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信じられないという面持ちでしょうたくんが固まる。
わたしも自分自身に驚いてしまって動けないでいた。
先に切り込んだのはしょうたくんだった。
「嘘じゃない…よね。こんな顔しておいて…今の言葉、信じていいの…?」
不安と確信の狭間で揺れるしょうたくんの瞳に見つめられる。私は恥ずかしくて直視ができず、目を逸らして頷いた。
「そっか……」
首に伸びていたしょうたくんの手が離れていく。名残惜しくてついそっと目で追ってしまう。
「ねえ、あかねちゃん。俺の顔見て」
しょうたくんが無理難題を押し付けてくる。今気づいたばかりの恋心を処理できずに困ってるというのに、あろうことか本人の顔を見るとか難しすぎる。
「むり……」
か細い私の声がでる。
「どうして?」
しょうたくんが甘くゆったりと話す。ネズミを追い詰める猫のように楽し気に言う。
「恥ずかしくて、しょうたくんの顔がみれない…」
わたしは必死に訴えた。もう恥ずかしくて消えてしまいそう。
「ふふふ、そっか。かわいいね、あかねちゃん。たべちゃいたいくらい、かわいいね。ね、あかねちゃんはようやく自覚したんだね。その気持ち大切に育ててね。それで、あかねちゃんがもういいよっていうときに俺に告白してほしいな」
しょうたくんの紡ぐ言葉にくらくらする。
でも、どうして今付き合わないんだろう。
私たち両想いなのに。
「どうしてって顔してるね。あまり急かしたらあかねちゃんが可哀想かなって思って。だから、ゆっくりあかねちゃんの気持ちを二人で育てていこうね」
しょうたくんの言葉に難しさを感じながら、わたしは大人しく
「うん……」
と、頷いた。
「それじゃあ、今日はもう解散しよっか」
「うん……」
「明日は打ち上げがあるから会えないけど、大丈夫?」
「大丈夫デス」
キャパオーバーになった頭をたてにふり、しょうたくんにバイバイと手を振って別れる。
ホテルについて、るりちゃんに連絡する。
「おかえり~」
出迎えてくれたるりちゃんへの返事もそこそこにわたしはベッドへダイブした。
「ちょっとどうしたの」
しんぱいそうなるりちゃんの声にわたしはなんとか返事をする。
「わたしって、兎月くんのこと好きだったんだね……」
そういった私にるりちゃんは呆れたようにはあーっとため息を吐いた。
「あんなに言い寄られて、気持ち悪いって思わない時点でそうでしょ。まったく、ようやく自覚したわけね。これで、やっとバカップルが誕生か」
「ううん。付き合うのはまだ」
「まだ!?」
「急かしたら私が可哀想だって言ってた。よく分からないけど、優しいよね兎月くんは」
「あのバカ…!欲張りやがって…!」
「よくばり…?」
「なんでもないこっちの話」
とりあえず、わたしと兎月くんの話は終わり、私はシャワーを浴びて今日は眠ることにした。
明日の大会も楽しみだ。兎月くんの活躍する姿、目に焼き付けとかないと。
そう思っていた私は、衝撃の出会いをすることになる。




