51、色眼鏡と興味と、誤算。
本日6話目。
「クふ……! さア……! みんナ……! がンばっテ……! ジュドさマのたメに……! ソして、ジュドさマがボクと一緒に仲良くゴハンを食べテくれルご褒美のたメに……!」
「「……………………!」」
半分は髑髏、半分は道化の仮面が喜色の混じった声でそう告げ、手をバッと前に向ける。
直後、千に及ぶ軍勢同士による衝突が始まった。
敵軍、エリミタリア永世帝国の意思なき生命ある傀儡人形兵。
自軍、魔王国エンデの意思なき生命なき人形死兵。
「「……………………」」
「「……………………!」」
だが、生命を持ちながら一切の感情の揺らぎすら示すことのない敵軍に対し、自軍の生命を持たない人形死兵たちはどこか、そうどこかほんの少しだけ感情の揺らぎがあるように見える。
「みんナ……! ナるべく手足を狙っテあんマり殺さなイようにシてね……! ジュドさマと、ボクのご褒美のたメに……!」
「「……………………!」」
そう。あたかも敬愛する自らの主人に忠義をもって応えんとするかのように。
――ふ。こんなことを思うのは、初めてだな。
前世のプレイヤーのときも、闇の貴公子ジュドとして転生したいまも。
元四天王死霊軍師パペネクタは、俺にとって不気味で得体の知れない奴という認識しかなかった。
つけ加えるならば、ゲーム中においては、「一体いつまで続くんだよ……? これ……?」と呆然と愚痴を言いたくなるような直接戦闘時の無限かと錯覚するような雑魚召喚地獄の件もあっただろう。
だが、先ほどの「ボクと一緒にゴハンを食べテ欲しイ」という、なんというか慎ましいというかいじましいというかなおねだりを耳にして。
前世のプレイヤーとしての俺もいまの闇の貴公子ジュドとしての俺も急速にその認識があらたまっていく。
こうして色眼鏡を外して見てみれば、一体一体を磨き、防腐処理をするなど人形死兵の扱いも非常に丁寧かつ繊細。
むしろトモダチと称するとおりの一種の愛情すら感じられる。
殺したなら勇者パーティーの死体をくれと俺に言ったときには非常に不快かつ憤ったものだが、いま思えばあれも純粋にパペネクタが言うところのトモダチが増えることを喜んでいただけなのかもしれない。
そうなると俄然気になってくるのは――その素顔、というよりも、中身。
だが、もちろん上役たる魔王としての権限を使ってゲームの設定資料でも明らかにされなかったそれを無理やりに暴いても、信頼を大きく損ねるだけだろう。
ここは……そうだな。
やはり、褒美として食事を共にすると言ったその機会を利用するのが一番スマート――!?
その瞬間。
尋常ではない量の魔力の発動を感知し、俺は天を仰ぎ見る。
――言い訳をするつもりはないが、俺は別に油断していたわけでは、ない。
戦場とは無関係なもの思いにふけりつつも、俺の〈魔王の威圧〉に耐えきった少数の強者たちの動向には常に気を配っていた。
だから結局のところ、これは。
「ほっほっほ。では、ゆきますぞ? 魔王殿。この栄えあるエリミタリア永世帝国最強戦力にして最高幹部たる四大将帝が一人。魔導将帝ジャクムの生涯を懸けた魔法研究の成果、とくとご覧あれ……! 朽ちた大地の欠片、いまいと高く尊き天より堕ちん……! メテオフォール!」
――ただの誤算。俺の想定を相手が上回っていただけのことだ。
そして、少し離れた所で人形兵たちとの戦いを繰り広げる死霊軍師パペネクタを除く、俺と手勢たちの真上。
全てを圧壊する巨大な隕石が――ストーリー上のボス魔王デスニアを遥かに超える強さを持つ裏ボスの邪神たちの使用する極大魔法、その一つが戦場の空に顕現した。
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