60、暴虐絶対致死圏。――舞い躍り待つ、最大の好機。
本日3話目。
「オオオオオオオォォォォッッ! 小娘がァァッ! ちょこまかとォォォォッッ!」
「ふん! 遅すぎるのう! そんな攻撃! この我には止まって見えるわ! この図体ばかりの木偶が!」
――まるで、荒れ狂う嵐のごとく。
呆れた膂力。呆れた暴力。
塵芥のごとき有象無象。
例えば、この会戦の場でいまも膝をついたままのエリミタリア永世帝国の雑兵相手程度ならば、幾百万撃受けようとも小揺るぎもしない常に纏うこの我の魔力障壁。
それが、破軍将帝ヴァザヴォーザの巨躯。あの拳が掠めるだけで硝子細工のごとく呆気なく砕け散る。
その確信を持ちながら、その直中へとこの我は踏み込む。
――愛するジュドさまに応えるために、死地へと。
「オオオオオオオオオオオオオオオオォォォォッッ!」
千の剛腕。
暴風のごとく間断なく振るわれる赤く鈍く光る手甲に覆われたそれがジッ、とわずかに掠り、ふわりと広がるこの我の白銀の髪を幾本か宙に散らした。
――やはり、この我が確信したとおりか。一撃まともに受ければこの我の華奢な肢体では、ただでは済まぬ。
かといって、この呆れるほどの巨躯を相手に、避けながらこの我の細腕で致命にも至らぬ打撃を少々刻んだところで。
「オオオオオオオオオオオオオオオオォォォォッッ! 小娘ェェェッ!」
――やはり、乾坤一擲の超反撃じゃな。
殺意の嵐のその中心。
かわす。避ける。足運び。踏み込み、退がり、懐へ。
跳び。小さな体を反らし、しゃがみ。振るわれる剛腕を。いとも容易く刈り取る死神の鎌を。
ときに手のひらからの魔力噴射で、わずかにいなし。
軽やかに。鼓動を刻み。躍るように。
見定めたそのときが来るのを待ちながら、この我はただひたすらに、流れる汗のままに舞い続けた。
「オオオオオオオオオオオオオオオオォォォォァァァッッ! 小ォォォォッッ! 娘ェェェがァァッ!」
暴虐自在に荒れ狂う――絶対致死圏のその直中を。
「グウウゥゥゥオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォァァァッッ!」
天に向かい吠え、巨躯が絶叫する。
――来た。変化が。直感する。そのときが。
ぶるりと怖気に小さな総身が震える。
絶対の危地。そして同時に、最大の好機。
「全て喰らえずともォォッ! もう構わぬゥゥッッ! オオオオオオオォォォォッッ! 潰れェッ! 撒きィィッ! 散れェェッッッ!」
破軍将帝ヴァザヴォーザの巨躯が一本でこの我よりも巨大な両腕を天高く振り上げた。
――ぬっ!? まさか!? これは、最初のあのスキルっ!?
「鳴動ゥゥゥッッ! 双天ンンンンッッ 地ィ割撃ィィィィィィィィィィッッッ!」
そしてその呆れるほどの膂力を――天から地。爆発的な魔力放出の推進力と共に、振り下ろす。
「っっっっっっ!?」
その瞬間。揺るがす轟音と地響きと共に、大地に二つの大穴が同時に穿たれた。
――間違いなく、この我を巻き込む超至近距離で。
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