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3、最後の賭け。そして禁忌に触れ、俺は高笑いとともに最強に至る……!

本日最後、3話目です。

よろしくお願いします。




 薄暗い広間の中。


 ――絶叫し、そして俺は、言葉を失った。


 残スキルポイントゼロ。新スキル習得不可能というあまりにも無慈悲な現実に。


 そして、現在の保有スキルは、当然ながらかつてプレイヤーだった俺が攻略情報として知っていたとおりの、満遍なくとった各属性、各種類の中級魔法。


 プレイヤーの頃の俺なら使い勝手が悪すぎて絶対にとらないバランス型。


 まさに器用貧乏ここに極まれりという惨憺たる有様だった。


「ぐぅおおおぉぉっ! ああああぁぁっっ!」


 慟哭し、目の前に突きつけられた現実を認められない俺は、逃避するようにガリガリと爪で引っ掻くようにスキルウインドウをスクロールする。


 その後半には、驚くべきことに俺が敵方のためか、なんとプレイヤーの決して選択できない敵専用スキルさえもあった。


 それも膨大なスキルポイントを必要とするものの、ストーリー上のボスである魔王デスニアより遥かに上の強さを持つ裏ステージのボスたちのみが使用する。


 何度もプレイヤーだった頃の俺を全滅させた、理不尽一歩手前のチート級最強最悪スキルの一部さえも。


「おおおあああああぁぁぁっっ!」


 決して選択できない、いまは灰色の文字(グレースケール)となったそれらを未練がましくなぞりながら、俺は心の底から願い、呪い、そして祈った。


 いま、スキルポイントさえあれば……! このチート級最強最悪スキルのうち、たった一つでいい……! 

 もし、手に入れられれば……! この状況を打開することが……! 勇者たちを蹂躙することが……! 


 いや、それどころではない……! この前世から愛してやまない〈ダンジョンブレイバー〉の世界に転生したと自覚したその瞬間から、この胸の奥に疼いてやまない、この俺の野望……! そう……! この世界の全てを手に入れ、そしてっ……!


「そうだ……! スキルポイントさえ――スキル、ポイント、さえ……? いや、いや待て……!? さっき、スキルウインドウは確かに開いた……! ゲームと同じように……! ならば――ま、まさかっ!?」


 その唯一にして最大最後の可能性に気がついた俺は、バンっ! と一も二もなくいまいた広間から飛び出した。


 勢いよく開いた扉の前。


 勇者たちを思い思いの武器を持って待ち構えていた居並ぶ色とりどりの髪の目隠れ戦闘メイドたちが一斉に驚愕の声を上げる。


 それに構わず、俺は全力で目的地へ向かって走り出した。


「えっ!? じゅ、ジュドさま? こんなときに広間から出て、いったい何を……?」


「ええぇっ!? いけませんっ! ジュドさまっ! ダンジョン内に魔王デスニア陛下の意思とは無関係に勝手に配置される忌々しきその像に触れることは、我ら魔族と魔物、最大の禁忌ぃっ!?」


「ま、魔王デスニア陛下はいまもそのダンジョンマスターとしての権能で視ておられるはずですっ! 必ずや激しいお怒りを買うことにっ!」


「どうか、どうかお考え直しをっ! あ、あ……だ、だめですぅっ!? ジュドさまぁっ!?」


「だまれえぇぇぇっっ! どけえぇぇぇっっ! 俺はっ! 俺は、これでっ! 力をっ! そしてっ! 全てをぉぉぉぉっっ!」


 悲鳴に近い制止の声を上げ次々に手を伸ばす色とりどりの髪の戦闘メイドたちを叫びとともに全てふりきり、俺はついにその魔族と魔物最大の禁忌たる聖なる女神像。


 ――ゲーム中においてのセーブ、そして()()()()()()()ポイントに触れる。


「……ふ、ふは、はははははははっ! ふははははっ! はーはっはっはっ!」


 ――数秒後、唯一無二の最大最後の賭けに勝った俺は思わずこの上ない歓喜の高笑いを上げていた。


 目論見どおりに、理不尽一歩手前の絶対的な力。チート級最強最悪スキルの一つをその手にして。



もしよろしければ、


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をしたうえで、本作を読み進めていただけると幸いです!

モチベアップにつながりますので!

どうぞよろしくお願いいたします!

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