八話 食堂で合流してしまいました
八話 食堂で合流してしまいました
要がアックス達に目をやると、すでに戦い終わったようで血まみれだった。
「シャワー浴びたい」
「後、お弁当も」
巻き添えで血を浴びたようで、ライトハンドかレフトハンドが深いそうな顔をしていた。
彼等が歩いている先には、画面越しに見慣れた景色が広がっている。食堂の前の廊下だ。
「周りに敵はいない?」
要が声を掛ける。
「大丈夫みたい」
「僕等は勝ったんだ」
「お前等何もしてないだろうが!」
黒星の怒号が響く。
「そんな事はない」
「応援も戦闘の一つさ」
屁理屈にため息しか出なかった。
「じゃあ、食堂に入って。エスパーダ達もそこにいる」
「了解」
「ラジャー」
スミス姉妹が返答する。
そしてアックス達は凱旋した。
だが、出迎えも、敵対者も寄ってこなかった。血まみれの軍団に不用意に近付く者はいないのだ。
結局、アックス達がテーブルに登ってくるまで触れられなかった。
「血まみれじゃん」
能が言うと、黒崎がウェットティッシュを配っていた。普段から能の尻拭いをしていたのだろう。要は兄として申し訳ない気持ちになる。
軽く体を拭いたアックス達は弁当を広げた。
「小人の弁当」
黄可以が興味津々に見ていた。カレーはもう腹に収めたようで、かすかにスプーンが光っている。
「あんた誰?」
「知り合い?」
「私の親友」
「私を産んでくれたママなんだよ」
サイズが無駄に威張っている。
「ふーん」
「へー」
スミス姉妹の興味を弁当に向いていた。黄可以に声を掛けたのは弁当を守るためだろう。
「次は誰を助ける?」
能を見て、黒星が言った。
「就を待つより、先にみんなで行ったほうが心強いよね」
能は言い聞かせるように言う。
「ママの能力で、おじいちゃんを助けるの」
「ママの能力?」
「何それ、おいしいの?」
「違う! 私のキスより強いんだよ。おじいちゃんなんか一発だよ」
その言い回しだと、KOしてしまいそうだ。
「それより聞きたい事があるんだけどさ」
「なんでみんなカレー食ってんの?」
スミス姉妹のカメラには絶句してるサイズが映っていた。