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四天王最弱の闇の貴公子に転生した俺は器用貧乏を返上し、無限の手札と敵専用チート級最強最悪スキルで、高笑いと共に全てを蹂躙し屈服させ覇道を征く!  作者: ミオニチ
第1部 〈そして俺は、勇者と魔王を手に入れる〉編

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19/94

19、退屈で孤独な少女魔王。その生涯において、ただ一度。

本日5話目。




 ――高難易度ダンジョン攻略型RPG〈ダンジョンブレイバー〉のストーリー上のボス、少女魔王デスニア。


 その性質を一言で表すならば、退屈と、孤高――いや、孤独。


 両親である先代の魔王夫妻の死と引き換えに、その魔力と生命の全てを啜り尽くすかのようにして産まれ落ちた()の少女には、その魔族生の始まりより圧倒的な力があった。


 ――そう。他の同族と隔絶するほどの圧倒的な力が。


 ゆえに、少女にとって同族は同族たり得ず。


 全てのことを造作もなくこなせるその力の前に、閉じた世界には驚きも発見もなく。


 ――少女は常に退屈で、孤独だった。


 それは、同族に乞われた魔王の義務として、ダンジョンの外の世界へと侵略を始めても変わらず。


 あるいは、自分以外の同族や臣下が尽く討ち破られ、倒されても変わらず。


 その熱を持たない絶対零度の紫の瞳が感情の光を宿すのは、その退屈で孤独な生涯においてただ一度。


 ――その圧倒的なる魔王の威圧に屈さず、勇者が。


「あたしは、あたしたちは……威圧(こんなもの)に決して負けない……! 魔王デスニア! あたしたちを信じてくれる人たちのために、あなたを倒ーす!」


 そう。その一つの可能性として、あるいは対極の存在である太陽のように眩しい少女勇者がその目の前に立ち塞がったとき。


 ――だがいま、すでに勇者アリューシャは、この俺の前に敗れた。


「……の、のう? どうじゃ? ジュド。この我の王配で手を打たぬか?」


 ……で、代わりにその結果、こうなったわけか。


 俺の視線の先。玉座の上でもじもじと指を絡ませ、上目遣いに雪白の頬を染める少女魔王デスニア。


 その紫の瞳が不安と期待に揺れ動く様は、まさに初めての一世一代の告白(プロポーズ)に揺れる愛らしい少女魔王の内心を如実に現していた。


 ――こうなった経緯は、大体は理解できる。


 まず第一に、先ほどの魔王デスニア自身の「期待はずれの勇者」との物言いからわかるとおり、密かに自分の退屈を紛らわせてくれるかと期待していた勇者アリューシャをこの俺が討ち破り、倒したこと。


 さらに第二に、俺は先ほど同族にとって絶対的存在である少女魔王デスニアに反旗を翻し、あまつさえ他の全ての魔族を造作もなく跪かせたスキル〈魔王の威圧〉を意に介さずに跳ね除けた。


 まあ、その原因はおそらく、プレイヤーとしての記憶を取り戻し一部その精神の影響を受けた俺がもはや通常の魔族とは見なされていないか。


 もしくは魔王デスニアに反逆することを決めた時点で同陣営であるとも見なされていないかのどちらか、あるいは両方による特効無効化によるものだが。


 ……というか、正直それがなければ、優に能力値は足切りラインを超えているのだからと正直高を括っていた俺は、無様になすすべなく跪かされていてもおかしくはなかったのだから、全く笑えない。


 まあそれでも魔王デスニアとの決戦のために用意した、新たなチート級最強最悪スキルを含むあれらのスキルを使えば、無事にこの場を逃がれ、仕切り直すことくらいはできたはずだが。


 とりあえず今回は非常に運が良かった、と。


 そして、今後はゲーム中に明かされることがなかった敵側の仕様(ブラックボックス)には十分に注意すると誓い、教訓としよう。


 いずれにせよ、その二つの結果をもって、いま俺の目の前の少女魔王デスニアは、俺を他の魔族とは全く異なる、自らと対等になり得る唯一の存在として見定めた、というわけか。


 ――だが、正直、その、なんだ。


「まま、魔王さま!? お、王配っ!? い、いったい何をっ!?」


「ど、どうじゃ? ジュド。この我はな。いままで生きてきてこの我の威圧に屈せず、まがりなりにもこの我の前に立てる魔族など初めて見たのじゃ。この我を前に身の程知らずに玉座を望む痴れものとて、このまま小虫の如く無慈悲に潰すにはあまりに、あまりに惜しいのじゃ。いまならまだ、この我に対する貴様の暴言や不敬な態度の全てを水に流しても、この我は一向にかまわぬ。玉座に座るこの我の横に、こ、この我の……お、夫としてっ! (はべ)るのを許そう! ど、どうじゃ? ジュドっ!」


 ――マジでめちゃくちゃ可愛いな。この少女魔王。


 ちらちらと窺うように、少女然とした愛らしさを見せる少女魔王デスニアを前に、つい全開になってしまった熱狂的〈ダンジョンブレイバー〉ファンの前世のプレイヤーとしての意識が強く、いまの(ジュド)にそう思わせた。

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