02 ナナフシヒカリ公園ノ巻
02
『何処と無く空から堕ちて来た白い羽根を拾った先生は、森の中の大勢の人で賑わう釣り堀を見つめ、今迄僕も見た事の無い、それはとても暗い顔をしていたんだ』
……僕の中で元担任の妻を名前で呼ぶに何か釈然としない事から、『先生』と今でも呼んでしまう時期が時折訪れる、そんな時期の休日に先生と島の観光的施設である大きい公園を訪れる。
その公園内部は、半分は森を利用した様々な娯楽施設と、もう半分は、その先に海が広がり見える、黄色い花が一面に咲いた丘がいくつも連なり広大に広がっていた。
その日は涼しく天気も良い事から、まずは、その連なる丘を繋げる様に伸びる、人が三人横に並んで歩ける幅の散道を歩く事にした。
その道を先生の斜め後ろを歩いているとふと、初めて何かのピースがハマった気がした、それは幸せだった。
今日の今迄僕は何かに怯えていた。
理由はわからないけど、その怯えがその時は無く、何か遠くに行ってしまった、やっと行ってくれた気がした。
僕は先生の手を握る。
先生は振り向き、横顔で僕に微笑みかける。
「いきなりどうしたの?」
「理由は無いだけど」
「そう……だよね」
と先生は再び微笑む。
僕は思う、先生は歳を取らない、白髪どころか皺、滲み一つ無い。
握った手の指先を堪忍すると、おととい料理をしている時に誤って包丁で切ってしまった傷の跡も、もう見当たらない。
やはり先生は……僕はそう思い聞いてみる。
「先生は、ズーと先生のままですよね」
「どう言う事?」
「老ない」
僕がそう言うと、先生はフットした笑みを浮かべ言う。
「そのうち感じるわよ、その時は覚悟してね」
「覚悟?」
「ええ」
と先生は澄んだ空を見上げる。
僕は、その覚悟とは、なんなのかわからなかった、でもその事はあまり考えず、気に留めず、先生と同じ様に空を見上げる、その空には、何一つ無かった。
それは全てを二度も手に入れ戻した僕に、もう何一つ、神さまは与えてくれない気がし、少し不安気に映ったのだった、そう、気づくとやはり、僕は何か怯えていた。
その事にいつもの僕だと安心すると、僕の視線は空から先の海へ移っていた。
でも横の先生は空の方を見続けていた。
そんな何かに遠慮している先生の感じから僕は感じ取る、僕は本来此処にひとりで来る運命だったのかも知れない、そしてどこかに此処へひとりで来ているもう一人の自分の気配を感じ、僕はその自分の分も頑張らなければいけないんだと感じ確信する。
『『先生の瞳には、バッドエンドに進んだ方の僕もしっかり映り込み、その姿を今もただ、見守り続けている』』
気づくと僕のワイシャツの胸ポケットには、その白い羽根が差し入れられていた。
[終]
予告
※転生者覚醒能力。
それはプラスの事ばかりでは無く、悲しい副反応の事例も稀に上げらている。その例として、強運の星を持つ皇帝すら超える事が出来なかった死の壁を突破した転生能力者の力を持ってしても、ある意味で切り捨て分離させた世界と新たに得た新世界とを、都合良く再び一つにまとめる事は容易では無い、と、宇宙の大覚醒者の最後の問いとして無限光年語り継がれている。
※死
それは絶望、もしくは拠り所とされる、しかしどちらにせよ、それを克服したとしても、知り得ない宇宙歴の中ではちっぽけな出来事に過ぎない事なのかも知れない。
※内容はフィックション。




