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邪楽 ─日の國の鬼神─  作者: 明庵 心架
第二章 一族
9/29

9 心配



「皆さん、ここなら安全です。」



 突然のことで泣くやつもいれば、放心状態のやつもいた。すると、物が落ちる音がした。



「あんた達のせいで!!私のかわいい子供達が死んでしまったじゃないの!うっ…ううっ…返してちょうだい…。私のかわいい子供達を返しなさいよ!!」


「やはり神力修ではなく、神力者に頼めばよかった!」



 藍冀夫人が神力修の襟を持ち泣きながら言っている。㯥舞月神(そうぶげっしん)の神力修は藍冀夫婦からの言葉に言い返せず、悲しそうな悔しそうな顔をしていた。



(そんな責めることか?ふぅ。)



 呑心てんしんは一息つき言う。



「なんで神力修達を責めるんだ?そいつらは悪くない。現時点で俺たちを守ってくれている。それに、公子様は夜中に出るなと言われていたのに外へ出た。姫君もだ。静かにと言われていたのに大きな声をだした。自業自得だ。そうだろ?」


「お前っ…!!無能のくせに偉そうと!」


「はっ!俺が無能なら、俺より知識がないお前達は猿以下だな。」


「なんだと!?」



 呑心てんしんは肩をすくめ、少し舌をべーとだす。もともと怒っていた藍冀夫婦はもっと激怒した。



(火に油を注ぐと言うのはこういうことだ。)



 からかうような楽しそうに思った。そんな激怒した藍冀夫婦が今にも突っかかろうとしたとき──



「大丈夫です。藍冀の若君もありがとう。」



 神力修が呑心てんしんと藍冀夫婦の間に立った。そして、腹の前へ両手を持って組み浅く礼をしながら言う。



「藍冀宗主。すべては私共の責任です。ここにいれば安全です。どうか時間をくださいませんか?」


「っ!………次はないぞ。」


「お心遣いに感謝を…。」



 さすが、礼儀正しい㯥舞月神(そうぶげっしん)。言葉遣いもよく、相手を落ち着かせる声音。



(この術も綺麗にできていた、まだ才能を開花できる。死ぬにはもったいないな。)



 そうして、神力修2人は屍や霊魂(怨念)を祓いに外へ出る準備をしていた。呑心てんしんも鬼が出たので様子を見にこっそり外へ出ようとすると、神力修達が話しかけてきた。



「あの、そこの若君。外へ出るのは危険ですよ。」


「!い、いや~…。外が気になってな。そういや、お前らの名前は?」


「私は㯥舞月神(そうぶげっしん)の神力修 白月はくが れんです。」


「同じく、俺も㯥舞月神(そうぶげっしん)の神力修 白月はくが りきです。」


「いい名前だな。俺はから…ヴウン!藍冀魁杜らんきかいとだ。よろしくな。」


「こちらこそ。」


(危ない。危ない。つい本名を言うところだった。)



 呑心てんしんは後ろに振り向き、口元を両手でふさいだ。


 白月はくがれんは頭がよさそうで優しそうな青年。白月はくが りきはおとなしそうだが、口喧嘩しそうな青年だ。



(そうだ! )



 呑心てんしんは、鬼のことを教える。



「気をつけろよ。"鬼"がいた。」


「それは…!ご報告ありがとうございます。それでは。」



 そして、れんりきは文字が書かれた札をはがし外へ出ていく。俺も扉が閉じる瞬間にこっそりと外へ出た。



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