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4、くく。下がっていろ。いまの俺なら一人で十分だ……!

 やるべきことを終え、一頻り高笑いを終えた俺は、それに触れることさえも魔族と魔物の禁忌と魔王デスニアが定めた聖なる女神像。


 ――ゲーム中においてのセーブ、そしてスキルリセットポイントから手を離し、スキルウインドウを閉じた。


「……ふむ。やはりセーブはできないようだな。俺が敵方だからか、ゲームとは違いこの世界においては最初からその機能がないのか、それとも別の理由か……だがまあ、いまはそれはいい! 俺の願いは叶い! 呪いは成就し! そして祈りは届いた! そう! 天上の女神などではなく、過去と! そして未来の俺自身への! ふははははは! これで準備は全て整ったっ! そう! この俺がこの世界の全てを手に入れるための、準備がっ!」


「「「あ、あの……。じゅ、ジュドさま……? い、いったいいま、何を……?」」」


「ん? ああ。おまえたちか」


 恐る恐る声をかけられ、俺が振り向くと、それぞれに思い思いの武器を持った戦闘メイドたちが立ち並んでいた。


 紫の三つ編み、ピンクのツインテール、緑のシニョン、オレンジのポニーテールに青のショートカット。色とりどりの髪型に髪色。


 そして豊満だったりスレンダーだったり小柄だったりの多様な体型。


 だが共通点として、そこだけ個性をなくしたように全員前髪で目元を隠したその口元に一様に浮かぶのは、禁忌に触れた自分たちの主人(あるじ)たる俺に対する困惑の色。

 

 その戦闘メイドたちの困惑と問いかけに対し、俺は答えの代わりに労いを返す。


「いや、気にするな。大したことではない。それより皆、守り手ご苦労だな。ふ。だが、いま思えば先ほどはこの俺ともあろうものが取り乱し、随分と見苦しいところをおまえたちに見せてしまったものだ。……そうだな。その詫び代わりというわけではないが」


 そこで俺は、戦闘メイドたちの注目を集めるようにバサッと片側留めの夜の闇を写す藍色のマントを翻した。


「いまより、この広間の前の守りは不要とする。次に俺の命令があるまで、おまえたちは安全なところに下がっているがいい。……いや、そうだな。むしろ無為に大切な部下の命を散らす必要などあるまい。いま勇者たちの哨戒や迎撃に出ている配下の魔族と魔物全員にも下がるよう、この階層のマスターであるこの俺の権能をもっていま伝達するとしよう」


「「「な、ジュ、ジュドさま……!? そ、そんなことをなされたら……!?」」」


「くく。なぁに。心配は無用だ。おまえたちは安心して下がり、俺の次なる命令を待つがいい。勇者アリューシャたちなど、いまのこの俺なら一人で十分だ……!」


 ――グッ、と拳を握りしめる。


「そう……! つい先ほどまでの、どうしようもないほどに! あるいは直属の部下であるおまえたちさえよりも弱かった俺とは違う! たったいま、この瞬間からの! おまえたちが言う禁忌に触れ最強に至ったいまの俺ならば! ふはははは! はーはっはっは!」


 そして俺は、闇の貴公子ジュドは、決戦を前に高笑いを上げる。


 たったいま、魔族と魔物の最大の禁忌たる女神像に触れ、四天王最弱たる汚名を見事に返上し、二つ名を体現するために無駄な中級スキルに使ったポイントを全てリセット。


 そして、極振りし直したばかりの新たに手に入れたチート級最強最悪級スキルの一つ。


 ――勇者たちを、いや全てを蹂躙するに足る力をこの手にして。



※本日は、もう一話投稿予定。多分夜になります。

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