三話 廊下で話し合います
三話 廊下で話し合います
外に出て、一息つくと、別の黒スーツから声を掛けられた。
「どうした? 黒崎」
「黒磯、私の部屋にGが」
慌てる事なく、黒磯と呼ばれた男に答えた。サイズが姿を隠したために音声のみ要に届いている。
「Gか。倒してやろうか?」
「あ、部屋散らかってるから入らないで」
「そうか。それより聞いたか? 小人の話」
「小人?」
「うちで飼ってたのとは別の小人が現れたって。生け捕りにしろって命令が出てる」
「でも私は能を見てなくちゃ」
「おい、部屋に戻ってG退治しろよ。そうすれば黒崎を連れていける」
「二人きりでエロい事する気だろ。許さんからな」
「能! 黒磯とは全然そんな関係じゃないから!」
かなり強めに否定されていた。これは脈なしといったところか。
「早く行ってきな。私達は私達で小人を捜しておくよ」
大きな舌打ちが聞こえ、足音がする。黒磯はいなくなったみたいだ。
「あれ、あんたの事好きだよ」
「どうすんの?」
カメラに黒崎が映った。
「私は自分より背の高い人が良いんです」
「黒崎っていくつ? 身長」
「百八十……センチです」
「サバ読みも含めて百八十五以上か。無理ゲーじゃない?」
「そんな事……ないと思います」
「後、稼げてイケメンが不文律でしょ」
「まあ、そうです」
「そんな優良物件がもっさい黒崎相手にするかな?」
「もっさいとか言うな」
丁寧表現が終わった。
「理想は運命の相手との出会いを遠ざけるぞ」
エクスカリパーがポケットから格言めいた事を言い出す。
「あなたは運命の相手に出会ったの?」
「ああ。もう死んでしまったがな」
「そう。なんかごめんなさい」
「いや構わない。おかげでいろいろなやつと出会っている。わがままな人間とかな」
エクスカリパーは能を見ている。
「能と出会ったのは不運としか」
「おい」
黒崎は笑った。兄の目から見ても良い友達になれると思う。だがエスパーダ達が任務に成功すると、黒崎の仕事がどうなってしまうのか。心配ではある。
「能、早くシールド達捜さないと」
「Unknownになってるやつを片っ端から捜せば出会えるでしょ」
能はスマホを見せる。
「私達はホモサピエンスと出ています。人間はホモサピエンスらしいです」
能はスマホの向きを変えた。
「Unknownが一人いる。早速行ってみよ」
能は勝手に歩き出した。
黒崎は後をついてくる。
そしてエスパーダ達はある部屋に入った。その部屋は個室病床で人間が一人寝ていた。
ネームプレートには黄可以と書かれていた。
「誰?」
その問いに答えられる人はその場にいなかった。