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四天王最弱の闇の貴公子に転生した俺は器用貧乏を返上し、無限の手札と敵専用チート級最強最悪スキルで、高笑いと共に全てを蹂躙し屈服させ覇道を征く!  作者: ミオニチ
第1部 〈そして俺は、勇者と魔王を手に入れる〉編

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39/94

39、壊れゆく戒めと、対峙する少女二人。

本日3話目。




「ふん! 仮にも生命を助けられた分際でこの死に損ないの身のほど知らずがっ! 勇者の小娘! ジュドさまの手を煩わせるまでもないっ! いまこの我の手で引導を渡してくれるっ!」


 スキルも魔法も封じられ、無手で、メイド服のミニスカートを翻し向かいくる勇者アリューシャ。


 無謀なる特攻。俺の目にもそう見えた。


 そしてスキル〈魔王の鉄槌〉。


 予期せぬ突然の凶行に狼狽し、静止の声を上げることすらできない俺の前に盾となって立つ前魔王の少女デスニアが激昂とともに膨大な魔力をその右手に漲らせた。


 迫る勇者アリューシャのその胸を貫かんと――


 ヒュッ。


 ――そのとき、迫る勇者アリューシャがわずかに身を屈め、あたるその軌道が首へと逸れた。


 首……!? まさかっ!?


「 だめだっ! やめろっ! デスニアっ!」


「ジュっ……!?」


「きゃああああぁっー!?」


 俺の静止の声で、寸でのところで逸れた軌道。だが完全に止めることは叶わず、その強大な威力のスキルの一撃を受けた勇者アリューシャは、悲鳴を上げ吹き飛ばされ、居室の壁に叩きつけられた。


「フルヒール!」


 一も二もなく、その安否を確認することもなく、俺は右手をかざし、全回復魔法を行使する。


「……えへへー。やっぱり、そうなんだぁー? ジュドーの状態回復魔法があたしに効いたときから思ってたけど、この首輪って着けてるあたしがスキルや魔法を使うのを阻害するだけで、外からは全部ちゃんと効くんだねー?」


 全回復魔法は全ての傷を癒すが、衝撃そのものまでもをなくせるわけではない。


 そう言って背を壁にもたれかかるようにして、勇者アリューシャがズルズルと再び立ち上がる。


 受けたデスニアの攻撃の凄まじさを物語るようにそのメイド服の左半分は破れ、半ば豊かな胸を包んだ下着を露出。


 そしてそのスキルと魔法封じの首輪は、いまや三分の一ほどが欠け全体にヒビが入っていた。

 

「えへへー。回復ありがとー。ジュドー。でも、ごめんねー? ……うーん? いまなら、できるかなー? 勇輝の光剣っー!」


「っ!? フルヒールっ!」


 勇者アリューシャが空の右手に光の魔力を束ねて振った瞬間。半ば反射的に俺は全回復魔法を行使した。


 迷いなく、自らの体を全力でスキルで斬りつけた勇者アリューシャに向かって。


 あたたかな白の光に包まれ瞬時に痛々しい傷は癒えど、メイド服が縦にざっくりと裂け、戒めの首輪がまた三分の一ほど、さらにパキリと欠ける。


「痛たー……! んー。いつもより魔力の消費も多いし素体の剣もないから収束率もイマイチだし、威力もやっぱり弱くなってるけど、でも一応発動はしたねー。それに多分あと一発、かなー? ただ次は、即死しないように、ちょーっと加減しないと……」


 そう告げる勇者アリューシャの右手に再び光の魔力が集まっていく。


 ゆ、勇者アリューシャ……!? 貴女は……!?


 その文字どおり生命をかけた覚悟を見せつけられ、いまだ狼狽し驚愕する俺の前に、再び盾のように前魔王の少女デスニアが立った。


「……先に言っておくぞ? ジュドさま。あの勇者の小娘……アリューシャが首輪の戒めを完全に解いた瞬間、この我はあのものを殺す。今度こそ一切の油断なく確実に、この我の全力をもって」


 そこまでを言うと、右手を前にかざしデスニアは膨大な魔力を集め始めた。


 ――確固たる殺意と、決意と、覚悟をもって。

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