64、神核・解放。――この我の新たなる、ジュドさまのための、ジュドさまのあらゆる障害を排除するための力。
本日1話目。
――スキル〈神核・解放〉。
ジュドさまがこの我に教えてくれたところ、スキルリセットしてジュドさまに言われるがままにこの我がとったこのスキルは。
この我が生涯かけても決してたどり着けない、存在として究極の域に達したこの我自身。
生命力を燃やし代償にすることでその力の一部を一時的に引き出す、この世界ではいまこの我しか使用できない超絶強化バフスキルだと言う。
正直ジュドさまの説明がよくわからず、腑に落ちないところが多々あるがこの我にとっては、まあどうでもよい。
要は、このスキル〈神核・解放〉を使い、ジュドさまのお力にこの我がなり、ジュドさまの覇道の邪魔をするあらゆる障害を排除できれば、ただ、それだけで。
「ご、ぱァッ……!?」
「さっきからずっとぉ! この我の前で頭が高いと思っておった! のじゃぁっ!」
――一瞬だけ、もの思いに耽っていたこの我は、着地と同時に呻く、背をこの我にくの字に折られごく近くなった獣以下の顔を見上げた。
「のじゃじゃじゃじゃじゃぁっ!」
「がッ、ごッッ!? ぐッ、げッ、ぼバッッ!?」
そして、下からの連続殴打。
破軍将帝ヴァザヴォーザ。背をくの字に折り畳まれて非常に殴りやすく近くなった獣以下の顔面を左右の拳に揺らめく蒼炎の魔力を纏い「のじゃっ!」と次々に打ち上げる。
「が、ポッッ……!? うぐぷボパァァァッッ……!?」
顎を跳ね上げ仰け反らせ、喰われたこの我の指の一部が混じっておるかもしれぬ。
いろんな意味で非常に悍ましい吐瀉物をいずれジュドさまに必ず捧げるこの雪白の玉の肌に浴びる前に、最後に「のじゃぁっ!」と跳び回し蹴りで見事獣以下の口に押し返す。
「ががグプオアアアァァァァァァッッッ!」
だが、吐瀉物塗れになった獣以下がそのまま背中から倒れるかとこの我が思った瞬間。
「ぬぅぅっ!?」
だらりと垂れ下がっていた両手の先から爆発的な魔力噴射が起こり、その巨体が一気に中空へと打ち上がる。
「グぷボォォォアアアァァァッッ! もウッ! もウいらヌッッ! いますぐニィィッッ! このオレさまの前からァァッッ! 肉の一片ッッ! 髪の毛一本に至るまでッッ! 消ェェしィィィィィ飛べェェェェェェッッ!」
そして、汚らしい吐瀉物を撒き散らし、高速落下しながら振り上げたその両拳が爆発的な大量の魔力を宿す。
「鳴オォォォォォォッッ! 双ゥゥゥゥゥゥッッ!」
すでにスキル名すらはっきりと口に出せないくらいに頭に血が上りすぎたと見える獣以下。
「地ィィィィィッッ! 割ァァァァァァァッッ!」
「はぁぁっ!」
そのスキルの発動完成間際。この我は一気に上へ、獣以下へと肉薄する。
――魔力噴射ではない、飛翔。
この蒼く揺らめく炎のような、超高密度な魔力を全身にまとういまのこの我にとって、中空を自在に舞うことなど造作もない。
「よかろう! ちょうどこの我も貴様自慢のその技! 今度こそ正面からブチ破ってやりたいと思っておったところじゃっ! ゆくぞっ! スキル! 魔王の鉄槌――」
瞬間。この我の両手に揺らめく魔力が集中し、蒼炎の取り巻く巨大な鉄拳を形作る。
「ゲギィィィィィィィィィィッッッ!」
「――双・破っ!」
振り下ろされる赤鋼の双腕と、打ち上げる蒼炎の双腕が激突する。
そして。
「ががギギギィィィィガァギィァァァアァァァッ!?」
――いつのまにか暮れた夜空に、赤い赤い二輪の血の華が咲く。
その拳先から肩先に至るまで、獣じみた断末魔のような悲鳴を上げる破軍将帝ヴァザヴォーザの両腕を、この我は完膚なきまでに粉々に吹き飛ばした。




