイム力のない私でも参考になる動きで、興奮しながら見ていた私のペンライトはいつのまにか青から赤色に変わっていた。


「優勝チームは…」


赤いペンライトを手に祈る。


「Cチームーーーー!!!」


ああ、と落胆したのと同時に、Cチームにスポットライトがあたって、顔出ししてない兎月くんのパネルが私の視界に入った。

そうだ、兎月くんのチームが勝ったんだ。

それならそれでいいじゃないか。






「じゃあね、Kちゃん」

「うわーん、名残惜しいよ!るりちゃん!」


駅のホームでるりちゃんと別れの挨拶をする。


「……また、会えばいいでしょ」

「うん!そうだね!カラオケとか行こ!」

「いいじゃない。楽しみにしておく」


そう言って私たちは別れた。

家に着いた私はすぐに「もっちり大福」さんについて調べた。

彼は登録者30万の配信者で、さまざまなゲームを遊んでいるが人気が出たきっかけは「ディアブロ・ガーデン」の動画投稿。最高難易度の「堕天使」を難なく操り逃走者を全滅させる姿に視聴者がついた。最初は顔出しはせずに活動していたがイベントで不便を感じるようになり二年前に顔出しし始めた。




それからの私はもっちり大福さんの配信を追うようになった。「ストリーマー頂上決戦」の感想配信は、「なんとか全滅とれてよかった〜」「めっちゃ緊張したよ」とヘロヘロになりながらリスナーとしゃべる姿に可愛さを感じた。それなのに「ディアブロ・ガーデン」を始めた瞬間、スーパープレイの連続でかっこよすぎてギャップ萌えしてしまう。




生まれて初めて、私に「推し」ができた。



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