四話 サイズのママと会いました
四話 サイズのママと会いました
「施設の事なら、兎が知ってるかも」
そう言ってスマホを操作し始め、要にはサイズのアップだけが見えている。
しばらくその状態が続いて、返信が来た。
「え?」
サイズが画面を覗き込んでいる。
「どした?」
能はベッドの脇にあるテーブルにサイズとエスパーダを立たせた。すかさずエスパーダがスマホを見る。
「ママ? サイズの?」
「どゆ事?」
「この人、もしかしたらサイズを産んだ人間かもしれない」
「人間が小人を産むのか?」
一人分かっていない人間がいるが、察しろの空気を放ち、黙らせた。
「私を産んでくれた人」
サイズは能の手を借りて、黄可以の枕元に立った。
「目覚めないね」
サイズのカメラを通して映る女性はマダムと同じくらいに見えた。サイズの超能力の代償なのだろうか。
「こういう場合はキスをしてみるのはどうでしょう? 呪いみたいなもんなら解けるかもしれませんよ」
分かってない黒崎が分かってないなりに出した答えだった。
「いきなりそんな事言われても」
「何の意味があるんだ?」
サイズは意図を分かりかねて、戸惑っている。見かねてエクスカリパーが黒崎に尋ねた。
「え? 白雪姫知らないの? 眠りについた白雪姫王子様のキス目覚めさせるの」
アバウトな説明ながらもみんな理解したようだ。
「それ、フィクションじゃん」
「その通りにしてメリットは?」
エスパーダとエクスカリパーが問い詰める。
「いや、試してみたら良いんじゃないかと思って」
「まぁまぁ黒崎にしては良いアイディアだよ。サイズ、やっておしまい」
能はサイズに命令した。
「あらほらさっさー」
いつ覚えたの分からない返事をして、黄可以の顔が近づいて肌しか見えなくなる。そしてチュッという軽いキスの音。
「なんと……」
サイズが光り始めると黒崎が驚きの声を上げた。サイズの超能力は知られていないようだ。
光が黄可以の全てを覆うと光が強くなり、点滅するようになる。
「こんなんあったっけ?」
「分かんない。大丈夫かな」
みんながサイズを心配している。光り方も強くなり、点滅は激しくなった。そして一際強く光った。
「目が!」
要は激しい光に目をやられ、顔を覆った。まさかバ◯スを受けてしまうとは。
要の視力が戻るまでかなりの時間を要した。そして画面越しに黄可以の顔が見える。サイズが離れたようだ。マダムみたいだった見た目が、能くらいになっている。明らかに若返っていた。
「サイズ! 大丈夫か?」
代償でサイズが年を取る事を危惧して叫んだ。
サイズはスマホを覗き込んだいつものサイズだった。
要は安心した。そこで若返った黄可以に興味が移る。
「何が起こったんだ?」
「さあ」
スマホのカメラが元の位置に戻ると大きな目がこっちを見ていた。黄可以が目を覚ましたのだ。
「え?」
その場の誰もが驚いた。