表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪楽 ─日の國の鬼神─  作者: 明庵 心架
第二章 一族
6/29

6 騒動



「ですから、わたくしの子供達はすごい才能があるんですの!」


「それは…すごいですね。あはは…。」


「あの、藍冀夫人。そろそろ準備を…」



 神力修2人が準備の話を持ち出そうとした時、「バンッ!」と音がするほどドアが開き、藍冀公子(利道)が泣きながら走ってきた。



「は、母上ー!!!あの無能が俺のことを殴ったんだよ!こらしめてくれ!」


「殴られたですって!?怪我は?大丈夫なの?

…あらやだ、お恥ずかしいところを…。おほほ…。利道りどう?話はあとでたくさん聞いてあげるから、今はおとなしくしてなさい。」



 藍冀夫人は扇で口許を隠しながら話した。夫人は子供のことを溺愛しすぎている。何がなんでもすべてはお金で解決させ、闇の取引もしているそうだ。この亜鉛の粉末もそれで手に入ったのだろう。



「お、奥様ー!!あの無能が侵入してきました!しかも多くの兵士へ攻撃しています!」


「なんですって?!わたくしの可愛い利道りどうを殴ったあげく屋敷にまで侵入し、兵士へ攻撃するなんて!早く探し出しなさい!」



 騒がしくなった屋敷の外を神力修は不思議に思った。




「あはははは!ふふ!くくっ!」



 どこからか聞こえる笑い声にその場にいた人達は外に出てきた。声がした方向は呑心てんしんが屋根の上に座って、藍冀夫人達や兵士達、神力修の2人を見下ろしていた。後ろには太陽があり、神々しい。



「くくくっ。殴ったあげく侵入だって?俺は兵士達に一回も攻撃をしてない。その情報は大きな間違いだな。俺はお坊っちゃま直々にここへ来いと言われたんだ!それに殴った理由なんて、そこのお坊っちゃまがそいつら(神力修)の茶湯にこれを入れろって命令されたんだからな!」



 呑心てんしんは藍冀公子《利道》に渡された白い粉をばらまいた。兵士達は「無能がなにかばらまいたぞ!」「気を付けろ!」など言っている。そんな兵士達は、俺が「よっと!」と言いながら屋根から降りると、武器を持って周りに群がってきた。所詮、武器はお飾りだ。怖くも痒くもない。



「おい無能!なにをばらまいたんだ!」


「何って、これは亜鉛の粉末だよ。お坊っちゃまに渡されたな。」



 藍冀家のやつらが一斉にお坊っちゃまの方へ向いた。唯一向いてないのは母親だけ。



「で、でたらめを言うな!すべては無能の仕業なんだ!それに、亜鉛の粉末だなんて分かるわけないだろ!」


「そうよ!かわいい利道りどうがそんなことするわけないわ!」



 そんな2人の言葉に兵士達も「そうだ!そうだ!坊っちゃまがそんなことするわけない!」「すべては無能!お前の仕業だ!」など声を上げるやつが出てきて、その言葉は広がっていった。


 あちこちから飛び散る罵声。その場にいる全員が空鬼呑心からきてんしんを批判した。



(言葉の矢は、剣など武器とは違って、まるで俺と言う存在を否定している。前世の時もそうだった。)



 下を向き目をつぶっていると、㯥舞月神(そうぶげっしん)の神力修2人が俺と藍冀家の間に入った。



「お待ちください、皆さん。どちらかが我々の命を狙ったとて、犯人かも分からず証拠があまりない人を大勢で批判するのはよくない。」


「ひとまず、我々はこの場の怨念を祓う準備をします。ここへ怨念を引き寄せる「奏香呪術そうこうじゅじゅつ」を使うので、絶対に夜は外出しないように。」



 こうして神力修がなんとか沈めてくれ、その場は解散となったのであった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ