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四天王最弱の闇の貴公子に転生した俺は器用貧乏を返上し、無限の手札と敵専用チート級最強最悪スキルで、高笑いと共に全てを蹂躙し屈服させ覇道を征く!  作者: ミオニチ
第2部 〈全世界統一制覇〉編

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62、すまぬ。ジュドさま……そして、この我を蹂躙の蒼炎が取り巻いた。

本日2話目。




「くっ……! がっ……!」


 ――強く、地に打ちつけられる。跳ねる。跳ねる。


「うっ……! くっ……! ご、ぱっ……! か、はっ……!」


 何度目かのその繰り返しのあと、ようやく止まった平原のその場所。


 仰向けからごろんと転がり、この我は口の中に溜まった血を吐き出した。


「はぁっ……! はぁっ……! う、うぅぅぅっ…………………!」


 ズキ。


 それから、はあはあと荒く息を吐き地面についた両手のうちの片方。


 無惨に喰い千切られ、ドクドクと血を流す失った右手の指二本(小指と薬指)を見て、ぽろぽろと涙を流した。


「ジュドさまぁ……! ジュドさまぁ……!」


 ――酷い、有様じゃった。


 殴られる前。咄嗟に両手のひらから大量に出せるだけありったけの魔力を噴射することで、辛くも直撃は免れた。


 けれど、掠っただけで、いまも全身が激しい痛みに軋んでいる。


 右の指二本が欠損。この我自慢の日の光を知らないと言われるほどに雪白の肌や白銀の髪は土で薄汚れていた。


 ジュドさまから贈り物(プレゼント)として賜った大切な右腕のあかしのマントも、お気に入りの黒の衣装も破れ、いまや無惨に肌をさらし襤褸(ぼろ)と化している。


「う、く……! すまぬ……! ごめん……なさい……! ジュドさまぁ……!」


 ぽたぽたと。悔しさで、涙が止まらなかった。


「あれほど大口を叩いておきながら、この我は、この有様じゃ……! まだ、足りぬ……! この我の力では、まだ足りぬのじゃ……! この我にジュドさまがかけてくれた期待、その全てに……! いまのこの我では、まだ応えることができぬ……! すまぬ……! ごめんなさい……! 主人たるジュドさまのようには、この我には、まだ――」


 ズドォォォンッ……!


 悔しさと不甲斐ない自身への怒りに、大地にざりと爪を立て、泣きじゃくりくず折れるこの我の離れた眼前。


 地響きと共に彼方より飛来した巨躯がゆっくりとその身を起こす。


 ――破軍将帝ヴァザヴォーザ。だがよもや、魔法に優れぬ此奴が飛べるはずもない。


 大方、いまも最初のときも、爆発的な魔力を大地に向け噴射して、それを反動に跳んできたというところではなかろうか。


「ふゥゥゥしゃあアァァァッッ……! やはリ……! やはリ、強者はいイッ……! その血と肉と骨を喰らうことデ……! このオレさまは、さらなる魔力と強さヲ得て、さらなる高みへと至れル……! そウ……! いずレは、あのオレさまヨりも遥かニ膨大な魔力を持ち、サらに高みに立つアの忌々しイ女……! 国母将帝マリアリテレザ……! あの見る度に口の中に涎が溢れてたまらヌ、蜜の滴るようナ蕩ける柔肉も血も骨も、性も精も生モ、このオレさまガ余すことなク……! グひヒヒヒヒヒヒィハァァァッ……! だガァ……! まズ、いまハァ……!」


 おそらくはその頬骨と口ごと顔の左三分の一をこの我に抉り裂かれた影響か、発声音(アクセント)が大分怪しくなった巨躯。


 いまや獣と見比べるのが失礼になるような醜悪な相貌の男がその醜悪な内心に相応しい凶笑を浮かべながら、ベロリと舌舐めずりをする。


「グひヒハハァ……! どうしタァ? 小娘ェ……! もう抵抗は終わりカァ? ならば、このオレさまが敗者、弱者として貴様の性も精も生も嬲り舐り啜り犯し尽くシィッ! その肉も骨も血も髪の毛一本に至るまデッ! 喰らい尽くしてヤルウゥゥッ! グヒィハハァァァッ! それが嫌ならば、そウ! 死に物狂いで抵抗してみセ――」


「この我では、勝てぬ」


 図体ばかり大きな獣以下がまだ何か言っていたが、この我はそれを遮って、肌をさらした襤褸(ぼろ)の、軋む体のまま、立ち上がる。


「……そうカァァ! ならバッ! 望みドおり、まズは、ソの尊厳を徹底的に犯シ尽くしィッ! そしテ生命に至るまで徹底的に喰らい尽くしテェェェッ!」


()()()()()()()()()()()


 まだ何か言っていた獣以下の戯言を遮って、この我は次の行動に移った。


 目を閉じ、()()()()()を使う前にほんの一瞬だけ、ジュドさまの顔を、愛する主人たるジュドさまがあの夜、この我にくれた言葉を思い返す。


「デスニア。アリューシャ。いいな。生きて帰ることをまず第一に考えろ。殺さずに済めばそれが一番なのは、俺の目的にとって間違いではないが――俺にとって遥かにおまえたちのほうが大事だ」


 そうして、熱くこの我を見つめる赤い眼差し。そのときの天にも昇らんばかりの心の震えを思い出す。


 ……もう一人余分なもの(勇者アリューシャ)が隣にいた気もするが、そんなことは些事にすぎぬ。


「この俺の予想を超え、おまえたちが思いがけずそれぞれに得たこの切り札。使うべきときには、迷わずに使え」


「うむ……! ジュドさま……!」


 その誰よりも大切な、愛する声に背中を押されて、この我は自ら()()()()()()()()その新たな力(スキル)の名を叫んだ。


「――神核・解放……!」


「なァッ……!?」


 その瞬間、胸もとから膨れ上がる。力が。奥底より湧き立つ揺らめく蒼炎のような魔力が総身を取り巻く。


 ――ああ。これが、この我の。


 取り巻くそれをほんの少しの間、ある種の感慨と共に見てから、


「が、ががぐぉぁァァァァァァァァァァッッッ!?」


 直後、目の前の獣を思いきり殴り飛ばした。

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