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四天王最弱の闇の貴公子に転生した俺は器用貧乏を返上し、無限の手札と敵専用チート級最強最悪スキルで、高笑いと共に全てを蹂躙し屈服させ覇道を征く!  作者: ミオニチ
第2部 〈全世界統一制覇〉編

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79、永世皇帝の唯一の望み。――絶対者より差し伸べられし手。

 エリミタリア永世帝国の帝都、帝城最上階。


 豪奢かつ広々とした私室の中で、その部屋の主人にして、この俺が見破ったこの国の真なる君主。


 豪奢な長椅子に座り、隣に桃色の髪の絶世の美女を侍らせた金髪の少年。永世皇帝ネスカリシュオは、告げる。


「で? 余が秘したる我がエリミタリア永世帝国の秘奥を殊更に暴き立て、一体何のつもりなのだ? 建国一年にも満たぬ成り上がりの魔王国エンデの君主、魔王ジュドよ。すでに貴公が申したように実態は余の傀儡にすぎぬとはいえ、先頃余が妻であるこの国母将帝マリアリテレザが(のたま)ったとおり、無為に貴公の国と争う意思など、別に余にはありはしないのだがな」


 その自らを絶対のものと定義する翠の瞳が見定めるように俺を射抜く。


「何故ならばこの千年、余の望みはただ一つ。永遠に『在る』ことのみ。それも、肉体も精神も一切の磨耗なく、完全な存在として。そうだな。先程貴公が暴いた代替わりまでの一度の肉体の生は、長くて精々五十年といったところか。そして」


「ん……」


 腰を抱いた左手とは逆の右の手が侍る国母将帝マリアリテレザの紅潮する左頬に添えられ、つうと撫でられた。


「そのための要がこの国母将帝たる生体禁術式マリアリテレザよ。余が妻にして余が母。余が女にして余が胎。余に侍り、その絶世なる美しさを保ち、磨き上げ続けたその肢体を余に捧げ、悦ばせ、余の胤を受け孕み育み、そして再びこの世界に余を産む。ただそれだけ、余がためだけに在ることを赦した女。それ以外には何もできぬ。何もさせぬ」


「ほう? だがおまえの妻ならば、いいのか? 先ほどのように他の男への誘惑めいた真似をさせておいて」


「誘惑? 貴公が勝手に匂い立つような余の妻の色香と戯れに放った膨大な魔力にあてられただけであろう? その程度ならば構わぬ。もっとも、もし余以外のものがこの余のためだけに在る肢体に指一本でも触れようとすれば、(みなごろ)すがな」


「んん……」


 頬に添えられたその手が、順番に露出した首筋、肩、手、そして最後にかつて自身が収まっていただろうその胎を撫でる。


 その仕草はどこか艶やかで、そしてどこか(いつく)しみに満ちていた。


「まあ、危うい所でその左右に侍る娘どものおかげで逃れたようだが、先ほどの貴公。あるいは、すでに貴公らに敗れた他の四大将帝どものように、その禁術式のためにその女として絶世にして豊満な肢体に溜め込んだ膨大な魔力にあてられ、あるいは畏怖し、あるいは誘引されるものは後を絶たぬ。まったく、まるで本質を見定められぬものどものなんと愚鈍愚劣なことよ」


 一頻り愛でて満足したのか、右手を離し再び相対する俺へと向き直ると、永世皇帝ネスカリシュオはやれやれと首を振った。


「まあ、無理もないがな。所詮は他者の生命を吸い上げることで理を無理やり捻じ曲げ少々の長命を得ただけの、余が遥か昔に見限った禁術式に依存して、その精神も肉体も歪に劣化し続ける不完全なものども。輪廻転生の禁術式で、その精神も肉体も常に新鮮で完全な状態に『在る』余と比較するなど、この上なく酷なことよ」


「……むう。話がまわりくどくてしかも長いのう。さらには見たくもない気色悪い睦み合いをこの我たちに見せおるし。結局、貴様は何が言いたいのじゃ?」


 焦れたように口を挟んだ俺の右隣に立つデスニアに向けてちらりと翠の瞳を向けると、金髪の少年帝はあからさまに嘆息してみせた。


「そう急くな。あの獣性獣面の知恵の足らぬ道化、破軍将帝ヴァザヴォーザを返り討ちにせし娘よ。貴公らが思慮の足りぬ可能性を鑑み、それでも結論を(あやま)たぬよう、わざわざ懇切丁寧に順を追って余が説明してやっておるのだ。言われずとも、結論にはこれから入ってやろう」


「ぬうう……!」


 その小馬鹿にしたような返答を受け、デスニアにあからさまに反発の表情が浮かぶ。


 だが、少年帝はそちらに視線を向けることなく、まっすぐに俺を翠の瞳で見つめた。


「つまりは、余にとって大切なものは、この世界にただ二つしかない。余自身と、その余を産むための余の妻、この国母将帝マリアリテレザよ。故に、重ねて言おう。今度は、余から直々にな。光栄に思うがいい。余らが最高権力の座に在り続ける。それさえ侵さぬならば、魔王ジュド。余の統べるエリミタリア永世帝国は、貴公らに全面的に協力しよう」


 そう言い終わると共に永世皇帝ネスカリシュオは長椅子に座ったまま、相対する俺に右手を差し出した。


 ――友好的に、上位者から下位者へと手を差し伸べるかのように。

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