第0話 ガン=カタ
その映画を見た瞬間、オレ達の頭の中に稲妻が走った。
邦題【リベリオン】
カルト的な人気を誇る近未来ディストピアSFアクション映画だ。
超大作のマトリックスシリーズの陰に隠れて一般には知られていないが、何がこの映画をして、熱狂的な信者を集めるほどの名作たらしめたか。
答えは一つ。
10分に見たぬ間、スクリーンに映されたSF戦闘格闘銃術――【ガンカタ】である。
ガン=カタとは銃の型……銃と東洋武術の型を組み合わせた造語から名付けられた格闘銃術である。元々は低予算ながら派手なガンアクションを撮りたいがために考案されたムービーアクションだ。
近接格闘に銃を組み合わせた、一撃で勝敗の決まる手に汗握るアクション――戦闘情報を統計学の元に分析、集計した結果導き出された、最も効率的な体捌きと攻撃位置、銃口の向きから敵の銃弾の弾道を予測して完全に避け、かつ己の銃弾を命中させる技を幾つも持つ。
それを東洋武術の型のように様々な状況に応じて使い分け、かつ柔軟に組み合わせるのだ。
基本的に一対多数で瞬時にその多数を制圧する状況を想定しているが、これがガン=カタの達人同士の戦いだとそうはいかない。
お互いに弾道は見切っているので遠距離戦だと決着が付かず、超近距離でお互いの型を崩しあい、かつ銃撃をたたき込む命がけの激闘になる。
映画【リベリオン】そのものは不評で興行収入も悲惨な結果に終わったものの、ガン=カタの遺伝子は世界中にぶちまけられ、受容する土台のあった地で芽生えては結実し、そしてまた新たなガン=カタの遺伝子を広めていった。
そう、オレもその遺伝子を受容した者の一人である。
しかし、死んだ。