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四天王最弱の闇の貴公子に転生した俺は器用貧乏を返上し、無限の手札と敵専用チート級最強最悪スキルで、高笑いと共に全てを蹂躙し屈服させ覇道を征く!  作者: ミオニチ
第2部 〈全世界統一制覇〉編

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46、女王との対話。裏切り、堕ちた少女勇者の決意。

本日1話目。




「じょ、女王陛下っ! し、失礼いたしますっ! 報告っ! か、確認がとれましたっ! 先日いまそこにいらっしゃる大使殿より情報提供がありました長年争いあっていた小国同士、トーリラ王国とフレト王国の魔王国エンデへの恭順は、事実ですっ! そ、それだけではありませんっ! このクインブレン王国の周囲、まだ小国ばかりですが、次々と魔王国エンデへの恭順を申し出ている模様っ! しょ、詳細は、こちらにっ!」


 クインブレン王国の王城。専用の応接室の同じテーブルにつく()()()の目の前。


「……そう。ご苦労さま。下がっていいわ」


「はっ!」


 報告に現れた兵士さんが直立不動で敬礼と共に去っていく中。


 ほんの少し眉を動かしただけでそう言うと、その女性(ひと)は優雅にお気に入りの紅茶が入ったカップを傾ける。


 ――ああ。やっぱりカッコいいなぁ。あたしもこんなふうに年とりたいなぁ……。


 と、いつものようにそう思いぽけーと見惚れながら、あたしが用意された麦ストローでコップに入ったジュースをのんびり飲んでいると。


「どうやら、前に貴女の言っていたことの裏づけがとれたようね。アリューシャ。……いいえ。魔王に敗れた挙句に我がクインブレン王国と人類全てを裏切り、魔王国エンデへと降った。いまは魔王の側近となり、あろうことか祖国へと大使として派遣されてきた恥知らずの堕ちた勇者アリューシャ、とでも呼ぶべきかしら?」


 対面に座るその結い上げた艶やかな黒髪にティアラを付けた。

 豪奢に、けれど決して華美ではなく着飾った、お年を重ねてなお生き生きとお綺麗に輝く女性――このクインブレン王国の女王イルゼベールさまは、鋭い眼光と共に思いつくかぎりのような辛辣な言葉をあたしにぶつけてきた。


 思わずあたしは、はしたないと知りつつもズズッ! と麦ストローでコップのジュースを底まで飲み干してから、ガタッ! と立ち上がると。


「イルゼベールさまっ! ひどいっ! いくらなんでもそこまで言わなくたってー! あたし、色々説明したじゃないですかー! 確かにジュドーはいまは魔王だけど、そんなに悪いヒトじゃないってー! だから、あたしはこうやって自分の意思で協力してー!」


「ええ。もちろん直接貴女から事の経緯を聞いたわたくしは十分に理解していますよ。アリューシャ。貴女なりの考えを持って、貴女はいまこの道を選んだのだと。ただ、また貴女も理解しているはず。何も知らない我が国民やまた他国から見れば、貴女はそう言われても仕方のないことをしているのだと」


 「うっ……!」と絶句するあたしを前に、そこでイルゼベールさまはまたお気に入りの紅茶を優雅に一口。


「アリューシャ。これから貴女の征く道は、とてもとても険しい茨の道です。それもいまの貴女が思っているよりも、ずっと、ね。そのことをその胸によくよく刻んでおくことです」


 硬直するあたしは、「座りなさい。はしたない」とそう言われて、何一つ言い返すこともできず、すごすごと座り直す。

 

「それにしても、貴女からもここまでの行動予定を聞いてはいましたが大したものですね。いまだ小国ばかりとはいえ、これほど多くの国をこの短期間に恭順させるとは。それも、そこに至るまでの相手国の被害が驚くほどに少ない。トーリラ王国とフレト王国に至っては、まさか無血とは」


 あのとき、刺し違えてでもと捨てばちになるあたしに魔王になったばかりのジュドーは声を張り上げ、誓ってくれた。


「この俺は無為なる犠牲を決してよしとはしない! 最も犠牲が少なく済む道を、たとえどれほど困難であろうと常に模索し続けるつもりだ!」


 それから、人々の、世界の抱える問題に胸を痛めながらも何もできずにただ与えられた自分の使命に従っていたこんなあたしに必死に願い、求めてくれたのだ。


「そのために俺には貴女の力が必要なのだ! 人間たちのことを思うならば、いや思えばこそ! どうか俺に貴女の力を貸してくれ! 人間たちの希望! 勇者、いや志を同じくする俺の同志! アリューシャよ!」


 ――だからあたしはいま、ここにいる。


 下はタイツにミニスカートタイプの赤い軽鎧。いまのあたしの格好は、以前とほとんど変わりない。


 ――違うのは、ただ一つ。


 右肩に留めたデスニアちゃんとは逆の、留めた軽鎧の左肩から伸びた夜の闇を写したような、ジュドーから受け取った藍色のマント。


 ――あたしの、覚悟のあかし。


 そのマントには、紋章がついている。魔王国エンデのその終焉を意味する国名にちなんで、日食。


 あたしたちを照らしてくれる空に昇るお日さまがお月さまに隠されて真っ黒に染まる、まるで世界の終わりを見ているかのようなあの寒々しい光景。


 ――この世界の終わりの紋章を背負い、あたしは戦う。


 設立したばかりの魔王国エンデの頂点、魔王ジュドの側近、右腕の前魔王デスニアちゃんに並ぶ左腕の、魔王の手に堕ちた勇者アリューシャとして。


 あたしとジュドーの理想。人間と魔族と魔物、みんなが仲よく暮らせる、少なくともいたずらに傷つけあったりしない世界のために。


 たとえその結果、あたしと同じ人間に刃を向けることになろうとも。


「それも、そこに至るまでの相手国の被害が驚くほどに少ない」


 ――でも、やっぱり犠牲は出るんだよね。


 さっきイルゼベールさまから聞いた報告の内容を思い出すと、どうしようもなくあたしの胸がちくり、と痛んだ。

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