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12 鳩小屋でノ巻

12 鳩小屋でノ巻


 麻美との訓練の帰り道、僕はあの鳩小屋を思い出し。

「麻美、僕寄る所あるから、此処で」

前を歩く麻美は僕に振り向く。

「どこ行くの?、よろず屋?」

「鳩小屋かな」

「ああ、あそこか、何しに」

「なんと言うのかな、なんかもう一回行って見たいんだ」

「ふーん、ご自由に」


麻美と別れて三度訪れた鳩小屋は経年劣化が進み少し傾いていた、でも梯子はまだかかっていたので登る事に僕はした。


中はあの時と何も変わらなかった、鳩は一匹も居なく、相変わらず鳩の餌と羽が散乱していた。

最上階の三階の角に扉が有り開けると錆びた外階段から屋上に出る事が出来た。

僕はその屋上でモヤモヤとボーとしていると夕陽からすぐに夜になった。

その時カンカンと誰かが階段を上がる音が聞こえて来た。

振り向くと麻美だった。

僕はその時、麻美を心の中で待っていた事に気付いた。

「何いつまでそんなとこに立ってんのよ、心配するじゃない」

「少し考え事かな」

麻美が僕の横に体育座りをし、そして顔を少し斜めに傾け僕を見上げる。その麻美の瞳には満天の星が映り込んでいた。

僕はその瞳に吸い込まれる様に、しゃがみながら麻美の顔に自分の顔を近づけていた、そして……「イッテテテ」

麻美に両頬を引っ張られた。

「こりゃ!」

「ごめん、遂出来心で」

「やっぱり一馬も男ね!でも一馬から来てくれて嬉しい」

「麻美……」

そこで麻美は僕の前に片手をパーの状態で突き出す。

「でも浮気は此処までね、お互いに」

僕はゆっくり頷く。

「帰るわよ」


 帰り道前を歩く麻美の背は何か軽く弾んでいる様に感じた。でも少し経つとまた何か寂しい背に戻り、僕は数刻前に押し切らなかった事に少し後悔するも、やはり麻美は僕なんかより大人なんだなと感じた。

そして夜空を見上げると先生が飼っている尾の長い不死鳥の様な鳩が飛んでいた、そこで僕は先生の顔を思い出し正気に戻り、慌てて麻美に確認する。

「麻美!、内緒で頼むよ」

麻美は振り向きニッとし「一応注意喚起として報告はしておく」

と言い敬礼すると走り出す。

「えっー!ちょっと待って! マジで!」

僕は麻美を追いかける。

その情景に学生の頃に木の上から降りて来て初めて見た時の麻美の姿を思い出す。


そのまま麻美との分かれ道まで来ると走りながら麻美は言ってくれた。

「わかったー、死ぬ迄、死んでも二人だけの秘密ねー」

そのまま振り向かずに麻美は去って行く、その背中に僕は何かを感じ、その背に向けて手を差し出すも引っ込めポケットに突っ込むと、僕もそのまま振り向かず夢から覚めた様な心持ちで家路についた。


家の外には先生が待っていた。

先生の腕にはさっきの不死鳩が留まっていた。

そして鳩に餌を与えながら僕を横顔で見ながら

「中で話そうか」

と。

「えっ!」

と僕は焦った顔してしまい。

「一馬君なんかして来たね」

と言われしまう。

僕は、鳩と先生がどうもどこかでリンクしてる様に思えて、全て見られていたんじゃないかと感じ、その後の受け答えがしどろみどろに成りそのまま自爆して言ってしまった、んだ……ジーザス。


[続]

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