最終話 黒崎が離脱しました
最終話 黒崎が離脱しました。
「お前等がカレー爆弾を投げたからだろ」
「あれれ?」
「そうだっけ?」
黒星の指摘にスミス姉妹はとぼける。
「カレーの臭いは今でもするぞ」
アックスがサイズの近くで鼻をクンクン。
「サイテー!」
「デリカシーない!」
「臭いを嗅ぐなんて変態の所業だ」
小人の女性陣から悲鳴に似た非難が殺到。
「悪いのはライトハンドとレフトハンドだろ?」
アックスはなぜ責められているのか理解出来ていないようだ。
「アックスはサイズに近寄ってはいけない」
エクスカリパーが納刀したままの刀を向けた。
「分かったよ」
アックスは渋々黒星の隣に収まった。
「敵はみんなやっつけたの?」
サイズは黒星に聞いた。
「あたぼうよ」
「僕等に不可能はないってね」
「お前等、ハトに乗ってただけだろうが!」
「僕等は撮影班だから」
「忠実に撮影だけをしてたんだ」
スミス姉妹のドヤる声が響く。
「そこに黒磯は……。こんな感じの男はいなかったか?」
黒崎がスマホを見せたが、バキバキの画面でははっきり顔が分からない。
「うーん、分からないね」
「動けなくしただけで殺してないけど」
「俺達の武器じゃ、急所に当たらない限り死にやしない。せいぜい傷を増やして出血多量にするか、アキレス腱切るくらいしか出来ない」
「そうだな。死んではないだろう」
アックスのセリフを聞いて、黒崎は足踏みを始めた。
「能、私、行ってくる!」
「お幸せに」
能は笑顔で見送った。黒崎が食堂を出て行く時、誰かにぶつかった。
「すいません、急いでいて」
黒崎はそれだけ言うと去っていった。
ぶつかった人は立ち上がり、能に手を振った。
「あ、能、読んだよ」
就だ。そして就は黒スーツの男を連れている。
「これからカチコミに行くの」
「その前に腹ごしらえさせてくれ。な」
黒スーツの男に同意を求めた。
「カレーだな」
黒スーツの男はそう言って、食堂のおばちゃんから二人分のカレーを受け取ってきたのだった。