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四天王最弱の闇の貴公子に転生した俺は器用貧乏を返上し、無限の手札と敵専用チート級最強最悪スキルで、高笑いと共に全てを蹂躙し屈服させ覇道を征く!  作者: ミオニチ
第2部 〈全世界統一制覇〉編

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50、人形兵 対 人形兵。――その仮面の奥の願い。

本日5話目。




「「……………………」」


 この世界最大の侵略軍事超大国、エリミタリア永世帝国。


 俺が率いる魔王国エンデの少数の精鋭たちと、エリミタリア永世帝国の総勢十万の兵士たちはロズトー平原で対峙していた。


 初手で俺が放ったのは魔王専用スキル〈魔王の威圧〉。


 一定以上の能力値を持たないものを行動不能にするゲームにおいては半ばイベント用の儀式めいたスキル。


 だがしかし現実となったこの世界においてはこういった雑兵の大軍相手においては圧倒的威力を誇る、いわば理不尽一歩手前のチート級最強最悪スキルの一つ。


 スキルレベル最大まで強化したことで効力は変わらないものの効果範囲を最大まで広げたそれは、戦場の隅々まで行き渡り、約十万もの兵士たちのほとんど全てを行動不能にし大地に膝をつかせることに成功していた。


 一見すれば、すでに大勢は決したかに見えるこの戦場。


 だが、〈魔王の威圧〉を逃れたものたちは刻一刻と俺と手勢の元へと迫っていた。


 ざっと確認したところで、約千人。一糸乱れぬ隊列で兵士たちは平原を進む。


 ……その虚ろな何も見ていない瞳に、一切の意思の光を宿さずに。


「……なるほどな。この俺の〈魔王の威圧〉に耐えるとは、どんな精兵かと思えばむしろその()。威圧を認識できる程度の意思すら持たない木偶人形兵というわけか。おそらくは世界的に禁制の薬物等の過剰接種あたりによるもの……くく! ならば、こちらも人形には人形で応じるとしよう! やれ! 死霊軍師パペネクタ!」


「クふ……! 御意……! 魔王ジュドさマ……!」


 俺が率いてきた少数精鋭の手勢。すっぽりと布に覆われていて体つきはおろか性別すらはっきりとしない半分は髑髏、半分は道化の不気味な仮面は俺にそう応じると、ずいと前に進み出てバッと両手を広げた。


 そして、そのつくりものめいた独特の抑揚のある声で、告げる。


召喚(おいデ)……! 腕にヨりをかケて()()()()()ボクのトモダチ……! 兵士(ポーン)……! 戦士(ファイター)……! 騎士(ナイト)……!」


 黒い手袋に覆われたその細い指先一本一本から無数の魔力の糸が伸び、地面に数十の紫に鈍く輝く魔法陣が描かれる。


 ――そして、俺の手によりスキルリセットし、ゲームのとき以上の雑魚召喚特化型となった元四天王死霊軍師パペネクタの手で、千に届く軍勢が戦場に顕現した。


 それは、かつて俺たち魔族が斃した冒険者の骸。あるいは、かつて魔王国エンデが蹂躙した小国の兵士の成れの果て。


 壊れた鎧や装備を着た、あるものは磨き上げられた髑髏の、あるものは一部を防腐処理された肉に覆われたそれらに共通するのは、もの言わぬ生命なき人形であることだけ。


 そう。死霊軍師パペネクタの意のままに操れる意思なき軍勢――人形死兵。


 指先をピンと伸ばし、自らがトモダチと称する人形死兵へ向けて、どこか喜色の混じった声色でパペネクタは告げる。


「さア……! 魔王ジュドさマの命令だヨ……! クふ……! ボクの新シいトモダチを増ヤすためにモ……! みんナ……! 一生懸命がんばっテ……!」


「待て! パペネクタ!」


 その背中へ向けて、俺は静止の声をかける。


 その半分は髑髏、半分は道化の仮面はぐりんと振り返ると、首をきょとんと傾ける。


「何? ジュドさマ?」


「一つ確認しておく。先ほど俺は言ったな? この一戦での勝利をもって、俺はエリミタリア永世帝国の掌握に王手をかける――と」


「うン。ソレが?」


「これからおまえが戦う彼らもまた同じ、俺がエリミタリア永世帝国を掌握した暁には支配下に置くこの俺の臣民だ。……わかるな? パペネクタ」


 しばしの間、その奥にあるであろう表情が見えない仮面と俺はじっと見つめ合う。


「……ナら。殺サないよウに、ジュドさマのたメに最大限努力すルかラ。ボクのトモダチを増ヤすのヲ我慢スる代わリに、別ノご褒美をお願いしテもいイ? ジュドさマ」


「……いいだろう。この俺に一体何を望む? 死霊軍師パペネクタ」


 俺がそう問い返すと、その半分は髑髏、半分は道化の仮面は何故か落ち着きなく首を何度も動かし、視線らしきものをさ迷わせる。


 それから、小さな声でぽつりとつぶやいた。


「ナら、ボクと……ボクと一緒に、一緒にゴハンを食べテ欲しイ……だめ?」


 そう言って、こてりと小首を傾げる仮面に俺はなぜかどきりとひどく動揺する。


「あ、ああ……! か、構わない……!」


本当(ほんとウ)……!? うン……! ジゃあボク、がんばルね……! ジュドさマ……!」


 そして、くるりと振り返り正面に向き直るその一瞬。


 その仮面の向こうに俺は、心から嬉しそうに朗らかに小さな口もとが花咲くように綻ぶのを確かに幻視したのだった。

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