10 箱舟の巻
箱舟ノ巻
島長である志摩長は与えらている呪の双子真珠の指輪の力を開放し、メガタの女王の間に移る。
その間に無機質な玉座が有り。
やがて薄らと女王の輪郭が浮かび。
そして完全に現れる。
「我、不詳を極め、此処に御指示を受けたく候」
そう言うと志摩長は両手に横に乗せた猿刀を差し出す。
女王は鋭い刺さる様な視線感じ。
《そ、それは!》
そう女王がやや裏返った声で叫ぶとその場に《《スキヤキ!》》(隙あり)と意味不明な声が聞こえ、志摩長も女王も、あっけに取られた時、猿刀は意思がある様に女王へ向け飛んでゆく。
女王は素早く背からキラリと光るサイズ(柄の長い両手持ちの鎌)を回し出し猿刀を受ける、しかし猿刀は弾けずなおも鍔迫り合いの様に女王の鎌と青い火花を次々と散らす。
女王の鎌からもクランク状の紫色の火花次々と散る。
「身を隠せぬ……」
メガタ女王は何か魂が型にハメられロックされている感じに落ち入るその最中。
《《ニヤッハハハハハハハ》》
聞いた事の無いやや高い声質の子供っぽい女性と思われる狂声が室内に木霊す。
「嗚呼ぁぁっ! 押し切られ!っっッ……」
女王がうめき呟く。
志摩長は「曲者!(くせもの) 故に御免!」と立ち上がり猿刀に飛び、その柄を両手で握り引っ張り、女王から引き剥がしにかかる。
「ぬっおおおお」
志摩長は声をあげ唸り、自分以外に猿刀の柄を握る、それは爪が長く尖る両手首が空間から飛び出ているのを眼にする。
その片方の手には金の腕輪も見える。
志摩長は思う。
『刺客は生き霊か!?』
女王は志摩長の加勢で少しゆとりが生まれ、片方の手の人差し指と中指を伸ばし唇に当てて呪文を唱える始めると猿刀へ向け床と左右の壁からクリスタルらしき突起物が飛び出てて伸び始め、猿刀を挟む形に成り、猿刀の表面が凍り始める。
そして諦めたのか猿刀はフッとその場から消え失せてしまう。
「重ね重ね不覚を取りました、誠に申し訳ございませんぬ」
息を切らせるながら志摩長はその場に土下座をし再び自分の老いをヒシヒシと感じる。
《よいよい其方は半身取り憑かれ此処に来てしまったのです、それにしても今度の刺客は生粋で素晴らしい、そして恐ろしや》
そう呟くとすぐに女王は命を下す。
《大樹を切り舟を造りなさい》
「大樹、島のあの大欅をですか」
「そうです」
「場は?」
《メガタ城内です》
「何故?」
《万が一に備えます、様は逃げる時です》
「逃げる?」
《そうです、私には私が創り出し、生んだ者たちを守る義務があります》
「それは島民達の事でしょうか?」
《そうです》
「は、はっはー!」
その深夜、大樹の前に立ち志摩長は思い出す。猿刀が消えた時に視線を感じ天井を見上げると舞う様に一瞬空間が歪んだひし形に開いた闇間に、自分を細笑む大きく鋭い赤い目とそれを取り巻く複数の光る目を垣間見、相手が複数の得体の知れない組織である事を知り老いた身を冷やした事を。
しかしすぐに『好きにさせるかよ』
と思い返し決心し、腰の無名ながらも使い込んだ太刀を弧に一振りし頭上にかかる大樹の端枝を切り落とし、その頬に飛んだ樹液をひと舐めしふつふつと侠客の魂を取り戻した志摩長だった。
[続]
解説
壺
それは、様々な使い道がある、仕舞う、煮る、隠す、埋める、発酵させる、その裏側の中は一つの世界でもある。
サイズ
その鎌は柄も装着された湾曲した刀身も共に長く、両手で広い範囲の草や穀物を刈るのに役立つ。収穫それは始まりと終わりの行事でもある。
八字点・星相遠隔暗殺システム(はちじてん・せいそうえんかくあんさつシステム)
それはサイの武器と立体的な八芒星の魂相を持つものが合わさる事で可能に成った遠隔暗殺技術
絶月零・冷霊晶凍結粉砕殺(ぜけいぜろ・れいれいしょうとうけつふんさいさつ)
月に残る衝突隕石の中に稀に混入する未知の希少石ザードクールリアの力を借り、対象物の原子核迄凍らせ砕く術。
無名刀
それは個性などの癖が無く、誰の手にも馴染み、時には化ける物でもある。




