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六話 サイズがキスされて光りました

六話 サイズがキスされて光りました



 来た道を逆戻りする一行。途中でサーチしたが、ホモサピエンスしか引っかからない。その中に就がいる事も考え、能はスマホで食堂に集合を掛けていた。


「就君にも黒崎さんみたいな監視役がいるんじゃない?」


「そうかもしんない。でもなんとかなるっしょ」


 エスパーダの指摘も意に介さない。こういう楽天的なところは能らしいと要は思った。


 食堂に戻ると閑散としていた。食堂の人達によると実験動物が脱走したので捕まえているという話になっていた。


「ネズミかなんかと思ってるのか?」


「違うけどね」


 カメラを通して、白衣の兎と病院着の黄可以がカレーを受け取っているのが見えた。ちなみに会話してるのは能と黒崎だ。


「今日、なんかカレーがよく出るのよね。なんでかしら?」


 食堂のおばちゃんのつぶやきに要は苦笑い。恐るべきは小人族の護身用カレー爆弾である。能が付けたカレーの汚れよりも臭うようだ。


 兎と黄可以がカレーを食べてる中、エスパーダ達はテーブルの上に乗った。いざとなればエクスカリパーに足止めをしてもらえれば逃げる事は出来るはずだ。


「目覚めて嬉しいけど、なんでなのかしら?」


 兎は黄可以に聞くが、彼女は首を横に振り、すぐにカレーにがっついた。


「私の提案でサイズがキスをしたら、異様に光って目を醒したんだ」


 黒崎が言うと、兎は驚いていた。


「サイズの能力……。可以に試した事はなかったわね」


 兎は悔しそうに言う。その発想に至らなかった自分を責めているのだろう。


「なんでかな?」


「サイズの能力は傷を癒すと言うより、自然治癒を高めるものなの。そして代償として可以が老化してたんだけど……」


「ぶっ」


 黄可以はカレーを吹き出し、向かいの兎に被害を出した。


「私、老化してる?」


「大丈夫、今若返っているから」


 そう言っても兎以外に証明出来る人がいなかった。能と黒崎は画面バキバキで、サイズは撮影中。エスパーダ達のスマホも小さくて見えづらいだろう。


 兎は渋々黄可以に、撮った写真を見せる事にする。


「変わってない。今、何年?」


「あれから六年が過ぎたわ」


「六年? 六歳?」


 黄可以はサイズに向かって尋ねる。


「うん。私、六歳」


 嬉しそうに言う声が聞こえると、黄可以が穏やかな顔を見せた。


「サイズはどのように過ごしてた?」


「ここで兎と一緒に暮らしてた。変な実験とか検査されて……」


「そう」


「で、兎は私を逃がしてくれて、就に会ったの。それから要やエスパーダに会って仲間が増えたの」


「サイズ、私を忘れているよ」


 能が必死にアピールするものの、カメラがかすかに横にずれただけだった」


 能はがっかりして、「服まで作ってあげたのに」と恨み節。


「服、ウエスタン」


「これ、ホーリエ・ヴィスコンティーのコスプレなんだよ」


 サイズは黄可以に見せるが、彼女は首を捻っていた。


「六年前はまだ異界大戦って始まってなかったから分からないんだよ」


 エスパーダが指摘した。


「そっか。ともかくかっこいいの!」


 サイズが胸を張ったのが画面の揺れで分かる。


 黄可以はピンと来ていないようだが、嬉しそうにサイズを見ている。


「サイズ、幸せみたい。良かった」


「ママ」


 黄可以はサイズに顔を近付けた。唇を押し付ける音がした。


「う……、カレー臭い」


 サイズの不快そうな声とともに光り出した。


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