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04 先生か微笑んだノ巻

04 先生が微笑んだノ巻


午後三時半頃

 何かスッキリとしない日々を感じ、気分転換にと盆の時期に旅行で訪れた地の川岸で誰かが焚き火をした跡を見つけた、その近くには、人の様な白流木が横たわり、枝には黒い布の切れ端がひっかかり、旗の様に風になびいていた。

「点けて見ようよ」

「え!」

「火」

と先生が言うから僕はポケットからオイルライターを取り出し渡す、先生は早速、炭になった薪にカチカチする、でも火は中々着かなかった。


「完全に湿気てますよ、先生もういきましょう」

と僕が促すと、「もう少し」と先生は粘る。

僕は『まいったな』と感じ、頭の中で頭をかき、辺りをあてもなく見渡すと土手の上にひとりの女性が立っている事に気づく。

そしてその女性は土手を降り近付いて来る。

そして先生の前に立つ、その手には猫を抱いていた。

先生は言う。

「お邪魔しております、もう少し此処に居て宜しいでしょうか」

その女性は抱いてる猫と目を合わし数回頷き、近くの小枝を拾い集める、そして先生に「あなたも拾って」

先生は「はい!」と返事しその女性と同じ様に小枝を拾い集める。

僕は、その先生の姿が何か不思議で可笑しかった。

僕もその枝集めに参加する。

そしてその女性は炭になった薪の上に集まった枝木をジェンガの様に積み、その下に枯れ葉を引き詰めると、「さあ、あなたが点けて」と先生に言う、先生はライターを取り出す。

今度はすぐに火は灯る。

「暖かい、幸せ」

と先生は火に手をかざし呟く。

「暖かいですね、本当に」

と僕は返答する。

そして先生が女性と再び向き合い「ありがとうございます」とお礼を言うと、女性は少し間を置き「頑張ってね」と一言言うと帰っていてしまった。

先生は僕の方を向き笑みを浮かべる。

その時僕は感じる、先生が久しぶりに本当に笑った。


 暗くなり火が自然に消えると僕は宿泊する予定の旅館へレンタカーを運転しそのまま土手道を走り向かう、その途中、助席に座る先生の向こう側に見える景色である河原にさっきの女性が歩いている後ろ姿が見つける。その足元に猫が洒落ている、その姿は先生と重なり、何かとても、とても……僕は胸に迫り詰まるものを感じた……


 旅館に着き少しすると、遠く懐かしく感じる夏祭りの花火も上がり始め、僕と先生は、旅館の出窓縁に向かい合い腰掛け、冷酒を呑みながら、ゆっくりと楽しんだのだった。


[終]

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